2018.09.26 Wednesday

ビブリア古書堂、その後の物語。『ビブリア古書堂の事件手帖 扉子と不思議な客人たち』三上 延

『ビブリア古書堂の事件手帖』の続編が出ました!シリーズ完結から、栞子さんと大輔くんのその後の物語が描かれます。なんと、二人の間には小さな娘が!

物語は、栞子さんによく似たこの「扉子」ちゃんに、栞子さんがこれまで起きた本にまつわる話を聞かせるといった手法がとられています。これまでのビブリア古書堂シリーズに登場した人々も出演します。

それにしてもあのふたり、いつの間に結婚、そして娘まで…。

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二人の娘・扉子ちゃんは利発で本好き。本にまつわる感の鋭さは栞子さん譲りです。性格は明るくて栞子さんの妹文香ちゃんに似ているけれど、本に関する好奇心は大人顔負けです。
これまでのビブリアシリーズのように、1冊の本にまつわる謎を紹介しているのですが、その間にサイドストーリーとして栞子さんと扉子ちゃんが出張中の大輔くんの本を探すと言ったストーリーが添えられています。

その本がなんだったのか、どうしてそれを、娘に見せたくなかったのか、それが最後にわかる仕組みになっています。私が推理したのは二人の出会いのきっかけになった夏目漱石の「それから」でしたが…。

北原白秋 与田準一編『からたちの花 北原白秋童話集』(新潮文庫)


『ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』に登場した坂上昌志としのぶ夫妻。夫の昌志は過去に罪を犯して刑務所に入っていた過去から、親戚と断絶していたが、昌志の兄である父親に頼まれた姪・平尾由紀子が夫妻のもとを尋ねることに。

父から叔父へ渡すように頼まれたのが『からたちの花 北原白秋童話集』だった。犯罪者として親戚から嫌われていた叔父の、優しくも悲しい身内との思い出が解かれていく。
「みんなみんなやさしかった」の歌詞がこの物語の謎がわかると、とても切ない。坂口さん、しのぶさんと結婚して幸せになれてよかった…。

からたちの花―北原白秋童謡集 (新潮文庫)

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ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜 (メディアワークス文庫)




『俺と母さんの思い出の本』


栞子の母・智恵子の友人である磯原未喜から、急逝した息子との思い出の本を探してほしいとビブリア古書堂に依頼が着た。手がかりはほとんどなく、息子のマンションで彼の妻から事情を聞くも、具体的な確証は得られない。

ゲームとイラストが好きでクリエイターとなった息子と、資産家で「まっとうな」仕事についてほしいと英才教育を押し付けた母との思い出の本とは一体なんなのか。

今回、ほとんどヒントがなくて、どうやって探し出すんだろう?と思っていたら細部にヒントが隠されていました。いつものことながら栞子さんの洞察力が冴え渡ります。ゲームは不得手とはいえここまで確信にせまれるとは…。

あと、この回に登場する急逝した息子の親友の存在は切ないですね。友人は有名クリエイターになったのに、自分はライトノベル作家として鳴かず飛ばずで、その格差に苦しんだり。持たざる者の苦悩も描かれます。

にしても、クリエイターと年の離れたコスプレイヤーの夫婦って、どこかで聞いたような…

佐々木丸美『雪の断章』


こちらもビブリア古書堂の事件手帖の常連、ホームレスでせどり屋の志田と、あるきっかけで彼と親しくなった女子高生の小菅奈緒の物語。ある日、奈緒は志田の住む河原で一人の少年に出会う。自分と同じように志田と本の話をする「生徒」らしい。

やがて志田が失踪し、心配した奈緒は、その少年・紺野祐汰とともに志田の行方を探していくうちに紺野が秘密を抱えていることに気がついて…。

今回は栞子さんは登場せず、奈緒がひとりで推理します。奈緒は以前、栞子さんの鋭い洞察で自分の恋心まであばかれたことで苦手意識を持っているようで。確かに、栞子さんて自分の興味に関して暴走するところがあるからなあ。
母の智恵子さんほどではないにしろ、ちょっと人の気持ちを忖度しないところがあるから。

まあ、今は大輔くんがついているので大丈夫ですが、今度は娘の扉子ちゃんが暴走しそうで、栞子さんがあたふたしています。

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内田百聞『王様の背中』


最終巻で栞子、母・智恵子とシェイクスピアの初版本を巡って破れた古書店主・吉原喜市は敗北のショックから倒れ、今は仕事を息子に任せていた。息子の考二は古書の引取に訪問した家で、一足違いでビブリア古書堂が買い取ったと聞かされる。

諦めきれず買い取られた本を見てみようとビブリア古書堂を訪れた考二は、ある理由で本を売った家の息子と勘違いされたことで、本を持ち去ろうと試みるが…。

扉子ちゃん、恐ろしい子…(,,゚Д゚) 純粋無垢であるがゆえに相手を追い込んでゆきます。吉原親子側がどうみたって悪いのですが、本に関して圧倒的な知識と洞察力をもち、時に強引に事を運ぶ篠川家の遺伝子を前にしたら、こんな気持になるのも、わからんでもないんだよなあ…と、凡人の私などは思うのです。


内田百聞先生は鉄道マニアで『阿房列車』などが有名ですが、子供向けの本も書いていたんですね。同じく夏目漱石門下で先輩だった『赤い鳥』の鈴木三重吉さんの影響なんでしょうか…?

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後日譚と前日譚


今回はビブリア古書堂の事件手帖、登場人物のその後の物語でした。なんにせよ、栞子さん大輔くんカップルが幸せになってよかった。今回は「後日譚」だそうですが、あとがきを読むと「前日譚」を書く予定もあるそうで。

栞子さんの父方、母方の祖父(両方とも古書店主)の因縁とか、戦前から戦後にかけての古本事情なんかも織り交ぜて書いてほしいなと思います。

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「ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち」
「ビブリア古書堂の事件手帖2〜栞子さんと謎めく日常」
「ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆」
「ビブリア古書堂の事件手帖4〜栞子さん2つの顔」
「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時」
「ビブリア古書堂の事件手帖6 栞子さんと巡るさだめ」 
「ビブリア古書堂の事件手帖7〜栞子さんと果てない舞台〜」

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