音楽をことばで表す『羊と鋼の森』宮下 奈都

2019.01.09 Wednesday

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    本屋大賞を受賞した『羊と鋼の森』。読んでみた感想はとにかく音の描写が新鮮で美しい。はっとするような、みたことのない世界に連れて行ってくれる、そんな印象の本でした。

    音楽を表現する小説はこれまで『さよならドビュッシー』が音楽、メロディの描写が素晴らしいのに対し、『羊と鋼の森』は音そのもの描写が素晴らしい。

    音という目に見えないもの、言葉で伝えるのがむずかしいものを、音を森にたとえて音を探す調律師を森の道を探す旅人に例えている。果てしない音の道を、遠くの道標をめざして、ときに迷い込みながらコツコツと、ほんとうにコツコツと進んでいく主人公・外村の成長と彼をとりまく人々の物語。

    調律師というなじみのない職業、どちらかといえば地味な裏方と思われがちですが、宮下奈都さんの文章にかかると、彼らが音の探求者であることが伝わってきます。

    求める「音」はピアノを弾く人のためか、あるいはピアノを聞く観客のためのものか、あらゆる状況下でベストの音をつくらなければならない。そんなつかみどころのない「音」を求めていく調律師の姿が浮かび上がってきます。

    調律師の仕事は(中略)目指すところがあるとしたら、ひとつの場所ではなく、ひとつの状態なのではないか。

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    『羊と鋼の森』あらすじ


    高校2年のとき、学校であったピアノの調律に魅了され、調律の世界に飛び込んだ外村。憧れていた調律師・板鳥さん、気さくな先輩・柳さんたちに教えられながら音を追い求める日々を送る。

    そんな中、外村は調律先で出会った双子・和音のピアノに魅了される。明るい双子の妹・由仁の演奏よりも静かで目立たない演奏だったけれど、印象にのこったのは和音の方だった。

    調律師として修行を続ける外村だったが、なかなか自分の望む音をつくることができずにいた。それでも悩み、あがきながら果てしない音の森を進んでゆく…。

    映画版『羊と鋼の森』主人公外村を山賢人さんが演じています。(アマゾンプライムビデオ版)

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    宮下奈都作品感想


    「メロディ・フェア」→
    「誰かが足りない」→
    「太陽のパスタ、豆のスープ」→
    コメント
    こんばんは。
    ピアノを習ったことが無い私にとって調律師という仕事は全く分からない世界でした。
    それでも、日月さんがおっしゃるとおり宮下さんの手にかかればいかに素晴らしくて尊い仕事なのかということが伝わってきます。

    外村のひたむきさに心打たれました。
    また、好きなことを素直に好きでいて良いんだとも思わせてくれた気がします。
    映画は行きたいとおもいつつ結局観に行かなかったのですが、いつか観たいと思います。
    • by 苗坊
    • 2019/01/14 8:21 PM
    苗坊さんコメントありがとうございます。

    外村のバックボーンである「森」と、「音」がきれいにシンクロして美しいものがたりでした。

    映画も見てみたくなりました。
    • by 日月
    • 2019/01/15 10:01 PM
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