「シアター!2」 有川 浩

2011.05.28 Saturday

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    小劇団を舞台にした「シアター!」第二弾。どんぶり経営がたたって、借金300万を背負ったシアターフラッグ。主宰の巧は兄・司に泣きついて借金を工面してもらうものの、司が出した条件は劇団経営の黒字化、2年以内に借金が返せなければ劇団を解散する、というものだった。

    前作「シアター!」では司のスパルタ指導により、借金返済に向けて劇団員たちの士気もあがってきて、いいところで幕引きだったので続きが楽しみでした。

    ・もしドラ風意識改革


    司さんの指導のもと、劇団員に回り持ちで制作を担当させ、借金返済後の運営をも視野に入れた展開を行います。
    司さんは「もしドラ」のマネージャーさながらに劇団にイノベーションや人の強みを活かす配置を行ったおかげで、今まで役者としてのプライドが邪魔してそれらの作業をを軽視していた劇団員たちも、ようやく経済活動としての認識が(少しずつですが)伴ってきたようです。

    それにしても最初は劇団員たちの営業活動に対する考え方の甘さに、イラッとさせられました。そんなんでよく売上が上がると考えられるなあ。(^^;)
    あれ?この感覚どこかで…と思ったら「県庁おもてなし課」や「フリーター、家を買う」の前半を読んで感じたのと同じだ!でも最初がダメダメなほど、後半の成長が面白くなってくるのですが。

    ・司にいさん!。・゚・(*ノД`*)・゚・。


    いい人すぎるよ。仕事をこなしながら劇団経営に携わり、なんだかんだで劇団員の悩み相談のってるし。
    それも時には中学生レベルのケンカの仲裁だし。(^^;)
    有限実行でやるときめたらとことんバックアップするのだけれど、父も巧も演劇人で、自分だけが家族の共通項を持っていないと考え、コンプレックスを抱えているんだよねえ。千歳によってちょっと救われたようでよかった。

    ヘタリア


    もう、今回イラッとすることが多かったのが巧。
    確かに脚本・演出は優れているけれど、いじめられっ子のトラウマ抱え過ぎだし、いい大人なのに打たれ弱いし、いや、打たれ弱いのはいいんですよ。別に。けど身内や劇団員に頼りすぎ。挙句の果ては劇場支配人とケンカして、変な責任感じて逃亡するも、行き先は再婚した母親の住んでいる神戸…。どんだけヘタレなんだ、巧よ…(;´д`)ノ


    ・恋愛要素


    ようやく、恋愛らしき要素もでてきました。
    牧子は家出した巧を神戸まで迎えに行ったついでに、押し倒さんばかりの愛の告白。まあ、それぐらいしなきゃのほほん巧にはわかんないだろうな。リアリストゆかりと万事が80点小宮山の恋愛。役者としての成功を目指すゆかりを支えようとする小宮山。よくよく考えると、小宮山すごいよ。だってゆかりが言って欲しい言葉をちゃんと言えるんだから。

    茅原→スズのドジっ子萌えは愛情なのか、愛玩なのかも気になるところ。

    前回から気になっていた司と千歳。お互いちょっとずつ歩み寄っていっているようで。このままうまくいって欲しいなあ。

    今回は劇団員それぞれの事情が掘り下げられていました。スズはドジっ子だけどもそれが嫌なのに空回り。けど千歳との壮絶なケンカをきっかけに、「自分のできること」を考えるようになる。これは大きい成長だと思う。今回、スズが一番成長の振り幅が大きいな。

    さて、「シアター!」はあと1冊で完結だそうです。
    果たしてシアターフラッグは借金を完済できるのか、劇団員たちの恋の行方も気になります。

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    有川作品感想
    旅猫リポート
    ほっと文庫 「ゆず、香る」

    クジラの彼
    ラブコメ今昔
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    海の底
    空の中
    レインツリーの国
    三匹のおっさんふたたび
    三匹のおっさん

    キケン
    ヒア・カムズ・ザ・サン
    シアター!

