「映画篇」 金城 一紀

2009.01.12 Monday

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    金城一紀の名作「映画篇」。
    映画をモチーフにした物語ですが、ベースとなる映画を見ていなくても十分楽しめる作品です。でも、読み終わると映画が見たくてたまらなくなります。

    映画篇
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    ●太陽がいっぱい


    在日の小説家が振り返る思い出。
    映画が好きだった少年時代。彼と龍一はいつも一緒にに映画を見に行き、夜遅くまで映画の話を語り明かした。
    現在、龍一の消息はわからない。何年か前に突然「ローマの休日を見に行かないか」と誘われたきり音信が途絶えていた。主人公は救えなかった龍一と自分自身を救うために1本の話を書きあげる。
    文章から察すると龍一はもうこの世にはいないのかもしれません。
    主人公が書くストーリーは2人で見たたくさんの映画の場面をつなげたような話で、話の中の龍一はとても明るく、幸せに満ちています。でも、それが幸せなほど、本当の運命を考えると、切ない気持になります。
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    [映画]太陽がいっぱい感想→

    ●ドラゴン怒りの鉄拳


    製薬会社の事件に巻き込まれ、自殺した夫。その悲しみを引きずりながら生きる妻は、あるとき夫が借りたままにしていたビデオを返しに行く。そこで若い店員・鳴海に映画を勧められたことがきっかけで彼と話すようになり、徐々に生きる力を取り戻してゆく。
    鳴海くんが彼女にすすめる「LOVE GO GO」「フライング・ハイ」もよさげな映画なんです。ほんとうに映画が好きな人のおすすめはきっとハズレがないんだろうな。

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    [映画]ドラゴン怒りの鉄拳 感想→
    [映画]LOVE GO GO 愛情来了 感想→

    ●恋のためらい フランキー&ジョニー もしくはトゥルー・ロマンス


    高校のクラスメイトの男女ふたりが、女子の父親である弁護士が預かる被告人の保釈金を盗み出して逃避行。お互い、こころに傷をもつ同士が惹かれあい、現状を打破するために行動する。
    若い男女の刹那的な逃避行といった展開は「フランキー&ジョニー」よりも「トゥルー・ロマンス」の方が近いかも。

    [映画]恋のためらい フランキー&ジョニー 感想→
    [映画]トゥルー・ロマンス 感想→

    ●ペイルライダー


    いじめっられっ子の勇を助けてくれたのは、大きなバイクにのるおばちゃんだった。おばちゃんにバイクに乗せてもらい、風を切りながら走る。実はおばちゃんには「ある目的」ためにこの町にやってきたのだった…
    クリント・イーストウッド主演の西部劇をモチーフに、おばちゃんアウトローと少年の交流。意外性のあるヒーロー像にびっくりしました。

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    [映画]ペイルライダー感想→

    ●愛の泉


    おじいちゃんを亡くしてから元気のないおばあちゃんを元気づけようと、孫たちはおばあちゃんがおじいちゃんと初めて見た映画(と思われる)「ローマの休日」の上映会を開こうと計画する。
    登場人物たちがみんなやさしくてあったかい。
    私は正直、死がそっとよりそう悲しいイメージの「対話篇」を書いた人物が、こんなホームドラマを書けるとは思いもよりませんでした。
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    [映画]愛の泉 感想→

    伏線として、各話の登場人物たちが「ローマの休日」の上映会を見に来ることでリンクしてるんですね。製薬会社の事件の犯人とかも全体に話のキーになってます。
    その他にもちょこっと登場するブルテリアとか、映画好きの友人とか、「対話篇」の登場人物とか、いろいろな伏線が張られているんですね。探せばもっとあるんだろうな。こうして人物や出来事が交錯する作品て大好きなんですよ。(^^)

