清少納言の戦い 「はなとゆめ」 冲方丁

2014.08.16 Saturday

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    冲方丁さんの「はなとゆめ」は、清少納言の枕草子をベースに、平安時代の宮中の様子や陰謀を、史実を交えて描かれた小説で、主人公・清少納言の心情を交えながら描かれています。

    「はなとゆめ」の時代背景と物語


    清少納言が仕えた中宮定子は、関白道隆の娘で、当時の帝、一条帝の寵愛を一心に受け、一族の反映を支えている才色兼備なお方。清少納言は定子に仕えることで才能を開花させ、きらびやかな宮中でみずからの「華」を咲かせていきます。

    この物語での定子さまは、才色兼備なだけではなく、相手の才能を花開かせたり、場を斬新なアイデアでイベントを演出するプロデューサーとしての才能もお持ちの方でしたので、彼女の周りは常に明るく華やいだ世界があったのです。

    しかし、道隆の死後、あの有名な藤原道長が台頭。実験を握ろうと、あの手この手で中宮定子さま一族を追い落としていきます。ゴリ押しで自分の娘を宮中にあげちゃったり、陰険な方法で嫌がらせを仕掛けてくるため、清少納言は定子を守るため、様々な文章を書くことでで彼女を楽しませようとします。これがのちの「枕草子」になっていくんですね。

    ちなみに、あの有名な「源氏物語」の作者、紫式部が登場するのは、このお話の後の時代です。

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    滅びの美学


    定子さまは結局、道長に栄華を奪われてしまいますが、「華」の番人としての清少納言の戦いは、後の世の評価を考えれば、勝ったといえるのじやないかな、と私は思うのです。

    枕草子の描写が素晴らしいほど、後の人びとは、定子さまや清少納言のその後の悲劇に同情し、定子たちの華を奪って栄華を極めた道長には、やっかみや憤りを感じます。特に日本人は判官びいきで、美しく栄華を誇ったものが落ちぶれていくことに、激しく同情するものですから。

    理不尽に栄華を奪われ、それでも凛として戦い続けた中宮定子と清少納言。彼女たち、ひたすら自分の「華」を咲かせることに命をかけていきます。それが美しければ美しいほど、この物語は切ないのです。

    枕草子関連


    漫画「超訳百人一首 うた恋い」でも、清少納言のエピソードがでてきます。宮中の貴公子たちとの和歌のやりとりやウィットの効いた会話など、宮中の雅さが伝わってきます。こちらもおすすめ。

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    • 苗坊の徒然日記
    • 2014/08/18 8:56 PM
    冲方丁の「はなとゆめ」を読みました。 「枕草子」はなぜ書かれることになったのか。 清少納言はどんな立場で宮中にいたのか。 平安時代の貴族たちの華やかな暮らしと、きびしい権力闘争。 そんなことが描かれています。 人が気が付かないことに目を向け、それ
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    • 2017/01/09 6:37 PM
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