[映画] 狼たちの午後

2015.02.02 Monday

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    アル・パチーノ主演「狼たちの午後」(1975年)を観ました。
    観るきっかけは、演劇ユニットジョビジョバのコント劇「ジョビジョバ大ピンチ」が、この映画のモチーフをもとに作られたと聞いたからです。

    銀行強盗と、人質たちの奇妙な連帯感、いわゆるストックホルム症候群を実話を元に映画化。若き日のアル・パチーノのかっこよさが光ります。


    狼たちの午後 あらすじ


    元銀行員のソニーは仲間とともに銀行強盗を企てるものの、その計画は当初からトラブルが続き。まず、仲間のひとりがビビって早々にリタイア。その後なんとか銀行を占拠し、金庫を開けるとお金がほとんどない。

    仕方なく人質をとって警察に要求をつきつけるものの、話し合いは進まず、膠着状態が続いていきます。

    やがて、ソニーが銀行強盗を起こした理由が、ゲイの恋人の手術費用を稼ぐためだと判明し、世間はさらに大騒ぎに。

    権力に反発する70年代の風潮もあいまって、ソニーはまるで英雄のように民衆に持ち上げられていくのですが…。


    ヘタレな銀行強盗と、強い女たち


    映画の大半は籠城した銀行強盗と警察の押し問答、人質たちとの交流が描かれます。銀行の大半が女性職員なのですが、彼女たちがけっこう強い。

    人質となったのに、ビビりながらもソニーに対して「なんでもっとちゃんと計画たてなかったの!」と説教したり、逃亡先はどこがいいかと話しあったり、すっかり打ち解けたムードになっていきます。

    一方、警察がソニーを説得しようと連れてくる家族たちも、妻は不満をぶちまけるし、母親はこんな状態でも嫁の悪口をソニーに聞かせるわで、だんだんソニーが可愛そうになってきます…(;´Д`)


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    「狼たちの午後」から派生していった作品



    ・ジョビジョバ大ピンチ


    ジョビジョバ作品の中でも有名なもの。二人組の銀行強盗、糖尿病もちの支店長など、同じモチーフを使っているものの、まったく違ったコメディに仕上がってます。ラストシーンはたくさん笑ったあと、いい意味で裏切られた感じ。

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    ・スペーストラベラーズ


    「狼たちの午後」から着想を得た「ジョビジョバ大ピンチ」から、さらにそれを原作として映画「スペーストラベラーズ」が作られました。「ジョビジョバ大ピンチ」を大掛かりにした感じの作品。

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    [映画] ベスト・キッド(1984年版)

    2014.11.11 Tuesday

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      「ベスト・キッド」(1984年版)を観ました。空手を通じて少年の成長物語と師弟の絆が描かれた映画で、意外にも日本人及び日本文化が比較的正確に描かれていたのに驚きました。

      師弟関係、少年の成長


      「ベスト・キッド」の主人公ダニエルは、孤独で家も貧しく、社会的には弱者の位置にいます。ダニエルの家は母親だけで、お世辞にも裕福とはいえない。知り合った富裕層の少女・アリとの仲も、彼女の両親やライバルのジョニー(彼も富裕層)によって引き裂かれそうになったり、ジョニーたちからは執拗な暴力を振るわれます。

      そこで日本人ミヤギはダニエルに空手を教え、そこから抜け出すための方法を伝えていきます。それは、単に体を強くすることよりも、心を強くする、攻撃よりも守りを重視した空手でした。

      私がすきなシーンは、ミヤギが初めて弱みを見せるところです。
      ミヤギが戦争中にアメリカのために戦っている間、収容所に入れられた奥さんが出産の合併症で亡くなってしまったのを嘆きます。おそらくは医者は呼んでも来なかったのでしょう。