    「今後の目標は、映画篇に書かれた映画をできるだけ見ること」と以前書きましたが、タイトルとなった映画はすべて制覇しました。面白かった映画、自分に合わなかった映画、いろいろありましたが、楽しい宿題でした。
    ただ、物語に出てきた映画はこれだけではありません。今後は作中にでてきた映画を制覇していきたいな。

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    ●ザ・ゾンビーズシリーズ
    ザ・ゾンビーズ最初の冒険譚
    レヴォリューション No.0→

    ここからゾンビーズの冒険がはじまります。
    レヴォリューション No.3→

    舜臣と中年サラリーマンの奇妙な師弟関係。
    フライ,ダディ,フライ→ゾンビーズと一緒に冒険する女の子が主人公の物語。
    SPEED→

    ●その他の金城作品
    GO→
    対話篇→

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    『ヴァン・ショーをあなたに』 近藤 史絵

    2008.11.07 Friday

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      下町の小さなビストロ、「パ・マル」を舞台にした料理ミステリ「タルト・タタンの夢」に続く第2段「ヴァン・ショーをあなたに」。

      今回は「パ・マル」のギャルソン、高築くんの視点を離れ、フランス修行の三舟シェフと出会った人々や、店のお客の視点から語られる謎を解く形になっていたのが新鮮でした。
      タルト・タタンの夢」に比べて少し切ない内容が多かった気がします。

      【掲載タイトル】
      ・錆びないスキレット
      ・憂さばらしのピストゥ
      ・ブーランジュリーのメロンパン
      ・マドモアゼル・ブイヤベースにご用心
      ・氷姫
      ・天空の泉
      ・ヴァン・ショーをあなたに

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      憂さばらしのピストゥ


      気に食わない客にもちゃんと要望にこたえる三舟シェフに対して、後輩料理人は客に気づかれない「憂さばらし」を料理にこめてしまいます。
      その時の三舟シェフのセリフがかっこいい。
      「料理人はなんでもできる。前の客の残り物を使うことも、古い材料を使うことも、(中略)だが、だからこそ、それはしてはいけないことなんじゃないか。」
      偽造した肉工場のジジィや某料亭のオバサンに聞かせてあげたい言葉です。


      マドモアゼル・ブイヤベースにご用心


      今回の話では今まで謎だった三舟シェフの修業時代や、ちょっとしたロマンス話もありました。
      三舟シェフに気になる客が。来るとブイヤベースばかり注文するので「マドモアゼル・ブイヤベース」と呼ばれていたが実は彼女は他店の女性シェフだった。

      三舟シェフのブイヤベースにあこがれて店に通っていたが、婚約中のオーナーと三舟シェフとの間で気持ちが揺れ動き、とうとう三舟シェフに告白を!w( ̄Д ̄;)

      告白された後、動揺して料理ができなくなっちゃう三舟シェフがかわいかったです( ̄▽ ̄)。それにしてもマドモアゼル・ブイヤベースはその後オーナーと結婚するんですかね?

      私だったらローストチキンに指輪を入れてプロポーズするような男は願い下げですけれど 。
      マドモアゼルも客のふりをしてブイヤベースを持ち帰ろうとするし、自分がたのんでおいて約束に遅れるし、挙句の果ては自分のマリッジブルーで三舟シェフを巻き込むし、ある意味チキンに指輪を入れるような人とはお似合いかもしれません。(´Д`)=3

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      ヴァン・ショーをあなたに」では「パ・マル」人気裏メニュー、ヴァン・ショーのレシピにまつわる話です。これから寒くなる時期、ヴァン・ショーはつくれないにしてもホットワインを飲みながら読書というのもいいですね。(^^)

       



      ビストロ パ・マルシリーズ


      「タルト・タタンの夢」感想→
      「マカロンはマカロン」感想→

      その他の近藤史恵作品感想


      自転車ロードレースを舞台にした名作
      サクリファイス→
      エデン→
      ビターな恋愛
      「スタバトマーテル」→「アンハッピードッグス」→
      かわいいくて切ないミステリ
      「ふたつめの月」→
      「賢者はベンチで思索する」→

