2018.10.14 Sunday

『明治大正 翻訳ワンダーランド』鴻巣 友季子

以前、黒岩涙香の『幽霊塔』の感想に「物語は大変面白かったものの、明治のトンデモ翻訳、英国なのに日本人名やら歌舞伎のような台詞回しに難儀した」と書きました。

ところが翻訳家・鴻巣友季子さんの『明治大正 翻訳ワンダーランド』を読んでみたら、明治時代の翻訳者の功績について書かれており、先人たちが創意工夫・悪戦苦闘の末、海外文学の翻訳を行っていた姿を知り、失礼なことを言って、も申し訳ない気持ちに…(そうは言っても、やはりわかりづらいけれど…)

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悲劇がハッピーエンドに?明治のトンデモ翻訳事情


明治は言文一致運動(それまで書き言葉と話し言葉がちがっていたので一緒にしよう、という運動)が始まったばかりの時代。その中で外国語の知識と、読者に伝わる日本語センスをもった翻訳者は希少な存在であり、突出した才能の持ち主たちでした。

そして、明治大正の翻訳者は、その才能ゆえか、作品も人生もかなり個性的なのでした…。

奇想天外・黒岩涙香


個性的な翻訳と、奇想天外な展開で人気を博した黒岩涙香。そんな黒岩涙香が手がけた「レ・ミゼラブル」は「あゝ無情」、「モンテ・クリスト伯」を「巌窟王」と日本名にわかりやすくしたのは涙香の功績なのだとか。

黒岩涙香は英語小説を毎日読むことを自らに課し、「百冊に一冊」翻訳に値する小説を探しては日本の読者にわかりやすく、面白い小説を提供してきましたが、中には「翻訳」の域を超えてしまった作品も。

著作権や版権の感覚が現代とは違う明治時代、なんと涙香は小説の結末をも変えてしまったのです…!
「鉄仮面」という小説ではそもそも主人公は鉄仮面をかぶっていなかった!そしてアンハッピーで終わるはずのラストを大胆にも大団円に書き換えてしまったのです…。さすがは「翻訳」ならぬ「翻案」と呼ばれた黒岩涙香…。

『幽霊塔』感想→

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その他にも、トルストイやドストエフスキーが好きすぎて翻訳してしまった翻訳家の話、日本語に翻訳されたことで、忘れられた原作が再び注目された話など、翻訳黎明期の翻訳者にまつわるさまざまなエピソードが満載です。

ちなみに、日本でよく知られている『フランダースの犬』の最初の翻訳ではネロは清、パトラッシュは斑(ぶち)と訳されていたそうな…

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こちらもおすすめ『翻訳百景』

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