磯田センセイ、東奔西走『日本史の内幕 - 戦国女性の素顔から幕末・近代の謎まで 』

2018.05.04 Friday

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    東に面白い古文書があれば新幹線に飛び乗り解読し、西に古墳や遺跡があれば行って発掘する。それが磯田道史センセイです。

    「武士の家計簿」以来、磯田先生のファンになり著作を読んでいるのですが、磯田センセイがほかの学者さんと異なるのは、そのたくみな文章力と、類まれな好奇心だと思います。

    歴史のことになると、たとえテレビであっても喋り倒す、興味がある遺跡には勝手にフレームアウトして見に行っちゃう。そんな磯田先生がまさに東奔西走して集めた歴史秘話を綴るこの一冊。『日本史の内幕』は、貴重な古文書から読み解いた歴史の内幕が、軽快な文章で綴られています。

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    徳川埋蔵金のてがかり?


    とにかく磯田先生、古文書をみつけだす嗅覚がすごい。日本全国を駆け回り独自の古文書ネットワークから貴重な資料を読み解いていき、それが時に重大な発見につながることもしばしば。

    TBSがやっている徳川埋蔵金発掘事業(もう事業といってよい)、埋蔵金を埋めた張本人と言われる小栗上野介に関する古文書から「小栗が弐分銀を群馬の領地に埋めた」との一文を発見します。

    しかしセンセイ自身は埋蔵金について「出る可能性は低いが、出るなら弐分銀」と書いてます。ええっ!(;・∀・)テレビでは出るっていってたじゃないすか!

    行動する歴史学者


    歴史家学者って文献をよんだり、遺跡を発掘するイメージですが、磯田センセイはそこにもうひとつ「行動」が加わります。

    浜松にいらしたときは、遺跡発掘を市長に直談判、市民をまきこんだイベントにするわ、戯曲をかいてみたり、兜に香を焚きしめたりと、古文書にある記述を実際にやってみないと気が済まない。それが磯田センセイの魅力ですね。

    ちなみに大河ドラマ「おんな城主直虎」も磯田センセイが制作側に(頼まれないのに)アドバイスを出したことで実現したらしいです。「直虎」を地元の人にもしってもらうため、野外劇をしかけたりと、まあとにかく動きます。




    著作の映画化


    「武士の家計簿」に続き、著作「無私の日本人」の短編が「殿、利息でござる!」として映画化された磯田センセイ。映画制作に関するエピソードを紹介しています。

    「殿、利息でござる!」のあらすじは、仙台の貧しい宿場町の人々が金を出し合い、殿様相手の金貸し業をすることで町を救おうとする物語。あの手この手で節約をしてお金をためていきます。

    映画化にあたり、当時の仙台藩主を誰にするかで制作側は悩んだらしい。主演・妻夫木聡、阿部サダヲという存在感のある役者に負けない「殿」として、フィギュアスケートの羽生結弦さんに白羽の矢が。確かに、羽生選手なら個性は揃いの役者を無効に回しても負けないですしね。羽生選手は故郷のためになるならと、この役を快諾してくれたそうです。

    磯田センセイもカメオ出演されているそうですが、文書を夢中で読むのに夢中になってる姿が全く違和感なかったとか…。

    DVD特別版「殿様版」には羽生結弦選手のメイキングもおさめられています。

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    ところで磯田センセイ、映画「武士の家計簿」が縁で主演俳優・堺雅人さんと親友になったのだとか。いつの間に…そういえば堺雅人さんも歴史好きだし変わり者なのでウマがあったのかもしれませんね。

    [映画]武士の家計簿の感想
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    古文書はカビの生えた昔の記録ではなく、現代に生きる知恵がつまっている


    東日本大震災以来、古文書に記された地震と津波の研究を(忍者研究をなげうって)続けてきた磯田センセイ。第七章では、古文書から読み解く災害時の人々の様子や復興について先人の知恵を書かれています。

    昔の自社は先人たちの経験値によって地震や津波の影響の少ない場所に建てられていることが多く、また、津波の塩害で枯れた参道の木を寺社の再建に使っていたそうです。

    復興の中心はこうした公共の施設が率先して行うことで、当時の被災者に仕事の提供を行う意味もあったそうですし、なにより「シンボル」が復興することが被災地に希望をもたらすのでしょう。

    こうした先人たちの経験値を古文書から学び、明日の災害対策に用いねば…と思います。

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