      梨園の世界を舞台にしたミステリ
      「ねむりねずみ」→
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      『タルト・タタンの夢』 近藤 史絵

      2008.10.31 Friday

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        タルト・タタンの夢 (創元推理文庫)」を読むと、フランス料理が食べたくなる。おいしくて楽しい料理ミステリです。
        下町の小さなビストロ、「パ・マル」。シェフの三舟さんは長髪を後ろに束ね、ひげを蓄えた風貌はサムライを思わせる。(私は笑い飯の西田さんを想像しましたが)

        料理とミステリといえば、シェフが次々と殺される「料理長殿、ご用心」が印象的だったのですが、「タルト・タタンの夢」ではそんな大事件は起こりません。日常の中に潜む小さな事件を、料理を通じて三舟シェフが解決していきます。

        【掲載タイトル】
        ・タルト・タタンの夢
        ・ロニョン・ド・ヴォーの決意
        ・ガレット・デ・ロワの秘密
        ・オッソ・イラティをめぐる不和
        ・理不尽な酔っぱらい
        ・ぬけがらのカスレ
        ・割り切れないチョコレート

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        ガレット・デ・ロワの秘密



        私が一番好きなのは「ガレット・デ・ロワの秘密」です。物語に登場する料理の中でガレット・デ・ロワが一番わくわくするお菓子だったのと、真相がほっこりとしてかわいらしかったから。

        ガレット・デ・ロワは1月に食べられるお菓子で、中にフェーブと呼ばれる小さな陶器が入っています。フェーブが入っているガレット・デ・ロワを当てると、その日一日王様になれるので必ず紙の王冠がセットでついてくるのだそう。

        中に入っているはずのフェーブが行方知れずになったというちょっと不思議なミステリが、ガレット・デ・ロワのわくわく感を倍増させてくれます。

        ちなみにフェーブってこんな感じのものです。↓

         




         



        目次の装丁も、フランス料理のメニュー風に日本語とフランス語が中央寄せでかかれています。

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        実際にガレット・デ・ロワを食べてみました→

        ビストロ「パ・マル」シリーズ


        「ヴァン・ショーをあなたに」→
        「マカロンはマカロン」→

        その他の近藤史恵作品感想


        自転車ロードレースを舞台にした名作
        サクリファイス→
        エデン→
        ビターな恋愛
        「スタバトマーテル」→「アンハッピードッグス」→
        かわいいくて切ないミステリ
        「ふたつめの月」→
        「賢者はベンチで思索する」→

        梨園の世界を舞台にしたミステリ
        「ねむりねずみ」→

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        中世日本に似た不思議な世界の、美しい昔ばなし。『狐笛のかなた』 上橋 菜穂子

        2008.10.06 Monday

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          精霊の守り人」の作者・上橋菜穂子さんが描く、中世日本に似た不思議な世界の、美しい昔ばなし。大好きな話で、何度も読み返しています。「狐笛のかなた

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          『狐笛のかなた』あらすじ


          不思議な力を持つ娘、幽閉された少年。使い魔とされた霊狐


          傷ついた狐・野火を偶然たすけた小夜。野犬に追われ、飛びこんだ屋敷には幽閉された少年・小春丸がいた。小夜は人の心の声が聞こえる「聞き耳」の才を持つ娘。

          小春丸はある理由から屋敷に幽閉されている。そして野火は、小夜や小春丸の住む「春名ノ国」と敵対する「湯来ノ国」の呪者に使える使い魔だった。この3人の出会いが、やがて両国の争いに影を落とすことに…

          中世日本似た世界の、不思議で、美しいむかしばなし。


          狐笛のかなた」は日本を舞台にした物語ですが、登場する国や風習は架空のものです。例えるなら「まんが日本昔ばなし」のような、近くて遠い「むかしの日本」の風景。現実と空想の<あわい>にひそむファンタジーは、懐かしさと冒険の世界に私たちを連れていってくれます。


