[映画]この世界の片隅に
2017.01.04 Wednesday
みてよかった。そして、みんなに観て欲しい。そんな映画です。「この世界の片隅に」は、クラウドファンディングで制作され、口コミで徐々にに人気がでてきたそうです。このまま、ロングラン上映が続いて、たくさんのひとに観て欲しい。
18歳の浦野すずは、広島市江波から呉鎮守府に務めるの北條周作のもとへ嫁ぐ。実は、すずと周作は子供の頃、一緒に人さらいにさらわれたことがあった。(すずの方は覚えていない)
軍港である呉には様々な軍艦が浮かび、すずさんの新しい暮らしが始まった。やがてよそへ嫁いだ周作の姉・徑子と娘の晴美が出戻り、賑やかになるものの、徐々に空襲や物資不足に日々の暮らしが侵されていき…。
原作漫画は読んだことがあったのですが、こうの史代さんの繊細なタッチがそのままに、すずさんの暮らしが色彩豊かに描かれていきます。あたりまえだけれども、戦争中も色はあったのですね。鮮やかな色が。
呉港に停泊する軍艦、うさぎがはねるような海の白波、食料調達のために摘んだ春の野草の美しさ。物資の不足も、度重なる空襲も、それでもすずさんと周囲の人々は仕事に行き、ご飯を作り、食べて、寝て、日々を生きています。
「戦争」というと、戦後生まれの私たちは、どこか遠い、SFのような、歴史のように感じていて、戦争を生きた人たちは、どこか私たちと違う、強さをもっているから生き抜けた、と、どこかで勝手に、思ってしまっていた。
でも、違うんですよ。みんな、普通の人なんです。私たちとなんら変わらない。もしかしたら、この暮らしをしていたのは、私たちかもしれない。観ていくうちに、だんだんと、すずさんたちと一緒に、戦時下で暮らしている気持ちになるんです。
戦争中の暮らし、ということで、現代でもよくその様子が紹介されていますが、「この世界の片隅に」を見ると暮らしの中に、戦争が上がり込んでいる感じなんです。人が死んだり、空襲があったり、それが日常と隣り合わせで起きていたのですね。
原作では、すずさんと友だちになる遊郭のリンさんは、周作さんの幼なじみで恋人だったのですが、アニメではそこはあまり描かれません。(インタビューを読むと、それが監督の意図だったらしい)
すずさんとの幼少期に出会っていたエピソードが描かれるのですが、それが最後のスタッフロールのアニメでつながるので、最後までみることをおすすめします。
「この世界の片隅に」が他の戦争映画と違うのは、「敵」の姿が見えないことです。この世界には「敵」が具体的に描かれることがほとんどないのです。(戦後に進駐軍が出てくるけど、その時点ではもう、敵ではない)だから、すずさんは実際に何と戦っているのかが明確にされていない。
もしかしたら、すずさんの「敵」は 日常を侵蝕していく戦争そのものだったのかもしれない。
「この世界の片隅に」で主人公のすずさんを演じたのんさん。俳優さんが声優をすると、たまに、声をあてるのが下手くそな人や、自己主張が強すぎるのか、まったくキャラクターに声が似合っていない人がいるけれど、のんさんの声は本当にいい。
周りのプロ声優さんたちとも全く遜色がないし、すずさんそのもので、ぴったりと重なっている。
少女時代も彼女が声をあてているんですが、こちらも自然で、すずさんの子供時代らしいんです。まったく違和感がない。やっぱりすごい女優さんだな、とあらためて実感しました。
映画の挿入歌を担当したコトリンゴさんの楽曲がまたすばらしくて。主題歌「悲しくてやりきれない」は、ザ・フォーク・クルセダーズが1968年に発表した楽曲。フォークソングがややさしく、そしてとても切ないバラードとなっています。その他にも映画のなかで使われた楽曲を聞くと、すずさんたちの暮らしが蘇ります。
戦争に関連する曲もありますが、「隣組」は、ご近所の和気あいあいした雰囲気ですし、「戦艦大和」に至っては、勇猛さなどは見当たりません。これは、きっと、すずさんが見た隣組や戦艦大和の風景なんでしょうね。
レビューポータル「MONO-PORTAL」
「この世界の片隅に」あらすじ
18歳の浦野すずは、広島市江波から呉鎮守府に務めるの北條周作のもとへ嫁ぐ。実は、すずと周作は子供の頃、一緒に人さらいにさらわれたことがあった。(すずの方は覚えていない)
