ときに「縁」は「血縁」にまさる『四十九日のレシピ』 伊吹 有喜

2010.12.19 Sunday

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    掃除された部屋に入るきれいな空気と光。そんな読後感の「四十九日のレシピ」。

    『四十九日のレシピ』あらすじ


    継母の乙美さんが亡くなり、生きる気力を無くした父・良平と、夫を奪われてしまった娘・百合子。そんな時、家に現れたのは今では珍しいガングロメイクの女の子・イモだった。

    イモは乙美さんが教えていた絵手紙教室の生徒で、自分の四十九日の大宴会と、それまでの作業を依頼されてきたのだという。

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    はたして「縁」は「血縁」に劣るのでしょうか?


    物語の登場人物たちは「血の通った家族」に重きを置きすぎて、百合子さんは「子供さえできればすべてうまくいく」と思い不妊治療を優先させて、夫と気持ちがすれちがい、百合子さんの夫を略奪した亜由美は、自分の欲望のためなら子供を犠牲にするのも厭わない。

    たとえ家族でも気持ちが合わないこともあるし、他人の方が気持ちをわかることだってある。子供を持つことは最上の幸せだけれど、でも幸せのかたちはひとつじゃない

    家族を愛し、他人を受け入れ幸せに生きる。そんな簡単だけども、難しいことを乙美さんのレシピが教えてくれるような気がします。

    死んだ後もこんなふうに思ってもらえるってものすごく幸せだろうし、そんな死後を手に入れるには、やらなければならないことがたくさんあるな、と感じました。少しでも乙美さんに近づけるよう、日々の生活を生きていこうと思います。

    「四十九日レシピ」が来年NHKでドラマ化されました
    [ドラマ]四十九日のレシピ

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    その後、映画化もされました。人々に愛される物語なんですね。普遍的で平凡かもしれないけれど、あたたかいから。

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    伊吹有喜作品 感想


    『彼方の友へ』
    『今はちょっと、ついてないだけ』
    『BAR追分』
    BAR追分シリーズ2『オムライス日和』
    BAR追分シリーズ3『情熱のナポリタン』
    『ミッドナイト・バス』
    『なでし子物語』
    『風待ちのひと』

    レビューポータル「MONO-PORTAL」
    JUGEMテーマ:オススメの本

    「路地裏ビルヂング」 三羽 省吾

    2010.11.26 Friday

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      路地裏にあるレトロなビル、そこで働く人々の、おかしくて切なくて、ちょっとほっこりする物語。「路地裏ビルヂング」。

      路地裏に建つ 「辻堂ビルヂング」は築数十年のレトロなビル。店賃が安いせいか種々雑多な業種がテナントを借りています。広告代理店や不動産会社、学習塾に無認可保育所、怪しげな健康食品販売会社、そして1階の飲食店は、おでん屋、カレー屋、居酒屋ところころと業種を変えるが、従業員はいつもカタコトの日本語を話すアジア系のお兄ちゃんと、いつも寝てばかりいるおじいさん。
      そして、屋上の樹木に水をやりにくる謎のお姉さん。

      各階の各会社の人物にスポットを当てた一話完結の短編なのだけと、各階の登場人物たちもどやどやと話に入ってきます。(特に健康食品会社の加藤)みなそれぞれに悩みや不安、不満を抱えていますが、それぞれに種類が違う。学習塾の先生は将来の展望が見えず、保育所のおばちゃんは仕事のやりがいと息子との同居どちらをとるかを、不動産会社のテレオペ社員は日常に退屈していて、広告代理店のデザイナーは営業の無茶ぶりに徹夜続き。

      一見、チャラ男の加藤だって、怪しげな会社に入ったばかりのころはいろいろと悩んでいたのです。(話が進むたびに吹っ切れてノルマをこなしているようですが)
      この店子たちは、格別仲がいいというわけではなく、目的があるときだけ一階の店で集まってうだうだと飲んで口ケンカをしたりする、普通のビルの店子にしては交流がある程度。
      けれど道路拡張によって「辻堂ビルヂング」は立退きが迫り、店子たちもバラバラになってしまいます。この物語の最後は、1階の飲食店で寝てばかりのコースケおじいさんから「辻堂ビルヂング」の歴史と、謎のお姉さんの正体が明かされます。想像の通りビルのオーナーさんだったのですが。
      それよりもコースケおじいさんと「辻堂ビルヂング」、その前に方向していたお店、その場所への思いが切なかったなあ。奉公にあがったとき主人「いつまでもいていい」と言われた言葉をずっと支えにしてきたんですね。