          切ない思い。


          野火は、あたたかいぬくもりを知らず生まれてからずっと使い魔として生きてきました。そんな野火にはじめてぬくもりをくれた小夜。

          小夜はみずからの出生の秘密を知り、春名ノ国と湯来ノ国との争いに巻き込まれてしまいます。敵方の野火は、小夜を遠くから見守ることしかできない。それが唯一野火にゆるされたことでした。

          使い魔として縛られた野火の思いが切なくて切なくて。・゚・(*ノД‘*)・゚・。物語の中盤、ようやくふたりは再会をはたすのですが、読んでいておもわず「よかったねぇ野火」と思ってしまいました。


          この物語では、みんなが「大切なものを守りたい」という気持ちを持っています。悪役と思われる人でさえも。でも、その思いがときにねじ曲がり、ほかの人の命を奪い、また憎しみが生まれてしまう。そんな中で小夜は、大切な人たちを必死に守るため、陰謀に立ち向かっていきます。そんな小夜を命がけで守ろうとする野火。

          小夜の野火の一途な思いが、やがて憎しみに固まった人々の心を溶かしてゆくのですが…

          上橋先生の物語は、ラストシーンがとても美しいんです。悲劇でもハッピーエンドでも。「狐笛のかなた」でも騒乱の元となった地には桜が咲き、うれしくも切ない風景のなか、物語は幕を閉じます。


          文庫もいいですが、白井弓子さんの美しい挿絵が見れる単行本もおすすめです。

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          上橋作品感想


          「物語ること、生きること」→
          「精霊の守り人」→
          「闇の守り人」→
          「夢の守り人」→
          「天と地の守り人」→
          精霊の守り人シリーズ外伝「流れ行く者」→
          精霊の守り人シリーズ外伝「炎路の旅人」→
          精霊の守り人レシピ集「バルサの食卓」→
          「獣の奏者 闘蛇編・王獣編」→
          「獣の奏者掘|亀翳圈廣
          「獣の奏者検ヾ扱詈圈廣
          「獣の奏者 外伝 刹那」→
          「<守り人>のすべて 守り人シリーズ完全ガイド」→
          守り人レシピ「バルサの食卓」→

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          「神さまがくれた漢字たち」 山本 史也 白川 静

          2008.09.13 Saturday

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            「人」の字は、本来支えあってなどいない。
            「目」がつぶされた民は、神に捧げられる「臣」と呼ばれた。
            「耳」が切られ、持ち上がられた形が「取」。

            冒頭からおそろしい解釈が続きますが、
            これは最初の漢字・甲骨文字が伝える漢字本来の姿です。

            文字を創造したとされる殷の王・武丁の物語を読んでから、太古の漢字・甲骨文字について興味をひかれるようになりました。その後、漢字学者・白川静さんのことを知り、著作を読んでみたいと思っていました。
            けれど、専門書となると大人でも読み解くのが難しいので
            無理かな、と諦めていた時に見つけたのがよりみちパン!セシリーズの
            神さまがくれた漢字たち 」でした。

            「中学生から大人まで」と銘打ってあるので
            書こうと思えば恐ろしく難解になるであろう漢字の知識が
            わかりやすく、たのしく解説されています。

            古代の漢字は、神と交信をするための特別なもので
            そのなりたちも「神」の存在なくしては存在しえないもの
            なんですね。今まで学校で習っていた漢字の解釈とは
            まったく違う漢字のものがたりです。

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            文字を創造したとされる殷の王・武丁の冒険物語。歴史小説とはいえ、冒険譚の形式をとっているので読みやすい。
            作者の宮城谷昌光先生は白川静先生とも交流があったのだとか。

            沈黙の王 (文春文庫)

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            「武装島田倉庫」 椎名 誠

            2008.09.04 Thursday

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              武装島田倉庫」は、私の人生の中で1、2を争うほど大好きなSF小説です。

