『リーチ先生』原田 マハ

2018.09.03 Monday

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    原田マハさんの『リーチ先生』読了。明治から昭和初期にかけて新しい芸術運動として発達した「民藝運動」、その担い手として名を連ねたイギリス人バーナード・リーチ。身一つで日本へやってきたリーチと、彼を「先生」と慕う主人公との師弟愛、西洋と日本の陶芸をつないだリーチの半生を描いた作品です。

    陶芸という火と土の芸術の美しさと難しさ、それに魅入られた男たちの物語が熱い物語でした。

    『リーチ先生』あらすじ


    沖亀之助は、高村光太郎の紹介で彼の父親・高村光雲の書生として働いていた。そこへ、光太郎がロンドン留学中に知り合ったというイギリス人青年・バーナード・リーチが訪ねてくる。幼い頃、日本で育ったというリーチは西洋と東洋の美術の架け橋になろうと、身ひとつで来日してきたという。

    リーチの思想に感銘を受けた亀之助は、リーチの弟子となり共に日本での芸術活動を手伝っていくことに。やがて、リーチの活動に感銘をうけた芸術家たちが彼のもとに集まるようになる。

    そして、リーチは自分の生涯をかけるべき仕事「陶芸」に出会う。亀之助もまた陶芸に魅せられ、リーチとともに陶芸の道を歩んでいく。日々の使う器の中に美しさを見出す「用の美」をもとめ、ついにはイギリスに窯をひらくことになる。

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    私は学生時代、民藝運動に興味を持ち、日本民藝館や河井寛次郎記念館を訪れたものです。そうした民芸運動の偉人たちが出会い、芸術論を交わし、作品を作り、交流していく様子は読んでいてワクワクしました。

    リーチ先生が出会ったのは、留学時代の高村光太郎や、最初は口論するものの、後に盟友になる民芸運動の中心人物・柳宗悦、白樺派の志賀直哉や岸田劉生、それに同じく陶芸を志した富本憲吉、濱田庄司、河井寛次郎など。

    そんな「芸術家アベンジャーズ」と言ってもいいほどの偉人たちも、悩んでもがきながら新しい創造への道を切り開いていった「青の時代」があったのですね。

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    日本民藝館へいきたくなる


    「リーチ先生」を読んだら実際にリーチ先生の作品がみたくなりました。都内では柳宗悦が開いた日本民藝館でリーチ先生のほか、さまざまな民藝運動の芸術家たちの作品もみられます。

    収蔵品の中には名もなき陶工たちがつくった「用の美」の陶器が多数展示されています。おそらく、そのなかにはカメちゃんの作品があるかもしれません。

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    原田マハさんのアート小説


    暗幕のゲルニカ
    リーチ先生
    美しき愚かものたちのタブロー
    たゆたえども沈まず
    The Moden モダン
    コメント
    ×滝亀之助
    ○沖亀之助

    よろしく。
    • by 通りすがりの者ですが
    • 2020/07/14 6:24 PM
    お忙しいところ、お時間をさいていただき、誤字脱字をご指摘いただき、本当にありがとうございました。これから修正させていただきます。
    • by 日月
    • 2020/07/15 9:54 AM
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