    フリーター、家を買う。
    植物図鑑
    県庁おもてなし課

    JUGEMテーマ:小説全般

    童話のような小説。小説版「アメリ」 イポリト ベルナール

    2011.05.17 Tuesday

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      映画「アメリ」の小説版。
      空想のなかで一人遊びをしていた女の子・アメリはそのまま大人になってカフェで働いている。
      好きなことは運河での水切り、袋いっぱいの豆の中に手をつっこむこと、クリームブリュレのおこげを潰すこと。

      アパートの洗面所で見つけた40年前の少年の宝物箱を見つけたのがきっかけで、アメリは人を喜ばせる、かわいいいたずらを仕掛けていきます。

      内容は映画「アメリ」とほぼ同じ。映画ではセリフにないアメリの心情や、映画をみてわかりづらかったシーンのつながりや意味がわかるようになります。

      また、添えられているイラストがかわいいんです。フランスの絵本にでてきそうなかわいいキャラクターたち。
      小説というより絵本・童話っぽい本です。

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      映画「アメリ」→

      JUGEMテーマ:女の子の映画


      「孤独な夜のココア」 田辺 聖子

      2011.03.21 Monday

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        田辺聖子さんの恋愛短編「孤独な夜のココア」を読みました。
        やさしくて甘く、ほろ苦いココアのような恋愛集。
        女の機微が繊細にやわらかく描かれていて、約30年の作品なのに内容がちっとも古く感じない。

        綿矢りささんも解説で触れられていますが、「孤独な夜のココア」の女性たちは、男性たちを包み込むやさしさをもっています。

        いつも小さなことでも怒っていた女性が、夫の不倫を聞かされたとき、怒るることができなかった。いつも怒りを収めてくれる夫がいたから、安心して怒っていられたと気づく。(「怒りんぼ」)

        また、主人公達は20代後半の女性が多く、恋や仕事、これからの生き方について工夫をし始めることについても書かれています。なかでも「年齢化粧」という言葉が印象的でした。
        こういう女になろう、と自分で少しずつ設計して、それに近づくように「化粧」をしてゆく。
        もう二十歳の頃のように、あるがままの自分では通用しなくなるから。(「ちさという女」)

        確かに、年齢を重ねると自分自信を化粧してゆくのも必要になってきますもの。

        田辺さんの作品は女性の人生を描くだけではなくて、なんというか、時に女性が生きていくのに役立つような、哲学というか、理念というか、そんな精神的な処方箋のような機能もあるんじゃないかとおもいます。


        解説を直木賞作家・綿矢りささんが書いています。綿矢さんは聖子さんとは60歳近くの歳の差があるのですが、実にわかりやすく的確に作品の解説をしてくれています。
        いくら年を経ようとも、女の本質は変わらないのかもしれません。


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        「薔薇の雨」→
        「おちくぼ姫」→
        「ほどらいの恋」→
        「芋たこなんきん」→
        ジョゼと虎と魚たち→

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        「あなたに贈るキス」 近藤 史恵

        2010.10.01 Friday

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          あなたに贈るキス (ミステリーYA!)」は少女たちの、美しくて切ない、そして残酷な青春ミステリです。

          「あなたに贈るキス」あらすじ 


          近未来。ソムノスフォビア(唾液感染性睡眠恐怖症)と呼ばれる奇病が発生した。感染した人間は平均二週間で死に至る。感染を避ける方法はただひとつ、感染経路である「キス」をしないこと
          ソムノスフォビアは、ウイルスをもつキャリアからのキスでしか感染はしないが、検査方法が難しく、キャリアを特定することができない。

          「キス」が禁忌となると、人々は昔のように純潔を重要視するようになる。

          全寮制高校に通う笹森美詩は憧れの3年生、織恵が突然死んでしまったことにショックをうける。やがて織恵がソムノスフォビアに感染していたことが発覚する。親がソムノスフォビア研究者だという2年の梢から「織恵を感染させた犯人が校内にいる」と告げられる。梢とともに織恵を殺した犯人を探すうちに、やさしくて美しかった織恵の別の面に触れてしまう…

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          聖なるもの楽園、そして檻


          今日マチ子さんが描かれた表紙と作中のイラストがこの世界にぴったりなんです。ハーブティー、誕生会のケーキ、並んで花火をする少女たち。外から遮断された、少女たちだけの楽園。でもそれは同時に彼女たちをしばる檻でもある。純潔をまもるべく閉ざされた檻。