軍港である呉には様々な軍艦が浮かび、すずさんの新しい暮らしが始まった。やがてよそへ嫁いだ周作の姉・徑子と娘の晴美が出戻り、賑やかになるものの、徐々に空襲や物資不足に日々の暮らしが侵されていき…。
原作漫画は読んだことがあったのですが、こうの史代さんの繊細なタッチがそのままに、すずさんの暮らしが色彩豊かに描かれていきます。あたりまえだけれども、戦争中も色はあったのですね。鮮やかな色が。
呉港に停泊する軍艦、うさぎがはねるような海の白波、食料調達のために摘んだ春の野草の美しさ。物資の不足も、度重なる空襲も、それでもすずさんと周囲の人々は仕事に行き、ご飯を作り、食べて、寝て、日々を生きています。
暮らしの中に戦争があった。
「戦争」というと、戦後生まれの私たちは、どこか遠い、SFのような、歴史のように感じていて、戦争を生きた人たちは、どこか私たちと違う、強さをもっているから生き抜けた、と、どこかで勝手に、思ってしまっていた。
でも、違うんですよ。みんな、普通の人なんです。私たちとなんら変わらない。もしかしたら、この暮らしをしていたのは、私たちかもしれない。観ていくうちに、だんだんと、すずさんたちと一緒に、戦時下で暮らしている気持ちになるんです。
戦争中の暮らし、ということで、現代でもよくその様子が紹介されていますが、「この世界の片隅に」を見ると暮らしの中に、戦争が上がり込んでいる感じなんです。人が死んだり、空襲があったり、それが日常と隣り合わせで起きていたのですね。
敵の姿の見えない戦争
原作では、すずさんと友だちになる遊郭のリンさんは、周作さんの幼なじみで恋人だったのですが、アニメではそこはあまり描かれません。(インタビューを読むと、それが監督の意図だったらしい)
すずさんとの幼少期に出会っていたエピソードが描かれるのですが、それが最後のスタッフロールのアニメでつながるので、最後までみることをおすすめします。
「この世界の片隅に」が他の戦争映画と違うのは、「敵」の姿が見えないことです。この世界には「敵」が具体的に描かれることがほとんどないのです。(戦後に進駐軍が出てくるけど、その時点ではもう、敵ではない)だから、すずさんは実際に何と戦っているのかが明確にされていない。
もしかしたら、すずさんの「敵」は 日常を侵蝕していく戦争そのものだったのかもしれない。
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のんさんとすずさん
「この世界の片隅に」で主人公のすずさんを演じたのんさん。俳優さんが声優をすると、たまに、声をあてるのが下手くそな人や、自己主張が強すぎるのか、まったくキャラクターに声が似合っていない人がいるけれど、のんさんの声は本当にいい。
周りのプロ声優さんたちとも全く遜色がないし、すずさんそのもので、ぴったりと重なっている。
少女時代も彼女が声をあてているんですが、こちらも自然で、すずさんの子供時代らしいんです。まったく違和感がない。やっぱりすごい女優さんだな、とあらためて実感しました。
コトリンゴ
映画の挿入歌を担当したコトリンゴさんの楽曲がまたすばらしくて。主題歌「悲しくてやりきれない」は、ザ・フォーク・クルセダーズが1968年に発表した楽曲。フォークソングがややさしく、そしてとても切ないバラードとなっています。その他にも映画のなかで使われた楽曲を聞くと、すずさんたちの暮らしが蘇ります。
戦争に関連する曲もありますが、「隣組」は、ご近所の和気あいあいした雰囲気ですし、「戦艦大和」に至っては、勇猛さなどは見当たりません。これは、きっと、すずさんが見た隣組や戦艦大和の風景なんでしょうね。
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レビューポータル「MONO-PORTAL」
>映画では晴美さんとすずさんの右手を奪ったのは時限製の爆弾だったのですが、原作ではたしか、飛行機からの機銃掃射だったように思います。うろ覚えですが。
そうなんですねー。
飛行機からの機銃掃射から、時限爆弾に変更した理由、日月さんの推察、すごく納得するものでした・・・。
原作漫画は、図書館にあったので、順番待ちしています。人気があるので、いつ回ってくるやら・・。
そうそう、温度の葉っぱ、知ってます(^^)/
h conceptっていうメーカーさんの商品が好きで、結構いろいろなものを買って、人にプレゼントしています。