『西の魔女が死んだ』 梨木 香歩

2020.08.13 Thursday

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    前に紹介した『書店員 波山個間子』という書店まんがで紹介され、気になっていた『西の魔女が死んだ』読了。
    自分のことを理解し、無条件で愛してくれる人がいること。現代ではそれこそが「魔法」なのかもしれないな。

    『西の魔女が死んだ』あらすじ


    主人公のまいは、祖母である「西の魔女」が死んだと知らされ、祖母の家に向かう途中、むかし祖母の家で過ごした時間を思い出す。

    まいは感受性が強く、学校で孤立してしまう。そんな彼女を見かねた母は、まいを祖母のもとへ預けることにする。田舎で暮らしているイギリス人の祖母は、まいに生活の術と、魔女の心得を伝えていく。



    理想の子ども時代


    こんな子ども時代を過ごしてみたかった。主人公のまいは感受性が強く、「生きて行きにくいタイプの子」です。

    そんなまいを、おばあちゃんは「まいのような子が生まれてきてくれたことを感謝していましたから。」といい、傷ついたまいを愛情で包んでくれる。

    ベッドメイキングやジャムづくりといった具体的な生活の知恵から、精神を鍛える魔女修行まで、いろいろなことを教えてくれます。

    それは学校では決して習えないけれど、生きていくのにとても大事なことですね。

    まいの父が「死んだらそれまでで何も残らない」と答えたことで、不安をつのらせていたまいに「それでは(お父さんの答え)はつらかったね」と言い、まいにも納得のいく答えを授けてくれます。

    思春期のこどもなら一度は考える「死への恐怖、人は死んだらどうなるのか」と考えますよね。

    まいの父親も子ども思いのいい人なのですが、親や教師は、常に現実社会と向き合わなければならないので、子どもへの回答が現実的になってしまうのかもしれません。


    聖なる繭


    おばあちゃんの家や庭、森や小道、切り株のお気に入りの場所。ここはまいにとっての聖域で心地よい、聖なるものだけが存在する空間です。ここにはまいの心を傷つけたり、汚したりするものはいない。(少なくともまいはそう感じている)

    しかし、そうした聖なる繭と対極にいるのがゲンジさんという隣人で、まいは彼を、聖域と真逆の野蛮で欲望にまみれた汚れた存在だと感じます。

    感受性の強い思春期の少女からしたら、粗野なゲンジさんの存在はゆるせないものだったのでしょう。私にも覚えがあります。近所の粗野なおじさんを毛嫌いしていましたから。
    だんだんまいは、おばあちゃんのうちで起こるトラブルをすべて、ゲンジさんのせいと考えるようになります。

    けれど、おばあちゃんはゲンジさんの他の面も見ているだろうし、用事を頼んでいる手前、悪しざまには言えないかったのかもしれません。それがまいをまた苛立たせてしまうのですが…


    聖なる繭を巣立ったまいのその後は、短編「渡りの一日」で描かれています。きっともう、まいは大丈夫なんだろうな。

    おばあちゃんと食い違いが生じたまま分かれることになってしまったけれど、でもきっとおばあちゃんはわかってくれているんじゃないかな。でなければ最後のメッセージはありえないと思うし。

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