蓮丈那智フィールドファイルIII 『写楽・考』 北森鴻

2019.08.17 Saturday

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    美貌の民俗学者・蓮丈那智が殺人と歴史の謎を解く、蓮丈那智フィールドファイル『写楽・考』

    前作『触身仏』から新たに研究室の助手となった佐江由美子が加わったり、これまで名前が伏せられていた教務の元民俗学者の名前が判明するなど新たな変化があったものの、助手兼ワトソン役の内藤くんは相変わらず蓮杖先生に振り回されています。

    優秀な佐江さんが加わったことで戦々恐々としたり、ちょっと狂言回し的な役割が強くなってきたのはちょっとかわいそうな気も…



    写楽・考─蓮丈那智フィールドファイルII あらすじ



    憑代忌


    「憑代」とは神をその中に宿す器物のこと。お祭りのお神輿なども「憑代」の一種ですね。
    那智先生に依頼され、内藤と佐江だけである旧家にある憑代の人形の調査に向かうものの、そこで殺人事件に巻き込まれてしまう。
    また、大学内では単位を落とさぬおまじないとして、学生の間に内藤の写真を撮ってそれを破損する行為が流行っていて…。

    那智先生の写真は手に入らないし、怖い。なので代替品として内藤くんの写真が使われたらしいのだけど、それが「憑代の変遷」という事件のヒントにつながっていきます。

    湖底忌


    湖の底に沈む鳥居とそれにまつわる事件。そもそも鳥居とは何なのか、一節には神が変化した鳥のとまる場所とも言われますが、ここでは、鳥居そのものが信仰の対象であり、現実と非現実を分けるモノという説を唱えています。

    神社も鳥居も私達の身近にあるけれど、説明をしろと言われたらよくわからないものですね。

    棄神祭


    那智先生が学生の頃、フィールドワークで訪れた旧家で起こった殺人事件。過去に決着をつけるべく那智先生が再度謎を解くという展開。その家には神像を壊すという一風変わった行事があり、それを撮影したビデオに謎をとく鍵があるらしい。

    「破壊される神」とは何を表しているのか。日本神話で殺されることで食物を生み出した大気都比売神を例に取り、崇めるべき神が破壊される謎に迫ります。

    写楽・考


    民俗学的モチーフではなく、地方の資産家の失踪事件と、資産家の持つ美術品についての謎を、蓮丈那智研究室と元民俗学者の教務職員・高杉が追っていきます。

    タイトルに写楽がついているのに、実は写楽は最後まででてきません。最後でようやく謎が解けるのですが、これだけ少し毛色の違う感じがしました。



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