もしも写真の中に入れたら…『銀塩写真探偵 一九八五年の光』ほしをさなえ

2019.05.18 Saturday

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    もしも写真の中に入れたら、あなたは何を見てみたいですか?
    亡くなってしまった懐かしい人、撮影当時の風景、あるいは思い出の品…。
    銀塩写真探偵 一九八五年の光 』の世界では、特殊な状況下でだけ写真の中の風景に入ることができます。

    一見、荒唐無稽な設定と思われるかもしれませんが、詳細な現像技術や撮影の描写と、ほしおさなえ先生の情景描写がすばらしくて、読んでいるといつの間にか私たちも写真の世界へ吸い込まれてしまいます。

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    『銀塩写真探偵 一九八五年の光』あらすじ


    陽太郎は高校の写真部の掃除中にカメラマン辛島弘一の作品に出会う。モノクロの、影を写したようなその写真は、弘一によれば「光」を写した写真・フォトグラム(印画紙に直接ものを置いて感光させる技法)だという。

    弘一の作品とフィルム(銀塩)写真に惹かれた陽太郎は弘一に弟子入りする。

    ある日、陽太郎は弘一のアトリエで写真の引き伸ばし機を作動させると、そこは写真の風景の中だった。陽太郎は写真の中で弘一の姪・杏奈とともに行方不明の弘一を探すことに。

    フォトグラムの写真


    ものの形が際立つものや、ぼかしや色が加えられたアーティスティックな作品など、光と影だけでもさまざまな表現方法があって驚きました。





    銀塩写真探偵とは


    タイトルにもある「銀塩写真探偵」とはどんなものなのか。
    写真の中で再会した弘一によると「モノクロフィルム、特定の引き伸ばし機、一枚の写真でその中に入れるのは一度きり、写真の中に干渉はできない」など、さまざまな制約があるものの、撮影された日時のフィルムに映っていない場所にも行くことができるのだそう。

    弘一もこの秘密を受け継いだため、「使い方」は知っていても「どうして」そうなったかは謎のまま。でも、その日、その時にもどって確かめたいと願う人は少なからずいて、そうした人々のために写真の中に入る「探偵」をしていました。

    写真というのはある意味、タイムマシンなのかもしれない。写真を見ればその時の風景や一緒に写った人たち、さまざまな思い出が蘇りますから。シャッターを押した時は気がつかないのだけれど。

    もし、私が写真の中に入れたら、学生時代のゼミ旅行に行きたいな。写真に凝っていた友人たちが撮ったモノクロの写真もあるので。

    ほしおさなえ作品感想


    『活版印刷三日月堂 星たちの栞』
    『活版印刷三日月堂 庭のアルバム』
    『活版印刷三日月堂 海からの手紙』
    『活版印刷三日月堂 雲の日記帳』
    『菓子屋横丁月光荘 歌う家』

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