      「辻堂」の「辻」は道が交差し、人が集まり、また去ってってゆく場所。
      そんな場所に集まった人々の物語。
      ものすごい展開があるわけではないし、物語に派手さはないですが、ほっこり楽しめるおはなしです。


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      三羽 省吾
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      JUGEMテーマ:読書の楽しみ


      JUGEMテーマ:本の紹介


      「それからはスープのことばかり考えて暮らした」 吉田 篤弘

      2010.02.07 Sunday

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        月舟町のサンドイッチ屋さんを舞台にした「それからはスープのことばかり考えて暮らした」は「つむじ風食堂の夜」と同じく、舞台はどこか懐かしい雰囲気の町・月舟町。町のサンドイッチ屋さんを舞台にしたおはなしです。

        会社を辞めて月舟町に引っ越してきた大里くんは彼がマダムと呼ぶ大家さんから「オーリィ君」と呼ばれ、以来それが月舟町での呼び名になります。時間がたっぷりあるオーリィ君は隣駅にある古い映画館「月舟シネマ」に通って古い映画を観たりして日々を過ごしています。のんびりとした日々を過ごしていたオーリィ君ですが、映画館と同じくらい通い詰めているサンドイッチ屋さん「トロワ」のご主人、安藤さんに勧められ、「トロワ」で働くことになります。
        やがて「トロワ」のサンドイッチにあうスープ作りを任されたオーリィ君は、それから毎日スープのことばかり考えて暮らしています。

        安藤さん、大家のマダム、安藤さんの息子・リツ君、そして映画館でであった老婦人。時がゆるやかに流れる月舟町で、個性的でやさしい人たちとの交流とおいしいスープ。読んでいるだけでちょっと気分がゆったりしてきます。

        つむじ風食堂の夜」よりもやや現実的な描写(携帯電話とか)がありますが、月舟町とそこに住む人々の時間はとてものんびりしています。特に月舟シネマは時を忘れたような古い映画館で、私もポップコーンをかじりながら古い映画を観てみたくなりました。

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        「つむじ風食堂の夜」→

        JUGEMテーマ:気になる書籍

        「つむじ風食堂の夜」 吉田 篤弘

        2010.01.16 Saturday

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          わたしは食いしんぼなので、物語のなかに食堂がでてくるお話が好きです。本なら「グアテマラの弟」「かもめ食堂」、映画なら「ホノカアボーイ」、「プール」、など、肩ひじ張らないおいしい料理と、そこに集まる人々の日常は、読んだり見たりするだけで幸せな気分になれるのです。

          「つむじ風食堂の夜」は月舟町の小さな食堂に集まる人たちのお話です。もともと食堂には名前がなく、十字路にあつまるつむじ風にちなんで客たちが「つむじ風食堂」と呼ぶようになったのです。
          メニューは食堂ではおなじみの定食をフランス風アレンジした料理。店の常連には人工降雨の研究から「雨降りの先生」と呼ばれている「私」、舞台女優の奈々瀬さん、帽子屋の桜田さん、果物屋の青年がおり、時おりことばをを交わしながら食事をしています。

          物語の舞台となる月舟町はなんとも不思議で懐かしい雰囲気の町です。路面電車が走る町、坂の上の銭湯から流れるお湯が地下を流れる音、商店街でひとつだけ、夜遅くまで店を開けている果物屋からは、果物の放つあかるい光。

          どこかにあって、どこにもないような、そんな場所。
          私も主人公のように月舟アパートメントの屋根裏部屋に住み、同じ机を二つ並べて研究と文章を書いて日々を過ごしてみたい。

          作者の吉田 篤弘さんはクラフト・エヴィング商會の方なのだそうです。クラフト・エヴィング商會は「どこかにいってしまったものたち」などノスタルジックで不思議な品々を紹介した本を作っていて、クラフト・エヴィングという名前は稲垣足穂の文章中からとられたのだとか。この本を読むと稲垣足穂の「千夜一夜物語」を思い出したのは、そういうつながりがあったからかもしれません。

          つむじ風食堂の夜
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          どこかにいってしまったものたち
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          「それからはスープのことばかり考えて暮らした」→

          「幸福な食卓」 瀬尾 まいこ

          2009.05.21 Thursday

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            ある日の朝食のとき、父さんが
            「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」と、言い出した。
            数年前のある事件から母さんは家を出て一人暮らし。
            でも時々顔をだしてご飯をつくりにきてくれる。
            ひょうひょうとした秀才の兄・直ちゃんは大学に進学せず、
            農業を始めた。