          そしていつか、彼女たちはその楽園から放逐され、大人たちに捧げられる生贄になる。美詩も織恵も、大人たちの欲望にさらされる運命をもつ少女たちでした。

          だからこそ、彼女たちは考えたのです。きれいなまま、楽園にいる方法を。

          ずっと一緒にいたい。
          でも、それができないのなら壊してしまおう。

          壊してしまわなければ、永遠を手に入らないと、そんなふうにしか世界を見れなかったから…。


          ミステリーYA!は、ティーン向けにつくられたミステリシリーズですが、若い人だけでなく、かつて自分の中に「少女」を宿していた大人たちが読むと心の奥にしまい込んでいたものを見つけてしまったような、なんともいえない甘酸っぱい気持ちが蘇ります。


          あなたに贈るキス (ミステリーYA!)
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          イラストを担当した今日マチ子さんの「COCOON」。
          戦争中の少女たちと悲惨な世界との対比を描いた、美しくも残酷な物語です。「あなたに贈るキス」とは対局の世界ですが、少女たちが自由のない世界に対して必死で抗おうとする姿は、共通する部分もあると思うのです。

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          今日マチ子 秋田書店


          ●近藤史恵作品感想
          自転車ロードレースを舞台にした名作
          サクリファイス→
          エデン→

          ビターな恋愛

          「スタバトマーテル」→
          「アンハッピードッグス」→

          かわいいくて切ないミステリ

          「ふたつめの月」→
          「賢者はベンチで思索する」→
          「天使はモップを持って」→
          「モップの魔女は魔法を知ってる」→

          下町のシェフが解き明かすおいしそうな日常ミステリ。
          「タルト・タタンの夢」→
          「ヴァン・ショーをあなたに」→

          梨園の世界を舞台にしたミステリ

          「ねむりねずみ」→
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          レビューポータル「MONO-PORTAL」

          「マジでガチなボランティア」石松 宏章

          2010.06.25 Friday

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            この本を読んだら「いまどきの若者は…」なんて言えなくなるよ。
            マジでガチなボランティア」は医大生(執筆当時)の石松宏章さんがイベントチャリティーで資金を集め、カンボジアに診療所を建てるまでの苦闘を書いた、かなりガチなボランティアの記録です。

            パリピのチャリティー


            石松さんは「お父さんのような立派な医者になる!」という志を抱き医学部に入学するものの、学生生活に打ち込めるものが見いだせず、ひたすらナンパと合コンの日々を送っていました。いわゆる「パリピ」ですね。

            しかし、そんなチャラい生活に一大転機が。ある日友人から「カンボジアに小学校を建てない?」と誘われます。

            普通はボランティアといって思いつくのは募金などによる資金集め。けれどイマドキの若者である石松さんは、チャリティーサークルGRAPHISを立ち上げ、クラブでのチャリティーイベント・ラブチャリを開催し、その収益金を小学校建設に寄付するというプランを思いつきます。


            試練と挫折、マジでガチ


            GRAPHISのイベントは成功し、無事に小学校建設資金を調達することができました。しかし、まだまだ途上国支援の困難を知らずにボランティアイベントを主催する石松さんに、次から次へと苦難が降りかかります。診療所建設を巡ってサークル発足メンバーの脱退、ラブチャリを利用しようとする大人たち、莫大な診療所建設費用を捻出するため、大きな会場でイベントを打つものの、残ったのは140万の赤字…

            けれど、彼はあきらめないんですね。
            挫折を経験しても、もう一度立ち上がって学生最後の大きなイベント開催に挑みます。

            最後のイベントで石松さんはあこがれのモデル「梅しゃん」に出演依頼をするのですが、梅しゃんは「たかが学生」である石松くんの話をちゃんと聞き、奥さん(当時)の益若つばささんと共に快く出演をOKします。

            若者ファッションに興味が無い私は、梅しゃんといえば「はねとびでパラパラに夢中になりすぎて奥さんのバッグをほおり投げる、天然なひと」という印象しかありませんでした。すいません、ほんとすいません…orz。すごいモデルさんだってこと、この本読むまで知りませんでした。。

            つばささんもイベントで「カンボジアのスピーチがメインなので最後まで聞いてください。」とコメントしたりして、この2人、ホントにかっこいいです。

            「マジでガチなボランティア」を読んで思ったのは、石松さんは本当に人が大好きなんですね。だから堅苦しいチャリティーを、参加する大学生が本当に楽しんで参加できるイベントにシフトしたり、ずるい大人に騙されても、周りの人に感謝して前に前に突き進んでいくんです。

