[舞台感想]演劇集団キャラメルボックス 無伴奏ソナタ2014 東京公演

2014.10.13 Monday

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    演劇集団キャラメルボックスの名作「無伴奏ソナタ」2014年東京公演の千秋楽を観てきました。言葉の拙い私の文章ではこの舞台の素晴らしさを伝えることは難しいでしょう。でも伝えずにはいられません。人間の喜びと愛がつまった物語でした。

    2018年公演感想はこちら→

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    無伴奏ソナタあらすじ


    人間の適性を判断するシステムによって、人生が決まる世界。クリスチャンは赤ん坊の頃受けたテストで音楽の天才性を認められ「メイカー」となる。

    2歳で親と別れたクリスチャンは世間との接触を禁じられ、森に住み自然を教師に音楽を作り続けていた。ある時、ある男が彼に音楽を手渡した。バッハという男の音楽を。その日から彼の運命は大きく動いていく…。

    苦難の果ての福音


    禁止されていたバッハの音楽を聞いたことで監視者「ウォッチャー」から音楽と関わることを禁止され、別の仕事につくことになるクリスチャン。ここから彼の苦難が始まります。
    ジョーのバーでは抗えずにピアノを引いてしまい、指を切断され、次の道路工事現場でも、歌を歌ったことで声を奪われてしまう。

    でも、その苦難の果てにクリスチャンは小さな複音を手にすることになります。

    福音とは、キリスト教の用語で「よい知らせ」を意味します。クリスチャンの人生はまさにその福音を求める旅だったのではないかと思うのです。

    音楽の愛、人の愛


    音楽の天才クリスチャン、その才能は「神に愛された」と評されました。けれど、それは彼がメイカーだったからではないと思うんです。

    クリスチャンの将来を思い、泣く泣く手放した両親、クリスチャンを守ろうとして苦悩する家政婦オリヴィアと管理官ポール、歌う楽しさを教えてくれた仲間たち。シュガーの歌を歌い継いだ名も無き人たち…音楽を通じ、彼は愛されていたんだ。きっと。

    特に「第三楽章」工事現場のシーンが素晴らしかったんです。素朴で明るい仲間たちによって、明るさを取り戻していくクリスチャン。みんなで歌うときのクリスチャンの嬉しそうな顔。彼の作った「シュガーの歌」これは労働者の歌であり、愛と悲しみ「すべてがわかっている」から人々の心をうって、あっという間に広まっていきました。

    そして実は、彼に苦難を与えるウォッチャーこそが、一番彼のことをわかっていて、幸せを望んでいたことがわかります。

    文学座の石橋徹郎さんの、抑えた演技が素晴らしかった。
    そしてクリスチャン役の多田直人さん。クリスチャンそのものでした。彼の苦悩と苦痛、そして喜びをすべて表してくれた。最後に板の上に落ちた大粒の涙の跡…。今思い出しても涙が出ます。
    脇を固めるキャラメルボックスのメンバーたちもほんとうに素敵で、誰一人欠けても、この物語は成立しなかったと思います。

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    会場で起こった奇跡(ネタバレ)


    通常、観客が舞台に参加していいのは、笑い声だけです。前説でもそこのところがきちんといわれています。

    でも、ラスト近く、クリスチャンの前に、彼の愛する人たちが現れ、喝采を送るシーンで、自然に、観客席からも大きな拍手が起こりました。まるでそうするのが自然で、当たり前であるように。

    舞台と観客が板の上と下の結界を超えて、1つになった瞬間でした。



    演劇動画配信サービス「観劇三昧」では、過去のキャラメルボックス公演映像が視聴できます。


    原作はSF作家オースン・スコット・カードの短編「無伴奏ソナタ」


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