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            はたから見たらこの家族は崩壊しているようにみえるかも
            しれない。父親は脱父親宣言、母は家を出ているし、
            兄もかなりぶっとんだ性格だし。
            でもみんな、相手のことを思いやり、尊重し合って暮らしている。
            「普通」の暮らしをしていたって、こころが通わない家族なんて
            珍しくないし、こういうバランスのとり方もありなんじゃないかなと思う。ほんとうに大切なのは家族の「型」じゃないんだよね。

            物語の終盤でとてつもなく悲しい出来事が起きたときも、
            家族にに対してきつい言葉を吐いてしまった佐和子に、
            怒るのではなく「そんなことを言うほど、傷ついているんだね。」と言えるのってすごいことだと思うんです。

            瀬尾さんの小説にでてくる人たちは、みんなどこか憎めなくて
            やさしい。直ちゃんの彼女、派手で豪胆な小林ヨシコは佐和子が落ち込んでいるとわざわざシュークリームをつくってやってきたり、彼氏の大浦君は単細胞だけども明るくて無邪気だ。
            疲れた時に甘いものを食べると元気がでるように、瀬尾さんの小説を読むと、じんわりと少し幸せな気分になれる。

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            ●その他の瀬尾作品
            「おしまいのデート」
            「ありがとう、さようなら」
            「見えない誰かと」
            「図書館の神様<」/a>
            「天国はまだ遠く」
            「優しい音楽」
            「強運の持ち主」
            JUGEMテーマ:小説全般


            「ちょいな人々」 荻原 浩

            2009.05.08 Friday

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              人ってバカだなぁ。でも面白いなぁ。
              日常におこるささいな、でも本人たちにとっては重大な事件に翻弄される人々を描いた短編集「ちょいな人々」。

              登場人物たちは自分に降りかかる事件に、一生懸命対処するんですが、時に裏目にでたり、予想もつかない方向に物事が進んで行ったりします。こういっては失礼だけども、読んでいる側からすればそれが滑稽でおもしろい(^^)。

              一番印象に残ったのは「いじめ電話相談室」。いじめ体験をもつ相談員の聡子さんが、自殺志願の女の子にいじめ対策をさずけたり、自らもいじめ相手をかく乱したりするのがかっこよかった。
              ただ、職場の元校長の相談員のいじめにはほんと腹が立ちました。
              聡子さんの仕事をうばったり、持ち物をかってに持っていったり。
              大人の方がやり方がえげつないなんですね。
              飼っている水槽の魚のなかにもいじめが出てくるのも印象的でした。


              ・女子社員に私服をほめられ、その気になって会社のカジュアルフライデーに着る服を買いあさるサラリーマン。(ちょいな人々)

              ・ガーデニング好きの主婦と、隣の老人。お互いの庭をめぐる壮絶バトル(ガーデン・ウォーズ)

              ・不運続きの占い師に、ある日突然変化がおとづれる(占い師の悪運)

              ・いじめ電話相談室にかかってきた自殺電話がきっかけで相談員の聡子は大胆ないじめ対策を授けるが、それをねたんだ他の職員から今度は聡子がいじめにあうことに…(いじめ電話相談室)

              ・あるおもちゃ会社開発したペットの気持ちがわかるスーツ、犬猫完全翻訳機、そこには飼い主の希望とは逆に、ペットたちの意外な「本音」が…(犬猫完全翻訳機)

              ・犬猫完全翻訳機で失敗した会社がしょうこりもなく作り出した音声メール機能付き携帯電話。音声でメールが打てるのは便利なものの、送信者の本音がメールに反映されるようになり…(本音メール)

              ・タイガースマニアの彼と巨人ファンの父。結婚の申し込みがいつの間にか野球観戦に…(くたばれタイガース)

              作者の荻原浩さんは、映画「明日の記憶」の原作も書かれているそうですね。いままで深刻な話は敬遠していたのですが、この人の書いたものならなんだか希望がありそうなので「明日の記憶」も読んでみようと思います。


              すーちゃん」の益田ミリさんが描く人々のイラストがどこかぬけていて愛らしい。
              ちょいな人々
              ちょいな人々
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              「ママの狙撃銃」→

              「図書館の神様」 瀬尾 まいこ

              2009.03.26 Thursday

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                瀬尾まいこさんの「図書館の神様」は「天国はまだ遠く」と同じく、傷ついた女性の癒しの物語なのですが、こちらの主人公・清はちょっと複雑です。

