2017.10.25 Wednesday

部屋にまつわる謎、あります。『物件探偵』乾くるみ

最後のページですべてをひっくり返したすごいミステリ『イニシエーション・ラブ』の乾くるみさんがの『物件探偵』。物件にまつわる謎を風変わりな不動産探偵、不動尊子が解き明かしていく短編集です。

各章のタイトルがそのまま物件情報と間取り図になっているのが面白い趣向です。

異色の探偵・不動尊子


これまでも『東京ロンダリング』など不動産に関わる小説は読みましたが、『物件探偵』が扱うのは主に不動産。
部屋の借り主や持ち主が(そうとは知らずに)抱えることになったトラブルを勝手に解決していきます。

彼女は毎回宅建認定証を印籠がわりに、トラブルを抱える物件に乗り込み勝手に推理を始めてしまいます。どうやら多くの不動産を扱ううちに、その家の気持ちがわかるようになったらしいのです。
部屋の借り主や持ち主のもとを訪れては「部屋が泣いています。」などと、部屋の気持ちを代弁し強引にあるべき姿に整えていく。しかし、その経歴は(宅建資格)以外はほとんど謎に包まれています。

物件探偵
物件探偵
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身近なのに難解な不動産業界


家を借りたり、買ったりという行為、私たちは普段当たり前に行っていますが、とても大きな金額を扱うのに、そうした契約時の手続きは正直よくわからないことが多く、不動産屋さんの言うとおりに書類を書いて捺印してしまっています。

しかし世の中には悪質な悪質不動産屋もいて、物語ではそんな詐欺事件も扱っています。投資用に物件を相場より高く売りつける詐欺や、自分の横領を隠すために住人を追い込んだりと、恐ろしい不動産業界の裏側が見えてきます。

そんな悪質な被害をうけないためには、やはり私達も勉強が必要ということですね。

ところでこの「物件探偵」読みながら不動産の勉強にもなります。バルコニーとベランダのの違い、心理的瑕疵物件とはいわゆる事故物件で借り主に告知の義務があるなど、実際に役立つ知識も。

『イニシエーション・ラブ』でも感じたけれど、乾くるみさんはこうした理系の解説がとてもうまくてわかりやすいですね。

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