      ダニエルは今まで仙人のような、不思議で強い日本人の師匠が、自分と同じく階級が低く、不当な扱いをされてきた弱者であると知るんです。

      ここから、二人の絆がぐっと近づくんですよ。


      日本のイメージが変わった瞬間


      70年代以前はイエローモンキーだの、ジャップだのと蔑まれてきた日本人及び日本文化ですが、それが「ベスト・キッド」の80年代くらいから、日本文化や日本の描き方が変わってきた気がします。
      (まあでも、その後ジャパンマネーの席巻でバッシングされるのですがね。)

      「ベスト・キッド」は、やや大げさな誇張はあるものの、概ね日本文化や空手について、好意的に描かれている気がします。他の映画の日本人や日本文化の表現は、ひどいですからね…。

      ・日本人の袴が逆さま、芸者の着物がおかしい→「ドラゴン怒りの鉄拳」


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      レビューポータル「MONO-PORTAL」

      女装とモンロー。[映画] お熱いのがお好き

      2014.11.07 Friday

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        マリリン・モンロー主演「お熱いのがお好き」を鑑賞。監督のビリーワイルダーは、三谷幸喜さんが尊敬する監督としてあげている方で、コメディセンス、ドタバタ感、先の読めない展開が、50年以上前に作られたとは思えないほど、普遍的な面白さを感じました。

        得てして昔の映画は「あー、こうなってこうなって、で最後はアメリカ男が女にチューしてエンドね。」的な、先が読めちゃう展開が多いのに、「お熱いのがお好き」は、ラストまでどう転ぶかわからないんですね。

        「お熱いのがお好き」あらすじ


        マフィアの殺人現場を目撃したバンドマンのジョーとジェリーはマフィアの追手をごまかすためにジョゼフィン、ダフネと名を変え、女性バンドに女装して参加、フロリダを目指すことに。

        その後、ふたりは同じバンドのウクレレ歌手・シュガーに心奪われてしまう。男性の時はジョーが女たらしで、ジェリーがそれを止める役だったのに、女装をするとそれが逆転し、ダフネとなったジェリーは積極的にシュガーと仲良くなり、女の園を楽しむのに対し、ジョーことジョセフィンはそれをハラハラしながら止める役に変わっているんですね。

        マリリン・モンローがキュートで可愛くて、一途な女性を演じています。劇中で歌われる「I Wanna Be Loved by You」は、誰でも聞いたことがあるほどの名曲で、マリリン・モンローのセクシーな衣装と歌声が美しいです。

        I Wanna Be Loved By You
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        展開が読めない面白さ


        やがてダフネは大富豪オズグッドに一目惚れされ、執拗なアプローチをされてしまったり、ジョーは男装(?)して大富豪になりすましてシュガーに近づきます。

        オズグッドがダフネに贈った花を、そのままシュガーへ贈ったり、大富豪から女性への着替えが間に合わず、泡風呂で間一髪ごまかしたりと、次はどうなるんだろう?と最後までハラハラドキドキしながら映画にのめり込んでいきました。

        やがて、偶然にも彼らを狙うマフィアたちが同じホテルに滞在することになり、そこからの逃走劇がまた、二転三転していくのです。

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        モンロー出演作
        ナイアガラ

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        つかれた時に観たくなる、甘い映画 [映画] ショコラ

        2014.08.27 Wednesday

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          人生はチョコレートの箱のようなもの」といったのは、映画フォレスト・ガンプですが、映画「ショコラ」のチョコレートは、人生にひとときの癒しを与えてくれます。

          1950年代、堅苦しく、伝統を重んじる村に、風変わりな親子がやってきます。キリスト教の断食月にチョコレートショップをひらくヴィアンヌに、村長のレノ伯爵は嫌な顔をしますが、娘と仲違いして孫に会えない大家のアルマンドや、夫から暴力を受けているジョセフィーヌなど、心に傷と孤独を抱える村人たちがヴィアンヌのチョコレートによって生きる力を取り戻していきます。