                高校時代に打ち込んでいたバレーボールのミーティングできつく当った同級生が自殺してしまい、それまで清く正しく生きてきた清はその時をさかいに、いいかげんで投げやりな生活をはじめる。なりゆきで田舎の学校の教師になってみたり、奥さんのあるひとと不倫してみたり。

                そんなとき、顧問を任された文芸部でたったひとりの部員・垣内君と出会う。垣内君のペースに乗せられた清は、バレー一筋の人生でまったく接点のなかった図書館や文学に触れていくうちに、いい加減だった授業のやりかたや教師としての仕事にも少しずつやりがいを見出していく。

                しかし、この主人公・物語の半分くらいまでずっとうだうだとすごしています。そのうだうだ感がなんともじれったい(´Д`)=3 。「天国はまだ遠く」の千鶴に比べて共感できない部分が多かった。
                でも瀬尾さんの作品にでてくる人たちはみんなやさしい。
                マイペースでひょうひょうとした文芸部員の垣内君。
                おおざっぱでおおらかで姉思いの弟・拓実。
                不倫相手の浅見さんでさえ、途中まではとてもやさしい。
                そして瀬尾さんの描く不倫話はやっぱりドロドロしていない

                そんなやさしい人たちに触れ合うこと、垣内君を通して読んでみた文学の世界。そんな交流の中から、清は自分の進むべき道をようやく見つけだします。物語の終盤、少しふっきれて行き先を決めた清にはどんな生活がまっているんでしょうか。
                あまり共感がもてなかったけれど、でもやっぱり幸福に過ごしてほしいと思います。


                図書館の神様
                図書館の神様

                ●その他の瀬尾作品
                「おしまいのデート」「ありがとう、さようなら」「見えない誰かと」「天国はまだ遠く」「優しい音楽」「強運の持ち主」「幸福な食卓」
                JUGEMテーマ:小説全般

                『天国はまだ遠く』瀬尾 まいこ

                2009.03.14 Saturday

                0
                  人生をリセットできるのは、美味しいご飯と眠ること。疲れたら休んでいいし、楽しんでもいいんです。そう思わせてくれるやさしい物語。

                  「天国はまだ遠く」あらすじ


                  仕事も人間関係もいきづまってしまったOL・千鶴は自殺をするために、「誰も私を知っている人がいないところ」と決めた日本海側、北のほうへ旅立つ。偶然見つけた山あいの集落・木屋谷。

                  そこに一軒だけある「民宿たむら」に宿をとった千鶴は、その夜睡眠薬で自殺をはかるものの、なぜか爽快に目覚めてしまった。

                  失敗したことで急にしぬ気が失せてしまった千鶴は、そのまま民宿たむらに長逗留することになる。木屋谷の何にもない自然と、田村さんがつくるおいしいごはん。

                  これからのこと、考えなければならないことは山ほどあるのに、考えが浮かばない。そのかわり、今までなくしていたごはんがおいしいと思える事や、気持のいい睡眠を手に入れることができた。
                  居心地のいい生活は、このまま、ここで暮らしてもいいかなと思ってしまうほどに…



                  ひょうひょうとした田村さんと、日々の丁寧な生活描写が魅力


                  よくある物語ではあるのですが、日々のごはん、季節の移り変わり、田村さんの手仕事など、木屋谷での生活が細かく描かれていて、この本を読んでいると時間がゆっくり流れていくような気になります。

                  そして、宿の主人の田村さんがすごくいいんです。どこかひょうひょうとしていて、さりげなく思いやりがあって。

                  手負いの小動物のような手のかかる千鶴を、ぶっきらぼうにやさしく見守る田村さんのおかげで、千鶴のこころにも少しずつ変化がでてきます。
                  「あんた死んだん知らんと、俺、夕飯とか作って待っとったら空しいやろ。」

                  当たり前のことだけれど、おいしいごはんとゆるやかな睡眠、それと自然は、本当に人を癒す力をもっているのだな、と感じました。

                  「天国はまだ遠く」は映画化もされていて、田村さんをチュートリアルの徳井さんが演じています。予告編を見たけれど、いい雰囲気でした。普段のエロっぽさが全然ないし(^^;)

                  [映画]天国はまだ遠く→

                  天国はまだ遠く [DVD]

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                  ●瀬尾まいこさんの作品感想


                  「おしまいのデート」→
                  「ありがとう、さようなら」→
                  「見えない誰かと」→
                  「図書館の神様」→
                  「優しい音楽」→
                  「強運の持ち主」→
                  「幸福な食卓」→

