『白銀の墟 玄の月』第二巻 感想(ネタバレ)
2019.10.29 Tuesday
『白銀の墟 玄の月』第二巻読了。白圭宮に戻った泰麒と、驍宗を探すため文州・函陽山周辺を旅する李斎の2つの視点から物語が展開していきます。
そして2つの視点の合間に、病気の主に仕える少年と、貧しい家の少女のエピソードが挟まれています。この2つが後にどう関係してくるのか。
白圭宮に戻った泰麒は、阿選と面会。帰還を許されるものの、官吏は動かず民の救済は進まない。責任を取りたくないからのらりくらり問題を先送りにする官吏たち。
そんな官吏たちに、麒麟とは思えない心理戦で圧力をかける泰麒。あろうことか、「阿選を新王にするためには驍宗に禅譲(自ら王の位を降りる。すなわち王の死を意味する)をさせる必要がある」とまで言い放ちます。
果たしてそれは、民の救済を行うための方便なのか、それとも本当に…?
しかしなんだか泰麒の行動が陽子化してますねww
たぶんこの事件が終わったあと「胎果の王、麒麟=思いもよらない行動をする人たち」と言われそうな…
驍宗が最後に消息を絶った函陽山周辺で手がかりを探す李斎一行。途中、土匪の頭目や道観の人々の協力を得て、さまざまな土地を訪れるものの、その全てが空振りに終わり、各地で民の惨状を突きつけられただけだった。
絶望の中、数少ない希望も得た。土匪の頭目からは驍宗が行方不明になった原因となった土匪の乱の内情を知り、驍宗配下の将軍の部下・静之に出会うこともできた。
しかし、最後にたどり着いた老安というまちで、驍宗らしい武人が匿われていたという情報を得たものの、その武人はすでに亡くなっていた…。
とにかくこの巻をひとことで言えば「混迷」です。なにもかもが不明瞭で、確かなことがなにも見えない。
しかし、情報も人も制限され、不確実な情報ばかりの中では、疑おうと思えばどれも疑わしい。
冢宰の趙運などは、泰麒が本当に麒麟であるのかまで疑い出す始末です。
泰麒が戻った白圭宮では、さまざまな思惑が交錯しています。これまでの戴国編を読むと阿選は「麒麟の角を切り、驍宗から王位を簒奪した極悪人」なのですが、阿選の配下でも「新王阿選」に素直に喜ぶ者がいるかと思えば、不安を感じているものもいます。
あるいは阿選によってうまい汁を吸ってきた連中は、泰麒が示した条件に右往左往し、なんとか阿選が王位につくよう画策するも、阿選には届かず、ますます混迷を極めていきます。
読めば読むほど、霧が深く、なかなか真相にたどりつけない、そんな不安を掻き立てられる二巻でした。
ここからは読んでみて引っかかった部分をもとに推理してみました。
作中、泰麒が「上を向いて膝をついたあと、床を見つめていた」という文があり、私はここで使令が帰ってきたのじゃないかと推理しました。
寒い庭にずっととどまっているのも、使令と連絡をとりあっているのでは…?
姿の見えない、建物の上にいるらしい鳩。この鳩がでてくるとき、どうもその周囲の人が「病む(魂が抜かれたような状態)」ようで、今回は最初に泰麒の世話にあたった平仲がその餌食となったような…?
この鳩が阿選が行う「傀儡廻し」との関係は…?
その他にも謎の少女・那利の主は誰なのか、琅燦の狙いはなにか、白幟の母子が目指す「奇跡をさずける道士」の存在、など、謎は多いのですが、最大の謎は「驍宗様の安否と居場所」「阿選の行動原理」です。
この二つの謎がどのようにして解かれていくのか、それとも謎のままなのか…
第四巻の表紙は阿選なんですかね…?彼を倒せばハッピーエンド、そんな近頃のファンタジーでは片付けられないのが十二国記の残酷さであり、魅力なんです。
そして2つの視点の合間に、病気の主に仕える少年と、貧しい家の少女のエピソードが挟まれています。この2つが後にどう関係してくるのか。
泰麒視点・白圭宮
白圭宮に戻った泰麒は、阿選と面会。帰還を許されるものの、官吏は動かず民の救済は進まない。責任を取りたくないからのらりくらり問題を先送りにする官吏たち。
そんな官吏たちに、麒麟とは思えない心理戦で圧力をかける泰麒。あろうことか、「阿選を新王にするためには驍宗に禅譲(自ら王の位を降りる。すなわち王の死を意味する)をさせる必要がある」とまで言い放ちます。
果たしてそれは、民の救済を行うための方便なのか、それとも本当に…?