              「倉庫」が「武装」するなんて「図書館」が「戦争」するくらい、普通ではありえない取り合わせですよね。
              でもその言葉同士がつながると、その先には奇想天外なシーナワールドが待ち受けているのです。

              最終戦争から20年。
              海は油にまみれ、遺伝子操作で獰猛化した生物たちがうごめく世界。あちこちに出没する武装窃盗団に襲われるため、物資の運送も滞りがちで運送業は命がけの(でも実入りのよい)仕事と化している。
              可児才蔵が就職した島田倉庫には、さまざまな荷物が運ばれてくる。通常の鋼材のほか、遺伝子操作され鶏の味に似た味の三足踊豆、獰猛な人食い魚、時には人間さえも。
              また、荷物の中には許可をうけていない闇の物資も入ってくる。そういうときはこっそり中身をかすめとって裏の稼ぎとするなど、ヤバイ仕事も行っている。
              可児が倉庫の作業に慣れてきたころ、武装窃盗団「白拍子」が島田倉庫にまで襲撃の手を伸ばしてきた。
              可児たち作業員は倉庫を守るため、銃を取り「白拍子」との戦いに挑むのだった。

              シーナワールドの魅力はなんといってもあのネーミングセンスだと思います。「泥濘湾」、「尻拭湖」、「フーゼル油」、「ドクタラシ」など、こういったあやしげな「ことば」がキーワードとなって読むものを荒廃した世界へずぶずぶとひきずりこんでゆくのです。


              椎名さんは若い頃、倉庫でアルバイトをしていたことがあるそうで、その体験をほかの小説にも書いており、映画化もされています。こちらはSFではなく、純愛小説です。


              武装島田倉庫
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              シーナワールド三部作
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              アド・バード (集英社文庫)
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              『精霊の守り人』 上橋 菜穂子

              2008.07.23 Wednesday

              0
                母国語で読める、私たちが読むべきファンタジーにようやく出会えたー。

                これは「精霊の守り人」の文庫解説の一節ですが、「精霊の守り人」という作品についてこれほど端的にあらわした文はほかにないでしょう。「精霊の守り人」は、日本人が待ち望んだ母国語で書かれた異世界ファンタジーの傑作です。

                『精霊の守り人』あらすじ


                国名に「新」の名がつく新ヨゴ皇国は、もともとヨゴの王族トルガルとナナイ大聖導師が海を渡り、土地の子供にとりついた水妖を退治してより、この地を収めたことから始まる。

                トルガルの世から250年後、新ヨゴ皇国の第2皇子・チャグムに水妖の卵がとりついてしまった。穢れを嫌う帝より命を狙われるチャグム。偶然何度目かの暗殺からチャグムを救った女用心棒・バルサは、チャグムの母・二ノ妃より帝の追っ手からチャグムを守ってくれるよう依頼をうける。

                そこから女用心棒バルサと第2皇子・チャグムの逃亡劇が始まる。傷を負いながらも帝の刺客から必死でチャグムを守るバルサ。

                その後、チャグムの「卵」を巡り、宮廷の星読み博士のシュガと、市井の大呪術師・トロガイ師の協力により意外なことがわかるのだが、「卵」を狙うある生き物が別の次元「ナユグ」から現れる…


                ・『精霊の守り人』、その作りこまれた世界観


                「精霊の守り人」を読むと、まずその世界観に圧倒されます。新ヨゴ王国という架空の国の食べ物・歴史・民族・宗教にいたるまで描かれ、「食」については、「この季節にはこんな植物が実るから、それでこんな味付けの鍋をつくる」など、簡単な料理レシピまで書かれている。異世界の「食文化」が成立しているのです。

                どんな気候でどんな作物が実って、それをどう加工して食べるかー。
                人があつまり、生きていけば必ず現れるもの。

                そんな一番大事な「食」をきちんと描いてくださるのはほんとうにすばらしいことだと思います。

                なのに小説では「食」の表現が少ないんですよ。物語中「食」を丁寧に描いていたのは、SFでは椎名誠、時代劇では池波正太郎と宮部みゆき、ファンタジーではこの上橋菜穂子さんがくらいではないでしょうか。

