『菓子屋横丁月光荘 浮草の灯』ほしおさなえ

2019.06.20 Thursday

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    小江戸・川越を舞台にした『菓子屋横丁月光荘』は、家の声を聴くことのできる主人公・守人と、人と家とのつながりの物語です。

    2作目の『菓子屋横丁月光荘 浮草の灯』では、孤独だった守人が家の声をきっかけにして、川越の人々と縁をふかめていき、家である(はずの)月光荘とも仲良くなっていきます。



    また、同じく川越を舞台にした『活版印刷三日月堂』に登場した「浮草」という古書店や三日月堂ゆかりの人々が登場するので、三日月堂ファンにも嬉しい展開でした。
    ・『活版印刷三日月堂 雲の日記帳

    家のつくもがみ


    今回、読んでいて驚いたのが月光荘です。月光荘は守人の恩師・木谷教授から管理人を任されている古い家…なのですが、この子(と呼びたくなるのです)は守人の前だとずいぶんと「おしゃべり」なのです。

    月光荘は最初、昔住んでいた少女が歌っていた歌を口ずさむ程度でしたが、声を聞ける守人と会話が成立するようになります。それは、まるでちいさな少女のような明るくて屈託のない感じなのです。

    「ツカレタ」「タノシイ」など、カタコトのような言葉で守人と会話する月光荘がとてもかわいらしい。月光荘の言葉によると、家には魂のようなものがあり、他の家ともある方法で交流できるようなのです。
    なんだか年を経たモノが变化した「つくもがみ」のようですね。

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    家と人とのつながり


    『菓子屋横丁月光荘』を読むまで、家はただの居住空間であり、持ち主の転居など、時期がくれば去っていくものだと思っていました。でも、この物語では家も長い年月を経ていたり、人から大切にされることで家もまた、人を大切に思ってくれているのを知って、ちょっとうれしくなりました。

    守人のように声は聞けなくても、こうして家と人とがつながっていると考えると、家がとても愛おしくなりますね。



    菓子屋横丁月光荘シリーズ


    『菓子屋横丁月光荘 歌う家』
    『菓子屋横丁月光荘 文鳥の宿』
    レビューポータル「MONO-PORTAL」
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