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          人生を変えるチョコレート


          古代、チョコレートはくすりであり、媚薬でもありました。村で抑圧された生活を強いられている人々にとって、ヴィアンヌのチョコレートは自らを解き放つきっかけになったのですね。

          放浪の呪術師


          実はヴィアンヌは南米の呪術師の末裔の女性とフランス人男性との混血で、母から受け継いたチョコレートの知識と放浪の民の気質を受け継いでいます。

          そうした気質を運命と感じて旅を続けるヴィアンヌと、ひとつところに落ち着きたい娘のアヌークは考え方が異なり、時にぶつかります。人々を癒すヴィアンヌにも自らの悩みはチョコレートでは解決できないのです。

          もうひとりの放浪者


          ある時、村にジプシーの集団がやってきます。ヴィアンヌはジプシーのリーダー・ルーと恋に落ちますが、よそ者のジプシーをレノ伯爵をはじめ、周りの人は快く思いません。ヴィアンヌにとってのチョコレートがルーだったのでしょうね。彼に悩みを話すことで、ヴィアンヌの心も癒やされていくのですね。

          ヴィアンヌを演じたジュリエット・ビノシュの美しさが際立ちます。ジョニー・デップもまた、いつもと違う包容力のあるイケメン役で、ふたりのシーンはほんと美しい。他にも名女優ジュディ・デンチや「マトリックス」のトリニティを演じたキャリー・アン・モスなどが出演しています。



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          レビューポータル「MONO-PORTAL」

          ダーク・ファンタジーの傑作 [映画] パンズ・ラビリンス

          2014.08.17 Sunday

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            「パンズ・ラビリンス」は、スペイン内戦時代、薄幸な少女が森の番人パンに導かれ、異世界へ行くための試練をうけるダーク・ファンタジー。

            パンズ・ラビリンスの世界観


            パンズ・ラビリンスは、通常のファンタジーと違うのは、悲劇性が高く、描写が残酷なところです。主人公のオフェリアは、母親の再婚相手のヴィダル大尉のもとへ引き取られる。あるとき森で迷宮の番人パンに出会い、自分が地底の国の王女の魂を宿したものだと告げられます。王国へ戻るにはパンの与える3つの試練を乗り越えねばならない。

            ヴィダル大尉はオフェリアや母親より、自分の分身としての息子にしか興味がなく、母親は大尉の顔色ばかりを伺い、屋敷はレジスタンスとの抗争で血なまぐさい。親切なのは使用人のメルセデスだけだが、彼女はレジスタンスの弟のため、スパイとして動いている。

            そんな現実から逃れるため、オフェリアは幻想の世界へ旅立っていきます。

            戦争の現実と幻想世界


            戦争の血生臭さと、幻想の世界が交互に描かれるのですが、オフェリアが行く異世界もまた、とても美しいとは言えません。地底では大きな虫が蠢く中で巨大なカエルを退治して鍵を手に入れ、人喰いの怪物の住む屋敷から剣を手に入れる試練があたえられます。

            けれど、そんなグロテスクな世界でも、現実世界よりオフェリアにはましだったのかもしれません。だって試練さえ乗り越えればこの世界から逃れることができるのですから。

            レジスタンスと軍隊の戦闘シーンや、拷問など、かなりグロテスクなシーンもあり、たしかにこりゃ、小さいお子さんにはみせられませんわ。(PG12)


            追い詰められていくヒロイン


            ここからネタバレになりますが、母親の具合が悪くなり、オフェリアはパンからおまじないを教わり、なんとかもちなおしたものの、大尉にみつかり、おまじないは焼かれ、母親は弟を残して死んでしまいます。おそらくヴィダルの指示でしょうね。彼は自分の分身たる息子だけが大事だから。

            試練の最中もオフェリアは「絶対に物を食べてはいけない」と言われているのに化け物屋敷のブドウを食べてしまい、パンからも見捨てられてしまいます。

            けれど、どうしてブドウ2粒だったらいいって勝手に解釈しちゃうんだろ?(;´・ω・)まあ、おとぎ話は禁忌をおかしてなんぼってとこがありますから、しかたないのだけど。