                宗教や地方の風習までも完璧につくられた世界は、どこか懐かしく、同時に異国へのあこがれがかきたてられます。

                精霊の守り人 (新潮文庫 う 18-2)
                上橋 菜穂子 新潮社 売り上げランキング: 994


                ハイ・ファンタジーには地図がつきもの


                架空の世界の地図は、いつだって私たちを物語の世界へ連れて行ってくれるすばらしい道しるべですが、「精霊の守り人」にも新ヨゴ皇国の都とその周辺の山や川がしるされた地図が載っています。

                新ヨゴ皇国の都は2つの川にはさまれた巨大な中洲にあり、実はその地形が最終話「天と地の守り人」では重大な意味を持ってきます。地形ひとつとっても綿密に考えられた世界。その表現の丁寧さが「精霊の守り人」の魅力ではないでしょうか。

                これは、作者上橋菜穂子先生が文化人類学者であり、「人が、その土地で生きていくのに必要なもの」を解ってらっしゃるからではないでしょうか。その辺が、速筆の「大量生産ファンタジー」と一線を画するところだと思います。
                「大量生産ファンタジー」自体も決して悪くはないのですが、やはり「精霊の守り人」を読んだあとだとどうしても比べてしまいますね。(^^;)

                ・アニメとの相違


                「精霊の守り人」はそれほど長い話ではないので、アニメでは2クール分26話をつくったため、オリジナルの設定やキャラクターが出てきます。ただ、物語の根幹は変わっていないなので、アニメで「精霊の守り人」を知った人にもぜひ読んでみて、違いを楽しんで欲しいと思います。

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                ・ドラマへの期待


                2016年3月、『精霊の守り人』がNHKでドラマ化されます。ファンタジーを本格的なドラマとして描く、画期的な作品になりそうです。NHKスタッフの『精霊の守り人』全シリーズを、時間をかけて放送するという真摯な思いに、上橋菜穂子先生が作品を託したのだそうです。


                上橋作品感想


                「物語ること、生きること」→
                「精霊の守り人」→
                「闇の守り人」→
                「夢の守り人」→
                「天と地の守り人」→
                精霊の守り人シリーズ外伝「流れ行く者」→
                精霊の守り人シリーズ外伝「炎路の旅人」→
                精霊の守り人レシピ集「バルサの食卓」→
                「獣の奏者 闘蛇編・王獣編」→
                「獣の奏者掘|亀翳圈廣
                「獣の奏者検ヾ扱詈圈廣
                「獣の奏者 外伝 刹那」→
                「<守り人>のすべて 守り人シリーズ完全ガイド」→
                守り人レシピ「バルサの食卓」→
                狐笛のかなた→
                JUGEMテーマ:ファンタジー


                レビューポータル「MONO-PORTAL」

                「都立水商!」 室積 光

                2008.07.05 Saturday

                0
                  熱血水商売青春小説「都立水商(おみずしょう)!
                  都立水商!マンガが有名ですが、原作も面白いです。( ̄▽ ̄)

                  工業や農業、商業、水産。
                  世に職業高校は多く存在するが、
                  なぜ「水商売」の学校がないのだ!

