「空飛ぶ広報室」 有川 浩

2015.11.04 Wednesday

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    「空飛ぶ広報室」読了。
    ドラマ化後に原作を読むことになったのですが、ドラマスタッフがこの本を、愛情をもってつくってくれたのがわかるし、有川浩先生の書く物への思いがとても伝わる物語でした。

    「空飛ぶ広報室」あらすじ


    空井大祐は、航空自衛隊の花形、ブルーインパルスへの夢を交通事故により絶たれてしまう。茫然自失となった空井が配属されたのは、空幕広報室。詐欺師と呼ばれる室長、鷺坂を筆頭に、個性豊かな広報室のメンバーたち。

    ある日、帝都テレビから、ディレクターの稲葉リカが密着取材のため空爆広報室を訪れる。自衛隊を「人殺しの軍隊」と言い放つリカに、空井は激昂するが、上司の鷺坂にさとされる。自衛隊に偏見をもつ、リカのような人間にこそ、アピールすることが広報官の勤めだと感じた空井は…

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    小説とドラマ


    私は、ドラマを先に見てから小説を読みました。ドラマ自体は面白かったものの、小説からの改変が決行されているのではないかと心配していたのです。(フ○テレビは過去にこんな改悪ドラマもありましたから…

    だがしかし!オリジナルの話や微妙な設定追加はあるものの、ここまで原作に忠実に、映像として面白くなったドラマ、久しぶりに観た気がします。空井を含む広報官たちのキャラクターも核がきちんとしている。原作を読んで改めて、ドラマのクオリティの高さと、原作へのリスペクトが感じられました。

    「あの日の松島」


    物語の最後、空井とリカが再会する松島基地。松島に移動した空井(ここでも広報官)から、「あの日の松島」の話を聞くリカ。ブルーインパルスだけは被災を免れたものの、人命優先のため飛行機を失った松島基地。自らも被災者であるのに、家族をおいて救助活動に従事する自衛官たち。

    街の瓦礫を拾うにも自衛隊という組織の規定では動けないのを、当時の責任者が「基地から流出した資材を探す」という名目で、街のがれき撤去を行ったこと。

    辛いものをたくさん見ているのに、ちょっと休んだら、また作業に出ていこうとする隊員たち…。

    もうね、この章を思い出して、感想を書いているだけで、涙がでてくるんですわ。

    ここで有川先生が書きたかったのは、自衛官たちは、我々と変わらない普通の人々であること、けれど有事の際には、何を置いても我々(もちろん、自衛隊を否定する人々も含む)を守ろうとしてくれる覚悟をもっている人々であること。なのじゃないかと思うのです。

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    作中ドラマ「報道記者、走る」は有川さんの自衛隊恋愛小説「ラブコメ今昔」の中の短編、「広報官、走る!」のタイトルから取ったのかな?こちらは自衛隊の恋愛を扱った短編ですが、広報官の活躍する話もあります。こちらもおすすめ。

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