                  JUGEMテーマ:読書感想文

                  「銀のエンゼル―出会えない5枚目を探して」 鈴井貴之

                  2007.07.01 Sunday

                  0
                    ミスターこと鈴井貴之監督の映画「銀のエンゼル」の小説版、「銀のエンゼル―出会えない5枚目を探して」。通常、映画のノベライズはストーリーをそのまま小説化したものが一般的だけれど、これは映画のストーリーの1年後の話。この文庫版ではさらに「その後の北島家」として、9年後、娘の由希が嫁ぐ日のショートストーリーも加えられている。

                    東京の美大に進学した娘・由希が夏休みに帰省したところから物語りは始まる。どうやら由希は東京でつらい恋を終わらせてきたらしい。そんなことはつゆしらず、相変わらずお人よしの父・昇一は、夏祭りの実行委員長に選ばれ、トラブルに見舞われる。
                    祭りのメインとなる演歌歌手の出演を頼んでいたプロモーターが前金をもって音信不通になってしまったのだ。

                    由希を慕う配送運転手・ロッキー(映画では大泉さんの役)の協力で、札幌までプロモーターを探しに行くことになった昇一。せっかく帰ってきた娘との会話もそこそこに…

                    果たして、昇一はプロモーターを見つけだし無事に祭りを成功させられるのか?傷ついた由希の心は癒されるのか?
                    映画「銀のエンゼル」を見ておくとより物語が味わえますが、映画を見ていなくても十分楽しめます。

                    読んでいると、自然と北海道の自然や、舞台となる田舎のコンビニに集う人々の映像が浮かんできます。
                    ぜひ、この続編も映像化して欲しい。

                    [追記]
                    祭りに呼ぶはずだった演歌歌手は、もしかしたら御社亜樹だったりして(^^)

                    銀のエンゼル―出会えない5枚目を探して (幻冬舎文庫)
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                    映画「銀のエンゼル」→

                    JUGEMテーマ:水曜どうでしょう

                    「強運の持ち主」 瀬尾まいこ

                    2006.07.04 Tuesday

                    0
                      昔、JR神田駅のホーム下に占い師がいる喫茶店があった。その喫茶店ではコーヒーを飲みながら占いをしてもらえるスペースがあり、神田で勤めていたときは、たまに占ってもらったり相談に乗ってもらったりしたものだ。

                      「強運の持ち主」あらすじ


                      強運の持ち主」の主人公、ルイーズ吉田の職業は占い師。
                      彼女はいいかげんな占いだけど、よく当たると評判の占い師。
                      営業時代につちかった記憶力と直感をたよりに相談者の悩みを聞き、適当なアドバイスを送ると客は満足して帰ってゆく。
                      ヘタに占うより直感で占ったほうがうまくいくのだ。
                      ルイーズにはあらゆる占いで「強運の持ち主」とされる恋人・通彦がいる。彼女はあらゆる手段を使って彼を手に入れたが、彼自身はは「強運の持ち主」らしからぬパッとしない役所勤めの男性だ。

                      そんなルイーズの元には、時おりちょっと変わった依頼もあり…

                      ・お父さんとお母さん、どちらにするか占い決めて欲しいという小学生。実はただの離婚問題ではなく、そこには切なくて笑える事情があった。

                      ・人の「おしまい」が見えてしまう大学生。
                      その「能力」を生かすためルイーズの元に押しかけ弟子として居座ってしまう。
                      彼に「何かおしまいが見える」を指摘され、(いちおう占い師なのに)あせるルイーズ。
                      もしかして通彦との「おしまい」ではないかと心配し、いろいろと策を講じるのだが…


                      背中を押してもらえる、物語


                      落ち込んだ時、だれかに話を聞いてもらって、背中を押してもらえるだけで、ちょっとだけ勇気がでる。

                      それは占いであってもカウンセリングであっても、友達に話を聞いてもらうのも、結局は同じことなのかもしれない。

                      誰かに話を聞いてもらえて、「大丈夫だよ」っていってもらえたら、それだけでほんの少し元気になれる。

                      「強運の持ち主」は、誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらえるような、あったかい物語だった。

                      強運の持ち主 (文春文庫)
                      瀬尾 まいこ
                      文藝春秋
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                      ●瀬尾まいこさんの作品感想
                      「おしまいのデート」
                      「ありがとう、さようなら」
                      「見えない誰かと」
                      「図書館の神様」
                      「天国はまだ遠く」
                      「優しい音楽」
                      「幸福な食卓」

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