                  ある文部省役人の思いつきから
                  水商売専門の職業高校、都立水商が誕生した。

                  場所は新宿歌舞伎町。
                  最初はおちこぼれの集まりだった生徒も
                  教師やその道のプロである専任教師たちの熱血指導のもと、
                  やりがいを見つけて熱心に「勉強」に励むようになる。

                  何が面白いかって、通常の学園生活でタブーとされていることが
                  水商では求められるんです。( ̄▽ ̄)
                  「ソ○プ科」の生徒達は真面目に○○○○を授業で行い、
                  「ホステス科」の生徒は髪を染めてこないと生徒指導が入る。

                  前半は、水商設立から軌道に乗るまで。
                  専門指導での笑えるエピソードや個性的な生徒や教師たちの話しが書かれていますが、後半は(^^;)するなど熱血スポコンの様相を呈しています。


                  都立水商(おみずしょう)!
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                  「夢をかなえるゾウ」 水野 敬也

                  2008.05.15 Thursday

                  0
                    夢をかなえるゾウ」が普通の自己啓発本と違うのは、小説形式で書かれていることと、主人公に成功術を伝授する神様・ガネーシャのキャラクターがあまりにもインパクトが強く、魅力的なところです。

                    【ストーリー】
                    ある日、「僕」の前に現れたゾウの頭を持つインドの神様・ガネーシャが、成功するための秘策を教えてくれるという。
                    ただ、この神様がかなりうさんくさい。(^^;)
                    なぜか関西弁丸出し、あんみつが大好物、タバコは吸うし、ちゃっかり家に居候してゴハンを要求する。
                    おまけにガネーシャの出す課題は
                    ・靴をみがく
                    ・腹八分目
                    ・トイレを掃除する
                    など、およそ「成功」とは程遠いものばかり。
                    課題をこなし、時にはガネーシャのわがままに振り回ながらも、次第に「僕」の意識も変化し始める。

                    最後は悲しくて笑えて、自分もちょっとがんばってみようかなと思えるような内容になっています。
                    小説として読むだけでも面白いし、話の中でガネーシャが出す課題を実際にやってみてもいい。1冊で何度も楽しめる本ですよ。( ̄▽ ̄)

                    夢をかなえるゾウ 文庫版
                    水野敬也
                    飛鳥新社
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                    この「夢をかなえるゾウ」、2008年秋にドラマ化されるそうで、ガネーシャは古田新太さん、サラリーマンの「僕」には小栗旬くんだそうです。
                    楽しみですね。v(≧∇≦)v


                    「夢をかなえるゾウ」の続編「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」ではお金の話が語られます。

                    夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神
                    水野敬也
                    飛鳥新社 (2012-12-12)
                    売り上げランキング: 1,547


                    「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」
                    「雨の日も、晴れ男」

                    JUGEMテーマ:オススメの本

                    十二国記シリーズ 「丕諸の鳥」 小野 不由美

                    2008.03.04 Tuesday

                    0
                      十二国記の新しい話、「丕諸の鳥」を読みました。
                      新潮社の雑誌yom yom (ヨムヨム) 2008年 03月号 に掲載ということもあり、「魔性の子」の続編ではないかと思っていましたが、予想に反して慶国の話。
                      羅氏と呼ばれる下級官吏・丕諸を巡る物語です。

                      丕諸の鳥では「王とは何か」という十二国が抱える
                      根本的な疑問を丕諸の視点から描かれていきます。
                      苦悩と挫折、そして一筋の光明。


                      そんな物語でした。


                      久しぶりの十二国記、久しぶりの小野先生の文章とあって、
                      一文字一文字、確かめながら、味わいながら読もうと思ったのですが、ストーリーの面白さについつい引き込まれてしまいました。


                      小野先生の文章は玉のようにキラキラと輝いていて、
                      軽快な楽のようなリズムを刻んでゆきます。
                      その文章を読み進んでいくうちに、読者はいつのまにか
                      慶の金波宮にたどり着いてしまうのです。
                      だから、その一言一句がいとおしいのです。

                      キャラクターとストーリー中心で
                      ぐいぐい引っ張る物語もいいのですが、
                      やはり世界観と人物、それを表現しうるだけの表現力。
                      これこそが物語に重要ものではないでしょうか。




                      十二国記最新短編を集めた「丕緒の鳥」→

                      丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫 お 37-58 十二国記)
                      小野 不由美
                      新潮社 (2013-06-26)
                      売り上げランキング: 2


                      JUGEMテーマ:本の紹介