2016.01.28 Thursday
美しい風景、残酷な悲劇。[映画]悲情城市
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)の『悲情城市』を鑑賞。戦後、日本の支配下から脱した台湾で起こった粛清(2.28事件)をテーマに、時代に翻弄される家族の物語。
終戦の年、1945年。台北の顔役である、林家では、長男の文雄が事業を発展させ、次男は戦死、四男・文清は幼いころの怪我が元で耳が聞こえず、基隆の郊外・九份で写真館を営んでいる。
戦後、徴兵された三男・文良が戻ってくるが、戦争の影響から神経を病み、退院後も大陸のヤクザと揉め事を起こすようになる。
文清は看護婦として赴任してきた親友・寛榮の妹、寛美と出会う。筆談を通じて寛美と心を通わせる文清。やがて、国民党の圧政に耐えかねた人々が外省人(大陸からの移住者)を攻撃する暴動が起きる。政府に抵抗する仲間とともに、やがて文清も逮捕され、粛清の嵐の中へ巻き込まれていく…。
長い間、台湾でもタブーとされてきた事件。太平洋戦争後、台湾は日本の支配から開放されましたが、今度は共産党との戦いに敗れた国民党が台湾を支配するようになります。物価の上昇や外省人からの差別などが生じ、台湾人の不満が爆発します。
政府への抗議・反抗を行ったのは知識人が多く、政府は彼らを片っ端から殺していったそうです。『KANO 1931海の向こうの甲子園』の舞台となった嘉義では、KANOメンバーがパレードをした駅前広場で、文化人たちが処刑されたそうです。
…なんだか、大陸でも同じようなことが起こりましたね。
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)は、そんな悲劇的な出来事を、できるだけ淡々と、美しい自然と人々の暮らしの中に織り交ぜていきます。三時間弱の長い映画ですが、いつの間にか映画の世界に入り込んでしまって、あまり長く感じませんでした。
若き日のトニー・レオンが青年らしい生き生きとした表情が魅力的ですし、後半では苦悩を抱えた姿が切なかったです。『戯夢人生』でその半生を描かれた人形芝居の名手・李天禄が一家の長老として出演していて、映像に深みを与えています。
とても美しく、とても悲しい映画でした。
・「KANO 1931海の向こうの甲子園」→
・「藍色夏恋」→
・「百点恋歌」→
・「台北カフェ・ストーリー」→
・「台北に舞う雪」→
・「海角七号 君想う、国境の南」→
・「LOVE GO GO 愛情来了」→
・「トロッコ」→
レビューポータル「MONO-PORTAL」
悲情城市 あらすじ
終戦の年、1945年。台北の顔役である、林家では、長男の文雄が事業を発展させ、次男は戦死、四男・文清は幼いころの怪我が元で耳が聞こえず、基隆の郊外・九份で写真館を営んでいる。
戦後、徴兵された三男・文良が戻ってくるが、戦争の影響から神経を病み、退院後も大陸のヤクザと揉め事を起こすようになる。
文清は看護婦として赴任してきた親友・寛榮の妹、寛美と出会う。筆談を通じて寛美と心を通わせる文清。やがて、国民党の圧政に耐えかねた人々が外省人(大陸からの移住者)を攻撃する暴動が起きる。政府に抵抗する仲間とともに、やがて文清も逮捕され、粛清の嵐の中へ巻き込まれていく…。
二二八事件について
長い間、台湾でもタブーとされてきた事件。太平洋戦争後、台湾は日本の支配から開放されましたが、今度は共産党との戦いに敗れた国民党が台湾を支配するようになります。物価の上昇や外省人からの差別などが生じ、台湾人の不満が爆発します。
政府への抗議・反抗を行ったのは知識人が多く、政府は彼らを片っ端から殺していったそうです。『KANO 1931海の向こうの甲子園』の舞台となった嘉義では、KANOメンバーがパレードをした駅前広場で、文化人たちが処刑されたそうです。
…なんだか、大陸でも同じようなことが起こりましたね。
美しい風景、残酷な悲劇
侯孝賢(ホウ・シャオシェン)は、そんな悲劇的な出来事を、できるだけ淡々と、美しい自然と人々の暮らしの中に織り交ぜていきます。三時間弱の長い映画ですが、いつの間にか映画の世界に入り込んでしまって、あまり長く感じませんでした。
若き日のトニー・レオンが青年らしい生き生きとした表情が魅力的ですし、後半では苦悩を抱えた姿が切なかったです。『戯夢人生』でその半生を描かれた人形芝居の名手・李天禄が一家の長老として出演していて、映像に深みを与えています。
とても美しく、とても悲しい映画でした。
台湾映画感想
・「KANO 1931海の向こうの甲子園」→
・「藍色夏恋」→
・「百点恋歌」→
・「台北カフェ・ストーリー」→
・「台北に舞う雪」→
・「海角七号 君想う、国境の南」→
・「LOVE GO GO 愛情来了」→
・「トロッコ」→
レビューポータル「MONO-PORTAL」
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