元ネタ発見。「雨柳堂夢咄」の、中国茶器にまつわる話

2014.11.27 Thursday

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    骨董にまつわる不思議な物語「雨柳堂夢咄」は、骨董屋「雨柳堂」店主の孫の蓮は、骨董についているもののけや精霊達の姿を見ることができるため、蓮の「能力」を見込まれた人外のものたちから、さまざな事件が持ち込まれます。

    そんな「雨柳堂夢咄」の中に、「午後の清香」という話があります。蓮と顔見知りのイギリス人教授・グラント先生が不思議な中国の茶器を手に入れ、間違ったお茶を入れたことで茶器の精霊の怒りを買う、というお話があります。

    そこで蓮から中国茶器にまつわる逸話を聞かされます。

    昔の中国では茶道楽のため家を傾け、乞食になった男がいたが、乞食になってもお気に入りの茶器を手放さなかった。


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    それほどに、中国の人とお茶、茶器への執着を示したエピソードなのですが、先日谷崎潤一郎・上海交遊記 (大人の本棚)という本を読んだ時にこの逸話の元ネタが載っており、さらにはその話の続きが書かれていました。

    茶器を手放さなかったその乞食は、ある時街の金持ちの家に物乞いを行うついでに、その家の主人のたてる茶を所望する。

    面白がった主人が乞食にお茶を振る舞うと、今度は乞食が自分の茶器で茶を入れたところ、同じ水、同じ茶葉を使っているのに、主人の茶とは比較にならないほど美味しかった。
    その後、乞食と主人は茶道を通じて生涯の友となったー。


    これは、谷崎潤一郎が上海を訪れた時、上海の若手作家たちに聞いた話として書かれています。こうした逸話の元ネタを偶然発見するのは、本好き、漫画好き、歴史好きにとって、遺跡を発見してしたような驚きと嬉しさがあります。

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