八咫烏シリーズ『空棺の烏』 阿部智里

2016.06.13 Monday

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    阿部智里さんの『空棺の烏』読了。今回もまた、面白くて一気読み。今までと違って、謎解きよりも、学生生活に重きが置かれています。いや、意外なところに謎解きはあったのですが。

    でも、この本での主人公・雪哉が体験する勁草院での学生生活と、そこで出会う友人たちとの友情こそが、この本の読みどころではないかと思うのです。

    『空棺の烏』あらすじ


    前回、人の姿を持つ八咫烏の世界「山内」に、外敵・猿が結界を破って八咫烏を襲う事件が発生した。山内の危機を救う「真の金烏」である若宮・奈月彦を守るため、彼に忠誠を誓った地方豪族の次男坊・雪哉は金烏を守護する「山内衆」の養成学校、勁草院へ入学する。

    平民出身の茂丸、西領本家の貴族・明留、ワケありな南領出身・千早など、個性的なメンバーに囲まれ、厳しい課題に向き合いつつ、彼らとの間に友情が生まれるが、勁草院では、若宮派と、その兄・長束派に分かれての対立がエスカレートしていき…。

    空棺の烏
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    八咫烏版、ホグワーツ


    今回の読みどころは、雪哉が入学する勁草院の学生生活です。若宮をはじめ、金烏の一族を守る優れた武官を養成するために、その授業は格闘や剣術などの他、法律や医術といった座学、「馬」と呼ばれる鳥形の八咫烏を乗りこなす御法、戦術シュミレーションを行う兵学など、その授業は多岐にわたり、進級試験に合格しなければ、身分にかかわりなく退学と実力社会です。

    そんな中でもご飯を食べたり、語り合ったり、時には喧嘩したり、ハリー・ポッターの魔法学校、ホグワーツを思い出しました。

    最初は貴族の明留と平民(雪哉も平民より)の生徒たちとの軋轢があったりするのですが、それを乗り越えて行くところが胸熱で。青春ていいな(*´∀`*)

    こうした学生時代に培った友は、これから命がけの任務につく彼らにとって、貴重な財産となるのでしょうね。

    空棺の烏とは


    雪哉たちの学生生活と平行して、若宮の方で起こる新たな問題も描かれます。若宮が先代の「真の金烏」の記憶を持たないことが原因で、神官が若宮の即位に待ったをかけたため、若宮は先代の金烏の情報を調べていくうち、意外なことが判明してゆくのですが…

    タイトルにもなった「空棺の烏」とは、行方不明になった先代の金烏のこと。彼の行動にどんな意味があるのか、そして八咫烏を襲う猿との対決も間近にせまり、次回の話が待ち遠しいです。


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    八咫烏シリーズ


    『烏に単衣は似合わない』
    『烏は主を選ばない』
    『黄金の烏』
    『空棺の烏』
    『玉依姫』
    『弥栄の烏』
    外伝『すみのさくら』
    外伝『しのぶひと』
    外伝『ふゆきにおもう』
    外伝『まつばちりて』
    外伝『あきのあやぎぬ』
    外伝『ふゆのことら』
    レビューポータル「MONO-PORTAL」
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