[舞台鑑賞] キャラメルボックスというタイムマシン 「クロノス・パスファインダー」

2015.03.21 Saturday

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    キャラメルボックス30周年を飾る公演として、新たに書き起こされたクロノス・パスファインダー。この舞台をみて、なぜ、30周年最初のモチーフが、タイムマシンものである「クロノスジョウンター」でなければかったか、その答えがわかったような気がします。

    クロノス・パスファインダーあらすじ


    笠岡光春は研究者として行き詰まりを感じ、妻にもにげられ、アル中寸前の状態だった。そんな彼に、上司の吉本とクロノスジョウンター開発責任者である野方に、クロノスで過去へ飛ぶ実験協力を依頼される。

    笠岡は行き先を23年前に指定し、当時大学院生だった兄、秋路に会いに行くことにした。しかし過去へ飛んだ瞬間、笠岡は少女と正面衝突してしまう。

    リンと名のるその少女は、自分は記憶喪失なので一緒に家を探して欲しいと笠岡に依頼する。自分を弟と信じないままの兄・秋路とともに、笠岡はリンの家をさがすことになったのだが…。

    ここからはがっつりネタバレ


    パスファインダーを観て驚いたのは、劇中にはキャラメルボックスが「過去」に上演してきた芝居が劇中劇として演じられたり、舞台上のエピソードが、散りばめられていました。

    それは、観客へ向けての、キャラメルボックスからのプレゼントだったのだと思います。

    だから、「過去」に戻るタイムマシン、クロノスが必要だったのではないでしょうか。

    笠岡の兄が演じた劇中劇は、「また逢おうと竜馬は言った」ですし、セリフの中には「ヒトミ」の舞台となった下田あじさいホテルの名前が出てきます。ファン歴の短い私では、これしか見つけられなかったのですが、昔からのファンならもっとたくさんのエピソードを見つけられたのでしょうね。

    そして物語の鍵となる笠岡とリンの関係そのものが、クロノスシリーズの「ミス・ダンデライオン」へのオマージュとなっています。(たぶん)


    キャラメルボックスというタイムマシン


    こうして、過去の公演内容が散りばめられたパスファインダーをみるうち、私は、キャラメルボックスもまた、タイムマシンではないかと思うようになりました。

    私ね、タイムマシンて人間や人間が創りだすもの、そのものがじゃないかと思うことがあるのです。時を重ねるごとに知識や経験が蓄積されていって、それを後世に託すことができる。

    実際に過去や未来に飛ぶことはできないけれど、過去を見つめ直して、今を懸命に生きて、未来を変えられる。キャラメルボックスはそんな集団なのだと思うんですよ。

    サンシャイン劇場横のシアターカフェでは、劇団とマスコット、みき丸のどら焼きが味わえ、クロノスとパスファインダーのコースターがもらえます。


    ちょっと色が濃い、ね…
    岡田達也さんが印刷されたコースターとみき丸どらやき

    30週年にあたり、キャラメルボックスのマスコット、みき丸も正装でお出迎えしてくれてます。
    キャラメルボックスのマスコット、みき丸

    梶尾真治さんの原作「クロノス・ジョウンターの伝説」、単行本には、舞台で使われたのクロノスジョウンターが描かれています。これがまた、かっこいいんだ。

    クロノス・ジョウンターは2019年声優の下野紘さん主演で映画化。

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