BAR追分シリーズ『オムライス日和』 伊吹有喜

2017.01.25 Wednesday

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    大好きな伊吹有喜さんのBAR追分シリーズ、その続編『オムライス日和 BAR追分』読みました。気持ちがほぐれていく、大好きなお話です。そして、出て来る料理、どれも美味しそう。

    新宿三丁目の奥にある「ねこみち横丁商店街」その路地の一番奥にあるのが「BAR追分」。昼間は、おいしいごはんを提供する「バール」夜は本格的な「バー」。ふたつの顔をもつBAR追分に集まる、人々の物語。

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    猫の恩返し


    「ねこみち横丁」の地域猫・デビイがこのごろ、よそで餌をもらっているらしい。デビイの肥満を心配するバールの料理人、桃子と、ねこみち横丁の管理人(兼脚本家の卵)の宇藤とともに、餌をあげた人にわかるよう、デビイのリボンにメッセージを送る。ところが数日後、デビイの首には「助けて」の文字が…。

    どこのだれともわからない、助けを求める人を探すため、ねこみち横丁のメンバーが立ち上がります。

    ねこみち横丁の管理人をしながら脚本家を目指す宇藤くんですが、商店街の紹介で、フリーペーパーにエッセイの連載をもらえることに。少しずつ、夢を叶えていく姿は、商店街の人々と同じく、読んでいる私たちも嬉しくなります。

    モモちゃんが自分や宇藤のことを「デヴィのように横丁のみんなに居場所を与えてもらっている地域猫みたいなもの。」と言ってましたが、横丁のみなさんも若い人たちを応援したいんでしょうね。

    オムライス日和


    猫道商店街の管理人(兼脚本家の卵)宇藤くんは大学時代の友人、菊池沙里に偶然、ねこみち商店街で再会する。沙里から同級生たちの話を聞き、道半ばの自分と、どうしても比べてしまう。沙里は結婚式の二次会後、BAR追分で同じく宇藤を知る友人とあけすけな話に興じてしまい、それを宇藤くんに聞かれてしまう。

    そりゃ、相手のテリトリーでその人のことをあけすけにしゃべるのって、ルール違反でしょう。

    宇藤くんは、きちんと仕事をしている菊池さんにコンプレックスを感じ、仕事や恋に行き詰まっている菊池さんは、夢を追いかけている宇藤くんに憧れを抱いている。お互い、ないものねだりではあるのだけど。

    みんな、無いもので、誰かをうらやましいって思ってる。ただ、ねこみち横丁の大人たちは、自分に自信を持っている気がします。だから迷える宇藤くんを助けたり、BAR追分の昼に桃ちゃんに料理屋をできるように計らってくれるのかもしれません。

    バール追分のモモちゃんがつくるオムライスが美味しそう。ホワイトやデミグラス、フレッシュトマトソースを選べるのがぜいたくで楽しい。オムライスって、日常的に食べられるけれど、作り方によってちょっとしたご褒美ごはんにもなる。オムライスの黄色と赤いケチャップライスをみると、元気をもらえます。

    ようこそ餃子パーティーへ


    ねこみち商店街のイベント・フリーマーケット後の慰労会を、宇藤、桃子、バーテンダー見習いの伊藤の3人で仕切ることになった。宇藤くんは唯一得意だという餃子をつくり、桃子が焼いて、淳がビールを差し入れた慰労会は大好評。

    宇藤くんは、BARの常連でフィギュアクリエイターの梵から、「スランプの時は基本に帰って(文章で)スケッチをすれば」と教えられ、横丁の人々の姿を文章にしはじめます。文章でスケッチっていい表現ですね。私もやってみたくなりました。こうしてコツコツと積み上げていけば、それはきっと、自分の力になっていくことでしょう。

    森の診療所(リトリート)


    BAR追分のバーテンダー見習いの純は、中性的で美しい容姿を持つ、ちょっとミステリアスな存在で、自分のことをあまり話さない。ある時、昼のバールの営業中、若い女子3人組がやってきて、「シドウジュンヤ」という人物を探しに来たと告げる。どうやらそれは、純のことらしい。女子たちはその場にいた宇藤にひどい言葉を投げかけて去っていく。

    純は以前、人気の舞台俳優で、ケガをして引退し、隠れるように暮らしている。純の治療を行っている森の診療所の久保田先生は、自らも診療所を継いだ悩みを抱えつつも、何も聞かず、彼の治療を行う。

    私も、舞台が好きで、贔屓の俳優さんもいますが、「誕生日を祝いたいから」って、いきなり訪ねてきて、彼の居場所を荒らすようなマネをするファンは、どうかと思いますね。

    人に弱みをみせない純くんですが、久保田先生には弱みや信頼感をみせているみたいです。ただ、久保田先生はバツイチで年上なので、施術者と患者という立場を崩さないようですが。

    雨のなか、2人がゆっくり食事をするシーンが美味しそうだし、やさしい温かみを感じます。

    BAR追分 感想→

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    伊吹有喜作品 感想


    『彼方の友へ』
    『今はちょっと、ついてないだけ』
    『BAR追分』
    BAR追分シリーズ2『オムライス日和』
    BAR追分シリーズ3『情熱のナポリタン』
    『ミッドナイト・バス』
    『なでし子物語』
    『風待ちのひと』

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    レビューポータル「MONO-PORTAL」
    コメント
    「ねこみち横丁」の地域猫の名前は「デビイ」です。
    「デヴィ」ではありません。
    Bill Evans (1929-1980)
    Waltz for Debby (1961.6.25)
    からの命名だと説明されているのですから。
    • by Fe
    • 2017/12/03 5:47 AM
    Fe様
    こんな人のこない、個人ブロクでの書き間違いを指摘していただき、ありがとうございました。
    忙しくなかなか対応できませんでしたが、今回出来得る限り修正させて頂きました。

    私の不徳の致すところにより、ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。
    • by 日月
    • 2017/12/07 10:53 PM
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