            自分がカンボジアで体験したことを少しでも伝えるために。こんな姿を見るともう「今時の若者は…」なんて言えませんよ。うん。

            マジでガチなボランティア (講談社文庫)
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            で、この本を読んで自分に何ができるか少し考えてみましたが、とてもとても大きな活動は無理なので、せめてGRAPHISやラブチャリの関連リンクをつけることにしました。

            ラブチャリHP
            「マジでガチなボランティア」ブログ
            「マジでガチなボランティア」映画サイト

            理系男子の学園活劇! 「キケン」 有川 浩

            2010.06.06 Sunday

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              成南大学電気工科大学機械制御研究部、通称【機研】。だが人々は彼らの所業に対し、畏怖と慄きをこめてキケン=危険と呼んでいた。

              趣味は爆弾づくり(?)傍若無人で破天荒な部長・上野と、その迫力と威圧感で他を圧倒する「大魔神」大神、新入部員・元山と池谷は、無茶苦茶な先輩たちにふりまわされつつも、徐々にキケンの活動になじんでゆく。

              学園祭での24時間体制模擬店バトルロイヤル、ありあまる好奇心と制作欲がエスカレートし、どんどん武装化してゆく部室…理系男子のフツーじゃない日常を描いた作品。

              キケン (新潮文庫)

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              アクション系理系男子


              果たして「キケン」の登場人物のような、アクション系理系男子ってほんとうにいるのか?と、身近にいる元理系男子にこの話をしたところ、「理系は基本、インドアなのでこんなにアクティブじゃない。もちろん銃も爆弾もつくれません!」とのことでした。

              キケンのメンバーはその行動力とノリの良さに関して理系男子の中でも希少種の部類に入ると思います。学園祭での顛末はどっちかというと美大のノリに近いものがありますね。(建築科の模擬店はまさに店レベルだった)

              がむしゃらで、バカ。でも愛おしい。


              理系男子の話ではありますが「キケン」は【機研】メンバーに限らず、学生時代バカでがむしゃらだった人たち全てに共通する物語だと思います。

              主人公の元山くんが卒業して学園祭に足が遠のいたのは、学生時代が楽しければ楽しいほど、そこはもう自分の場所じゃないってことを思い知らされるのが怖いっての、すごくわかります。わたしもそうだったので。でも【機研】メンバーは変わってなくて、読んでいてなんかうれしくなりました。大切にしている場所が変わっても、同じ時を過ごした仲間は変わらないっていいな。

              イラストで書かれた黒板の寄せ書きにはグッときました

              おまけ


              それと、ここからは私の勝手な妄想なのですが、有川作品「三匹のおっさん」を読んだ方ならご存知でしょうが、おっさん自衛団の理系おやじ・ノリさんは【機研】のOBだと思うのですが。あるいは設立メンバーかも。スタンガン改造したり、自作の武器つくったりするのはどうみても【機研】スピリットですもの( ̄▽ ̄)。

              ほかの理系男子たち


              「キケン」を理系男子のファンタジーとするなら、
              「理系の人々」は、理系男子のリアル。

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              有川作品感想


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              ほっと文庫 「ゆず、香る」

              クジラの彼
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              「シアター!」 有川 浩

              2010.04.19 Monday

              0
                小劇団の実情をコメディタッチで描く有川浩さんの「シアター!」以前友人が小劇団スタッフをしていて、ギャラなしの悲惨な内情を知っていたので、これはかなり、実情を描いている作品だなと思いました。

                借金だらけの小劇団・シアターフラッグの存亡をかけた挑戦が始まる。劇団主宰の弟・巧に泣きつかれ、まっとうな社会人の兄・司が出した条件は借金の肩代わりする変わりに、2年の期限付きで返済すること。そしてそれができなければ劇団を解散させるというものだった。

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                「シアター!」あらすじ


                才能はあるが泣き虫で末っ子気質な主宰・巧、シアターフラッグの舞台に魅かれて入団したプロの声優・羽田千歳、看板女優の牧子、熱血担当の黒川など、劇団の個性的な、でも経済観念のまったくない連中を相手に劇団の経理に大ナタを振るう司。しかし、小劇団というしくみは世間一般の経済観念がまったく通用しない!

