『ビオレタ』 寺地 はるな

2015.12.17 Thursday

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    『ビオレタ』あらすじ


    婚約者に突然別れを告げられ、雨の中泣いていた妙は、ドーベルマンのような印象の女性・菫さんに「道端で泣くのはやめなさい」と、半ば強引に引きずられ、そのまま彼女の店・ビオレタで働くことになった。

    妙は、取引のあるボタン屋、千歳さんと「とりあえず」つきあうことにしたが、実は千歳さんは菫さんの元夫であり、菫さんの息子・蓮太郎くんの父親でもあると知り、妙は複雑な心をもちつつも「とりあえず」の日々をおくることにする。

    ビオレタは、菫さんがつくる美しい雑貨と、あと、風変わりな「棺桶」を置いている。時々、お客さんが来てはなにか自分にとって埋葬したいものを入れる「棺桶」を買い求め、菫さんがそれを庭に埋める。

    けれど、菫さんの部屋には埋葬されない「棺桶」が置いてあった。それは彼女の罪の証らしい。

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    いつも心に「棺桶」を


    これは、毎朝、菫さんと妙が唱和するビオレタの社訓みたいなもの。人には、葬りたくなるような感情や思い出がなにかしらあるものです。

    菫さんや千歳さんはそうした思いを真っ向から向き合ったり、受け流したりできる人なので、妙はそんな2人の雰囲気と仲にやきもき・じたばたしちゃうんですね。でも、そういう妙の感情は登場人物の中で一番共感できるし、一番、読者に近いんじゃないかな。

    でも、実は菫さんも千歳さんも、そんなに強い人ではないんですけどね。それがわかってくると、妙の周りも変化してゆく、その流れが自然でいいなと。

    肩肘張らずに、読める本。ゆっくり深呼吸した時のような気持ちになる本です。

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