古本屋さんに住む女の子の話。『森崎書店の日々』 八木沢 里志

2020.05.15 Friday

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    こんな時だからこそ、読みたい本。『森崎書店の日々』は主人公の貴子が、叔父が営む神保町の古書店に住むことになったお話です。

    ときには人生の中で立ち止まってみる。そこから新しい景色が見えてくることを教えてくれる本です。

    『森崎書店の日々』あらすじ


    恋人から「今度(別の人と)結婚するんだよね。」と軽い口調で振られた貴子は、ショックで会社をやめてしまう。心配した叔父サトルの誘いで、古本屋「森崎書店」を住み込みでを手伝うことになった。

    最初はまったく本(それもカビ臭い古本)に興味のなかった貴子。けれどある日、店にある本『或る少女』を手にとって読んでみたところ、すっかり本の世界に入ってしまった。

    なにせ本はいくらでもある。それからどんどんと本を読みまくるようになった貴子は店番をしながら本を読み、喫茶店でコーヒーを飲みながらまた本を。空いた時間は神保町を散策する。そんな生活を続けるうち、貴子は自分の人生を真剣に考えるようになり…




    人生の休暇


    古書店で働き、本を読み、珈琲を飲みながらまた読書。部屋にはたくさんの本。本好きにとってこんなにうらやましい環境はありません。貴子が本のおもしろさに目覚めたところなんかは読んでいるこちらも、ぱあっと、視界が広がるような気持ちになりました。

    貴子は、本を読んでこなかったからこそ、よけいに新しい世界が広がったんでしょうね。そして、ひょうひょうとしているようでいて、しっかり貴子を見守ってくれていたサトル叔父さん。ときにその思いが暴走しちゃうけど、こんな叔父さんがいたらいいなあと思います。

    本との出会いと、サトルおじさんとの再会は、貴子の人生に新しい世界の扉を開いてくれたんですね。

    後に出会うことになる常連客の和田さんが、貴子の本を読む姿をみて「さなぎが蝶にかえるような」と評しています。

    今までのようにいかないことの多い昨今ですが、私も今は貴子のように立ち止まって、羽化するまで心や知識を育てていく時間だと考えるようにしています。


    「桃子さんの帰還」


    「森崎書店の日々」の後日譚。映画にもちょこっとでてきた、サトルおじさんと、出て行ってしまった奥さん、桃子さんとのお話です。

    数年間出奔して行方しれずだったサトルおじさんの奥さん、桃子さんが突然帰ってきた。ひょうひょうとした桃子さんはいつの間にか貴子が使っていた2階の部屋に住み着いて、店を手伝い始める。

    突然帰ってきた桃子さんの真意を探るため、サトルおじさんから桃子さんの様子を探るように頼まれる貴子だったが、逆に桃子さんのペースに乗せられて、一緒に旅行に行くことに。

    一方、貴子にもある男性との出会いが訪れ…。

    明るい感じの桃子さんですが、実は心にいろいろな傷を抱えています。貴子もつらい思いをいろいろしてきたから、桃子さんの気持ちを受け止めることができたのでしょうね。貴子の新しい恋がうまく行って欲しいと思います。

    映画「森崎書店の日々」


    小説の雰囲気をそのままに、貴子の古書店での日々が描かれています。貴子役の菊池亜希子さんがほんとうに貴子だし、サトル叔父さんの内藤剛志さんもいい雰囲気ですし、岩松了さんのサブさんがいい味をだしています。

    映画「森崎書店の日々」感想」→

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