                プロの声優である千歳を広告塔にしてのプロモーション、脚本の早期提出、チケット販売の見直し、物販の充実など、司の改革により公演「掃き溜めトレジャー」は異例の前売り販売数を記録した。
                いよいよ舞台の幕があき、順調に入場者数を増やしていったシアターフラッグだったが、公演中に次々とトラブルが降りかかる。
                はたして無事に公演を成功させ借金を返済することができるのか…

                小劇団の実情をリアルに描く「シアター!」


                昔、小劇団のチラシを作っていた知人は、やはりノーギャラが当たり前だったそうです。(それなのに普通の仕事以上にリテイクがあったり。)確かに小劇団というのは「芸術活動」とう名目の素に普通の経済観念があまり通用しない世界だと思います。
                そんな「非日常世界」に、司が日常的な経済観念を導入するところで日常と非日常世界とのギャップが浮き彫りになったところが面白かったです。( ̄▽ ̄)

                ただ、残念だったのはラブ要素が皆無だったのと、劇団員ひとりひとりのキャラクターが気薄だったところかな。もうちょっとページ数があれば司、千歳、巧、牧子あたりの恋愛がおもしろくなりそうだったんだけど。ここは続編に期待かな。まだ借金返してないしね。

                それにしても読んでいて思ったのはヘタレな弟、巧と真面目な兄・司の兄弟が「ヘタリア」のイタリアとドイツに見えてしまうんですけど。。


                こちらも小劇団を舞台にした小説「下北サンデーズ」。
                弱小劇団のサクセスストーリーです。

                下北サンデーズ (幻冬舎文庫)

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                有川作品感想


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                旅猫リポート
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                キケン
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                「武士道エイティーン」 誉田 哲也

                2010.03.24 Wednesday

                0
                  剣道を通して自らの武士道を探す女の子2人の青春小説「武士道エイティーン」。主人公ふたりが3年になり、物語もいよいよ最終巻へ。もう彼女たちの話が読めないと思うと、ちょっとさみしいです。

                  香織と早苗、剛と柔の資質をもつふたりは最初は反発しあいながらも竹刀を合わせるうちにライバルでもなく、親友でもない、特別な絆が生まれていく。しかし早苗は家庭の事情でライバル校・福岡南へ。早苗はスポーツ的な剣道を目指す福岡南に違和感を感じたり、仲間と決闘しちゃったり、香織は香織で不良にからまれた元同級生を助けたことで、自らの進む武士道を見つけたり、早苗の変わりに後輩の面倒をみたり(「武士道シックスティーン」の時の香織では考えられない変わり様!)なんだかんだでいよいよ最後の試合。でも早苗はいままでの無理がたたって靱帯損傷。どうなることかと思ったら、なんとか最後の対決ができました。

                  このシーンがまたいいんです。剣道のことなんかちっともわからない私だけれど、この2人が実に楽しそうに竹刀を交えているのが伝わってきて、こっちも胸が熱くなります。

                  武士道エイティーン」は前の2作と違い、香織と早苗の周辺の人々にもスポットをあてたオムニバス形式になっていて、香織が通う桐谷道場の秘密や早苗の顧問・吉野先生の若いころの武勇伝、意外な人とのつながりなどが書かれています。

                  私が好きなのは「バスと歩道橋と留守電メッセージ」です。
                  早苗の姉の緑子さんと男子剣道部主将・岡くんとの切ない別れのおはなし。緑子さんはいままでちょっと意地悪でわがままなお姉さんのイメージでしたが、学生時代から厳しいモデル業と恋愛を両立ささせるのは大変だったのに、お互いの環境が変わって別れなくてはならなくなったのは切なかったなあ。・゚・(*ノД‘*)・゚・。


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                  レビューポータル「MONO-PORTAL」

                  「吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ」 山本 渚

                  2010.01.07 Thursday

                  0
                    青春ウイルス、大量発生中。「吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ
                    【症状】恋をして鼓動が激しくなります。切なくて時々涙がでます。
                    【治療法】青春ウイルスには有効なワクチンはありません。

                    唯一の対策は、この本を読んでいる時は高校生に戻って登場人物たちと同じくドキドキしたり、悩んだりすることです。このウイルスに害はありません。読んだ人に爽快感と懐かしさとトキメキを与えてくれます。(^^)

                    徳島の高校の図書委員会を舞台にした青春小説、「吉野北高校図書委員会」のメンバーも3年生に進級し、図書委員は引退したのですが、相変わらず図書館に通いみんなで受験勉強に励んでいます。

