[舞台感想] フランダースの負け犬 なかやざき(ネタバレあり)

2014.07.22 Tuesday

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    劇団・柿食う客代表であり、演出家・中屋敷法仁と、演劇・ミュージカルなど、様々な分野で活躍する稀代の俳優、矢崎広。この二人の間の信頼と愛を知るものは、2人のことを、こう呼ぶ。「相思相愛」と…。

    そんな「相思相愛」の2人が演劇ユニットを旗揚げ。その名は「なかやざき」。その第一回公演「フランダースの負け犬」を観てきました。

    舞台冒頭、みんなが黒シャツ、サスペンダー姿に犬耳で登場!いやもうかわいいのなんの…(*´ω`*) そのなかでも座長である矢崎広さんは光り輝いておりましたわ…。

    フランダースの負け犬 物語


    第一次世界大戦より少し前。才能あふれる若きドイツ将校・ヒュンケルが同室となったのは、ダメ男・バラックだった。上層部のコネで入営したバラックを、自らの出世のために鍛え上げようとするヒュンケル。

    やがて二人の間には友情が芽生えるものの、第一次世界大戦が始まり、ふたりは戦場へと向かうのだが…

    若手俳優さんたちの熱演


    座長である矢崎広さん。演技もそうですが、所作や立ち姿、その全てが美しいんです。美しくて弱くて哀れ。そんなヒュンケルの姿が客をぐっと掴んで離さない。凄い役者さんですわ。

    矢崎さんの相手、バラック役の宮下くん。最初はバラックのアホさ加減に呆れるほどだったのが、物語が進むうち、バラックの「バカ」がつくほどの純真さにどんどん惹かれていきます。

    それは、野心のかたまりのようだったヒュンケルも同じだったようで、ふたりの関係が純粋であればあるほど、戦争の現実からずれていき、2人は窮地に陥ってしまうのですが…。

    ヒュンケルやバラックを取り巻く人物たち、彼らを演じる役者さんたちもまた、すばらしかった。
    特に私のツボだったのが、諜報参謀役の池田純矢くん。オネエな将校を怪演。びっくりでしたが、こういう役もいいですね〜(^^)

    中屋敷演出、枠の中と外


    今までみた中屋敷作品、そのどれもが、あちらことちら、あの世とこの世、境界線の内と外、そこで展開していく世界を描いています。フランダースの負け犬も舞台中央に大きなハートと、ハート型の穴。

    おそらくその穴の内が人間の友情や愛で、その外側が戦争という異質な状況での人間の姿なのではないかと…。


    ネタバレ(大)


    物語終盤、自らの野心を託した上官たちに裏切られ、バラックを殺すように命じられるヒュンケル。けれど引き金をひくことができない。

    一方で印象的だったのが、ヒュンケルの友人たちの姿。クレーゼルはヒュンケルを助けよう言い出した途端、友人であるベルニウスは、何のためらいもなく積年の友に銃弾を何発も打ち込む。その姿にぞっとしました。

    友情という「普通の」感覚が、戦争という状況下では「異常」で「異質」なものと化す。だから、あそこで「普通の」感覚をベルニウスは、クレーゼルを「異質」と判断し、恐れ、それを排除しようと、本能的に動いてしまったのではないか…。と思うのです。

    なんだか、終わり方が「未来世紀ブラジル [DVD]」みたいで、すごく落ち込むのだけど、でも惹かれてしまう。そんな舞台でした。

    おまけ


    劇中、バラックが思いを寄せる「絹のように白い肌を持つ看護婦さん」って描写があるのですが、なんだか、なにかの暗喩みたいな気がしました。実は、本当はそんな看護婦さんは存在しなくて、なにか別のものを暗示しているような…。





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