2017.01.12 Thursday

文豪令嬢のグルメライフ。『紅茶と薔薇の日々』

日本を代表する文豪・森鴎外。その娘・森茉莉という人は、お嬢様育ちで家事全般苦手だったそうですが、ただ、食に関してだけは、食べるのも作るのも大好きだったそうです。(朝ドラ『ごちそうさん』のめ以子のセレブ版といったところでしょうか)

紅茶と薔薇の日々: 森茉莉コレクション1食のエッセイ (ちくま文庫)』は、父親と食べた明治の洋食の思い出、鴎外直伝のドイツ料理、婚家で覚えたレシピ、夫と過ごしたフランスの料理の話など、美味しい話がぎっしりつまったエッセイ本です。

シチュウ、ロオスト・ビイフ、チョコレエトなど、茉莉さんの書く食べ物の名前はどこか懐かしく、上品な言葉の響きが、美しくも美味しそうです。

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文豪令嬢のグルメライフ


さて、お嬢さまが何を食べていたのか、作中語られるのですが、その優雅で、美味しそうなことといったら!

まず、父・森鴎外に連れられていった上野精養軒の本格洋食。鴎外がドイツから伝えたドイツのサラダ。婚家で作ったホワイトソオスの鮭料理。姑がつくる柚大根などの日常和食など、豪華なものもありますが、そのほとんどが庶民でも作れる簡単な料理なので、再現してみたくなります。

なかでも、鴎外直伝のドイツのサラダは茉莉さんの文章の何度もでてくる、簡単で美味しい料理。
じゃがいもと人参をさいの目切りにし、魚を酢を入れたお湯で湯で、ゆで卵、さやいんげん、玉葱などを入れたサラダで、気軽に魚を食べられるので、便利です。


文豪の親バカエピソード


偉大な文豪が日々どんなものを食べていたのか、どんな生活をしていたのか、文豪の生活が垣間見れるエッセイでもあります。茉莉さんは、箸の上げ下ろしから着替えや髪結い、ほとんど生活のすべてを女中さんにやってもらっていました。

娘の視点からみた森鴎外は、娘を溺愛し、踊りの師匠が茉莉の羽織を褒めたら「茉莉自身を褒めなかった」と憤慨したり、茉莉さんが大きくなってもひざにのって「お茉莉は上等♪」と自作の歌を歌うという、かなりの親ばかっぷりを発揮しています。

軍の要職につき、文豪として世に知られる森鴎外ですが、存外、家の中では親ばかだったようです。

また、食べ物に関して「シチュウは不潔」だから食べないとか、まんじゅうをご飯にのせてお湯をかけて茶漬けにするだの、へんなこだわりを持っています。

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嫁ぎ先についても、何もできないから、女中がたくさんいる家じゃないとやっていけないだろうと、資産家の家(相手はフランス文学者)へ嫁がせます。

そのせいで、後々苦労する事になるのですが、姑に気に入られたり、夫についてフランスへ行ったりと、新婚当初は楽しかったようです。
特に可愛がってくれた姑のお芳さんのことや、フランスのカフェの思い出は、多く書き残しています。(元夫の記述には、客観的ではあるものの、冷徹さが感じられる気が…。)


森茉莉レシピ


家事全般だめでも、食べることにかけて貪欲な茉莉さんは、料理をつくるのもお上手なんです。

舌が覚えているってだけで、食べ慣れた鮭のクリームソオスを再現して、婚家の人間をうならせたり、ズボラで、晩年はベッド上で料理ををしても、美味しいものを作り出していきます。

しかしこの人、交友関係もすごい。一時期「暮しの手帖」に籍をおいていたり、萩原朔太郎の娘、萩原葉子さんとも友だちだし、室生犀星とも親しい。実に豪華なのです。

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