しかしなんだか泰麒の行動が陽子化してますねww
たぶんこの事件が終わったあと「胎果の王、麒麟=思いもよらない行動をする人たち」と言われそうな…
李斎視点・文州・函陽山周辺
驍宗が最後に消息を絶った函陽山周辺で手がかりを探す李斎一行。途中、土匪の頭目や道観の人々の協力を得て、さまざまな土地を訪れるものの、その全てが空振りに終わり、各地で民の惨状を突きつけられただけだった。
絶望の中、数少ない希望も得た。土匪の頭目からは驍宗が行方不明になった原因となった土匪の乱の内情を知り、驍宗配下の将軍の部下・静之に出会うこともできた。
しかし、最後にたどり着いた老安というまちで、驍宗らしい武人が匿われていたという情報を得たものの、その武人はすでに亡くなっていた…。
混迷を極める「承」
とにかくこの巻をひとことで言えば「混迷」です。なにもかもが不明瞭で、確かなことがなにも見えない。
しかし、情報も人も制限され、不確実な情報ばかりの中では、疑おうと思えばどれも疑わしい。
冢宰の趙運などは、泰麒が本当に麒麟であるのかまで疑い出す始末です。
泰麒が戻った白圭宮では、さまざまな思惑が交錯しています。これまでの戴国編を読むと阿選は「麒麟の角を切り、驍宗から王位を簒奪した極悪人」なのですが、阿選の配下でも「新王阿選」に素直に喜ぶ者がいるかと思えば、不安を感じているものもいます。
あるいは阿選によってうまい汁を吸ってきた連中は、泰麒が示した条件に右往左往し、なんとか阿選が王位につくよう画策するも、阿選には届かず、ますます混迷を極めていきます。
読めば読むほど、霧が深く、なかなか真相にたどりつけない、そんな不安を掻き立てられる二巻でした。
今後の予想
ここからは読んでみて引っかかった部分をもとに推理してみました。
使令が戻った?
作中、泰麒が「上を向いて膝をついたあと、床を見つめていた」という文があり、私はここで使令が帰ってきたのじゃないかと推理しました。
寒い庭にずっととどまっているのも、使令と連絡をとりあっているのでは…?
不気味な鳩の鳴き声
姿の見えない、建物の上にいるらしい鳩。この鳩がでてくるとき、どうもその周囲の人が「病む(魂が抜かれたような状態)」ようで、今回は最初に泰麒の世話にあたった平仲がその餌食となったような…?
この鳩が阿選が行う「傀儡廻し」との関係は…?
最大の謎
その他にも謎の少女・那利の主は誰なのか、琅燦の狙いはなにか、白幟の母子が目指す「奇跡をさずける道士」の存在、など、謎は多いのですが、最大の謎は「驍宗様の安否と居場所」「阿選の行動原理」です。
この二つの謎がどのようにして解かれていくのか、それとも謎のままなのか…
第四巻の表紙は阿選なんですかね…?彼を倒せばハッピーエンド、そんな近頃のファンタジーでは片付けられないのが十二国記の残酷さであり、魅力なんです。
JUGEMテーマ:オススメの本
私もようやく2冊読みました。
ずっと待っていた新刊でしたが、戴国の状況が想像以上に酷くて、読んでいて哀しくなりました。
泰麒の決断も分かります。そして第二巻での最後の状況は本当なのかどうなのか、確信が持てないのがまだ希望があると思いつつもどかしさもありつつ…
第三巻、第四巻も楽しみです。