日本人にとっての「上海」とは。 『魔都上海 日本知識人の「近代」体験』 劉 建輝

2015.09.30 Wednesday

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    魔都上海 日本知識人の「近代」体験』は、幕末から昭和まで「魔都」と呼ばれた蠱惑の都市・上海に日本人がどのように関わってきたかが書かれています。

    時代の変遷によって、求められる姿を変えてきた上海。なぜ、こんなにも多くの人が「上海」を目指したのか。その魅力に迫ります。

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    幕末から明治にかけての上海


    幕末、高杉晋作が上海に渡った話は有名ですが、幕末日本人における上海は、一番近い「西洋」であり、そこから西洋、またはアジアの情勢や情報、最新文化を吸収する役割を持っていたそうです。

    当時の上海は、西洋列強が「租界」という名の外国人居留地が設けられ、今も残る外灘(バンド)や、西洋の建物が立ち並んだ、中国の中の西洋だったのです。

    明治に入ると、直接西洋に日本人を送ることができるようになり、日本を離れて一旗上げようとする野心家たちか集まりはじめます。


    文豪と上海


    大正にはいって、上海や、その郊外の杭州の湖水風景を売りに、そのころ発足したばかりの旅行会社から、ツアーが組まれるようになります。JTBができたのもこの頃で、宿泊施設が整備され、観光事業が始まりました。

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    その上海旅行の呼びかけに、いち早く飛びついたのが文豪たちでした。谷崎潤一郎は大正時代に2回、上海を訪れ、杭州地方の湖水を楽しみ、上海内山書店の店主・内山完造の紹介により、郭沫若ら中国文化人との交流を楽しみます。谷崎はどちらかと言うと、都市の魅力より、人との交流を楽しんだようです。

    逆に、芥川龍之介は、どうも魔都と相性が悪かったらしく、すぐに北京の方にいってしまったのだとか。

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    「魔都」上海に魅せられる日本人


    やがて、立身出世を願う者たちから、怪しい「魔都」の魅力にとりつかれた者たちが上海へ集まるようになります。

    上海に集まるのは、どうも、日本で食い詰め、にっちもさっちもいかなくなった連中や、ヨーロッパへの中継として上陸したものの、金の工面ができずにずるずると長期滞在するものたちです。

    特に、金子光晴は「どくろ杯」の中で、上海の独特の匂いについて語っています。旅をするとまず感じるのは、風景でも音でもなく、まず匂いと、体にまとわりつく空気だと思うのですが、そんな「体感」でしか感じられない雰囲気を、金子光晴は見事に描いてくれています。

    上海に魅せられた文豪たちによって、私たちは今はなき「魔都」の雰囲気を追体験することができるのです。

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    魔都上海関連
    「上海セピアモダン―メガロポリスの原画」→
    「上海航路の時代―大正・昭和初期の長崎と上海」
    上海租界時代の復刻ポストカード→
    「そんへえ・おおへえ―上海生活三十五年」→
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