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                    交錯する片思いの行方


                    司書を目指すかずらは県内に残るか、県外で行きたい大学へ進むかで進路に悩んでいます。そんな時、親友大地の友人小嶋から強引なアプローチを受けるうちに、なぜ県内に残りたいのか、自分の気持ちに気がつくことになるのですが、その相手にはある理由から打ち明けられないのです。

                    一方、大地は小嶋からかずらのことが好きだと打ち明けられ、複雑な思いを抱きます。藤枝がかずらのことを好きだということを自分一人が知らなかったことや、大地がかずらを女の子扱いすることにもにショックを受け、藤枝のいる前でかずらを追い込むようなことをしてしまいます。

                    優しくて気の回るスポーツマンだと思っていた大地ですが、かずらの友人壬生っちに「意地の悪い天然」と評されるように、ちょっと取扱が難しい男の子だったんですね。

                    ちょうど大地は第一作でかずらが大地に抱いていた「仲のいい友達が離れていくような寂しさ」を感じていたのですが、かずらはそれを隠そうとしたのですが、大地は爆発させてしまったわけです。(^^;)

                    かずらと藤枝、大地の関係は…


                    それは実際に読んでみて、3人と同じようにドキドキしたり悩んだりしてください。今回はもうじれったいやら切ないやらで1章読むたびに一呼吸おかないと続きが読めないくらい、物語の中に入ってしまいました。

                    もうひとつの話「女のトモダチ」では、かずらの親友・壬生っちが、かずらの恋を応援します。その方法が容赦ないんですが(^^;)こういう女同士の友情っていいな。

                    こちらは漫画版。小説のイラストを描かれた今日マチ子さんが漫画を担当しています。

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                    「吉野北高校図書委員会」→
                    「吉野北高校図書委員会2」→
                    ・イラストを担当した今日マチ子さんの叙情マンガ「センネン画報」→

                    「アンハッピードッグス」 近藤 史恵

                    2009.12.25 Friday

                    0
                      パリを舞台にした近藤史恵さんの「恋愛」小説。
                      だからといってやたらカッコよくてセレブリティでロマンチックなわけじゃなく、登場人物たちの心情や普通のパリの暮らしが実にリアルに描かれていいます。

                      パリで暮らすマオとガクと飼い犬の弁慶。2人と一匹の暮らしにある日変化が訪れる。ホテルに勤めるガクが、置き引きにあった新婚旅行中の都築夫妻を家に連れてくる。手続きが済むまで部屋を提供することになり、4人の奇妙な共同生活が始まる。。

                      マオとガクは幼なじみで、長く一緒にいるせいかお互いの気持ちの方程式みたいなものを飲み込んで、くっついたり離れたり、ちょうどいいけれども、どこか危うい距離を測って暮らしています。
                      でも、そんなものを壊してしまいたい衝動にかられるときもある。
                      そこへ都築夫妻という見知らぬ他人が同居することになり、マオとガクの生活も、都築夫妻の関係にも次第に変化がおこる。
                      数日後、ホテルに移った妻・睦美さんが現れ「ガクさんと一緒に日本へ帰ります」と聞かされたマオは…

                      それにしても浩之・睦美カップルはどうなんだろう。
                      睦美さんいくら異国で不安な思いをしていたからって、ガクのアプローチにほいほいついていくってのはちょっと節操なさすぎでしょう。旦那の方もどういうわけかマオを気に入ってしまうし。
                      こんなことで壊れてしまうようなら、きっと長くは持たないのでしょうね。

                      ミステリのように最後の最後に意外な展開もあるのが
                      ただの「恋愛」小説ではなくていいな。( ̄▽ ̄)

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                      ●近藤史恵作品感想
                      自転車ロードレースを舞台にした名作
                      サクリファイス→
                      エデン→

                      ビターな恋愛
                      「スタバトマーテル」→

                      かわいいくて切ないミステリ
                      「ふたつめの月」→
                      「賢者はベンチで思索する」→
                      「あなたに贈るキス」→
                      「天使はモップを持って」→
                      「モップの魔女は魔法を知ってる」→

                      下町のシェフが解き明かすおいしそうな日常ミステリ。
                      「タルト・タタンの夢」→
                      「ヴァン・ショーをあなたに」→

                      梨園の世界を舞台にしたミステリ
                      「ねむりねずみ」→