[舞台感想] 演劇集団キャラメルボックス 『TRUTH』

2014.08.26 Tuesday

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    演劇集団キャラメルボックス初の悲劇「TRUTH」を観ました。圧倒されました。

    再再演の今回はキャストががらっと変わったのですが、今回はじめてTRUTHを観て、再再演までされた理由が、なんとなくわかったような気がします。「物語の力」、殺陣、役者さんたちの演技、みんなみんな素晴らしい舞台でした。

    「TRUTH」あらすじ


    幕末、信州上田藩の若き藩士、野村弦次郎は仲間の隼助が作った改造銃が暴発し、聴力を失ってしまう。弦次郎は国元へ戻る前に倒幕に反対する藩の重臣・横溝を暗殺すべく、仲間の鏡吾とともに向かうのだが…。


    それぞれの「TRUTH」


    「TRUTH」を観て思ったこと。それは、彼らのTRUTH(誠の心)は私欲ではなく、大事な人のために向けられている、ということです。

    将来を絶たれた弦次郎は、愛する人・初音を親友の英之助に託し、英之助は(おそらく、弦次郎と初音の思いを知りつつ)親友のために初音を幸せにすると誓う。
    美緒は傷ついた弦次郎を守り抜こうとし、初音は英之助を切った弦次郎のことを信じ抜こうとする。

    他の人々も、藩や家族、そして過去の大切な人たちのために、おのれのTRUTHを貫こうとします。その純粋で真っ直ぐな思いは、観客の心を貫いていきました。


    笑い!


    悲劇とはいえそこはキャラメルボックス、笑いがふんだんに散りばめられています。仲間たちのドタバタや弦次郎と英之助の息のあったやりとりなど、笑いどころがたくさんありました。

    特に虎太郎の奥さん、ふじさんが素晴らしかった。岡内美喜子さんのコメディエンヌっぷりが炸裂してました。
    虎太郎を手のひらで転がしつつ、仲間たちにも遠慮のない言動で彼女の行く処常に笑いが巻き起こりました。

    月信和尚役の筒井さん。「喝ぁぁぁぁっ!!」って言葉がこんなに似合う人いないわwww 勢いと目力が炸裂www。

    英之助役の三浦さん。仲間内では近藤勇ポジションなのに、惚れた女性の前では語尾が「でしゅ」になっちゃう可愛らしさったら…(*´艸`*)。虎太郎がふじさんにやりこめれて英之助に助けを求めた時、すかさず「俺は負けるとわかっている戦いはせん!」と言い切る潔さに爆笑ww。

    結局『TRUTH』の最強は英之助でも鏡吾でもなく、ふじさんに決定ですね。


    命のやりとり


    演劇は架空の世界ではあるのですが、「TRUTH」の舞台上には確かに、幕末を生きた青年たちが戦っていました。

    1度目は最前列でしたが、ほんの数メートル隔てた向こう側では、彼らは、本当に、命のやりとりをしてるのだと、その思いがビシビシと伝わってきたのです。彼らの悲しみや怒りが、伝わってきて、心がヒリヒリと締め付けられました。

    剣術の師匠・帆平先生役でご出演されたアクションクラブの武田浩二さんの殺陣が、もう素晴らしくて!あんなに迫力のある殺陣は初めてでした。登場人物たちが切られると、本当に切られたんじゃないかと思うくらい。
    スピード感と動きの美しさも絶妙でした。

    また武田さんの帆平先生、剣術ももちろんですが、妹役の林貴子さんとのコメディシーンも最高でした。

    畑中さん…!


    ああもう、好きだ、惚れた。主演の弦次郎を演じた畑中智行さんがほんともう、素晴らしかった。以前上演された「トリツカレ男」以来、好きな役者さんではあったのですが、今回の『TRUTH』では「好き」なんかじゃ追いつかない、もう「惚れた」って感じで、畑中弦次郎に心を奪われていきました。

    同時上演の「涙を数える」の登場人物・明一郎が無邪気な強い光だとしたら、弦次郎は陽だまりのような温かさがをもつ存在でした。でもそれは鏡吾にとっては眩しすぎたのでしょうね…

    弦次郎役の畑中さんと、英之助役の三浦さんて、身長差(体格差も)あるのだろうけど、舞台上では、その差がまったく感じられないんです。畑中さんは、舞台の上で、とても大きく映える役者さんだなあと。

    太刀筋はまっすぐに、迷いがなく、過酷な状況でも前をむこうとするひたむきさ、初音さんへの愛、英之助への思い、ラストシーンのむせび泣き、あの表情を見ちゃったら、そりゃ惚れちゃうって。


    前回、前々回の弦次郎役は、岡田達也さん、鏡吾は上川隆也さん。こちらのTRUTHも観たい…(;´Д`)
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