2015.04.08 Wednesday

壮大な命の物語 「鹿の王 生き残った者」 上橋 菜穂子

上橋菜穂子さんの新作「鹿の王 生き残った者」を読みました。素晴らしいです。命をめぐる壮大な物語は、読んでいるうちに体の不思議について考えさせられます。

「鹿の王 生き残った者」あらすじ


アカファ王国は東の東乎瑠(ツカル)帝国に屈し、属領となるが、北部で抵抗を続けていた戦闘集団「独角」の長であるヴァンは、とうとう捕らえられ、奴隷として岩塩鉱で過酷な労働を強いられるれることに。

ある時、岩塩鉱で謎の犬達に襲われ、奴隷や、東乎瑠の兵、そのすべてが命を落とすという事件が起きる。生き残ったヴァンは、同じく隠されて生き延びた赤子とともに逃亡する。

一方、もうひとりの主人公、オタワル国の貴人の血を引く天才医師・ホッサルは、岩塩鉱での事件を調べていくうちに、かつて自分の故国を滅ぼした病・黒犬病だと確信する。

ヴァンとホッサル、それぞれの立場と役目、そして国や民族のさまざまな思惑が絡まり合い、黒犬病にまつわる一連の事件はアカファ王国を揺るがしかねない事態に陥っていく…


ファンタジーと医療


異世界を描いた「ファンタジー」と「医療」は、一見、相反する要素のように思えますが、上橋菜穂子先生は「鹿の王」執筆にあたり、いとこの内科医の方に医療監修をお願いしたのだそうです。そのため、伝染病や薬学、免疫など、医療に関する描写がすごいのです。

「鹿の王」の重要な鍵である黒犬病という伝染病、これの発生源や発病の過程、そして、かかるものとかからないものを隔てる要因、それらはすべて、自然と人間との関わりによって生まれるものなのです。

たとえ、架空の異世界であろうと、人が生き、生活する社会には、その土地の気候、風土、食べ物、宗教、社会構成などが存在するのが、当たり前といえば当たり前なのですが、上橋菜穂子さんほど、その人の社会性を、物語として表現された作家さんはいないのではないでしょうか。

獣の感覚


「鹿の王」で、主人公ヴァンが病原をもつ犬に噛まれてから起こる体の変化。その、感覚が鋭敏になっていく様、獣のように匂いが鮮明になり、自分が制御できない感覚。読んでいて、まるで自分もヴァンと一体となって走っていけるような、そんな気持ちになるのです。


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小説 鹿の王(上)  児童文学作家、ってことですが  今回は伝染病を取り上げてます  天然痘で人口が激減したり  インフルエンザで激減したり  新大陸でははしかで激減したり ...
  • ベテランママは小説、エッセイ、ビジネス本大好き。あらすじ、ネタバレ注意
  • 2017/01/19 6:38 AM

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