            そして後半、オフェリアはどんどん追い詰められていきます。パンから罪をゆるされ、最後の試練として弟を連れてくるように言われます。ここからんとなく、結末が想像できたのですが、悲劇ではあっても、まだなんか救いもあるような気がします。それだけ、ヴィダル大尉のいる現実が悲惨なものでしたから…


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            元気なヒロインの単純明快ガーリー映画。[映画] キューティーブロンド

            2014.07.27 Sunday

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              ちょっと、落ち込んだり、元気が出ない時は、ヒロインががんばる単純明快な映画が見たくなります。「キューティー・ブロンド」はそんな時見るのににぴったりの映画です。

              ブロンド(はバカ)だから」という理由で振られた主人公が一念発起してハーバードのロースクールに合格。周囲の差別に苦しみながらも、弁護士を目指していきます。

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              エルの頑張りに拍手!


              最初は自分を振った元カレを振り向かせるためのロースクール入りだったけれど、後半からエルがどんどんいい女になっていきます。もともと女子大生の「イケてる」グループのカリスマ的存在だった彼女は、ハーバードでも周囲の人を巻き込んで、相手に幸せをもたらしていきます。

              こういうイケてる女子大生って、性格悪かったり、イケてない女子をいじめてたりするもんだけど(CSIなんかではそれで死体として発見されることが多い)、エルは単純明快でいい子なんです。

              まあ、ちょっと楽天的すぎるとこもあるけれど。

              それでも、失恋の傷を癒やすために入った美容院でネイル担当のおばさんの悩みを聞いて一緒に泣いたり、彼女の恋を後押ししてあげたりするやさしさをもっているエル。そんな彼女の明るさと行動力は、周囲の学友だけでなく、いつもエルに意地悪な元カレの婚約者、ヴィヴィアンをも変えていきます。

              そんなエルの頑張りは、観ていて痛快で、拍手をおくりたくなります。


              自由の国アメリカの差別


              キューティーブロンド、そもそもの発端は、エルの元カレが「政治家の妻にはちゃんとした家柄の、ブルネットの女性じゃなきゃ」ってことでエルを振るところから始まります。どうもアメリカにはブロンド=派手、バカといったイメージがあるみたいですね。そういえば赤毛も差別対象なんだって聞いたことがあります。

              また後半、弁護士事務所の実習生となったエルやヴィヴィアンにコーヒーをいれさせたり、セクハラがあったりと、アメリカでも上位の階級にある男性たちであっても自然に女性差別を行なっているんです。

              その他にも男性たちはレズビアンの学友に対しても普通に接しているとはいえないし、女性の社会進出の進んでいるアメリカでも、細かい差別がいろいろとあるみたいですね…。

              でも、そんな差別に屈せず、どんな風に思われようと自分のスタイルを変えずに堂々と法曹界を進んでいくエル、かっこいいです。


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              合唱が心をつないでゆく。[映画] コーラス

              2014.04.14 Monday

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                新しく赴任してきた音楽教師によって、悪ガキだった生徒たちが成長していき、音楽の才能が花開いていく物語。
                古今東西、この設定はすたれることなく受け継がれてきました。

                それだけ、音楽の持つ力、物語のもつ力が、間違いなく人の心を打つからでしょうね。

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                物語


                映画「コーラス」は、フランスの寄宿舎を舞台にした音楽教師と生徒の絆を描いた作品。
                著名な音楽家のモランジュは、母の葬儀のため故郷に戻る。そこへ寄宿舎時代の友人、ペピノが訪ね、音楽教師マチューの日記を託す。日記の中にはマチューとモランジュたちの懐かしい思い出が綴られていた。
                悪ガキが集まる寄宿舎「池の底」は、悪ガキだらけの学校で、校長は厳しい体罰で生徒たちを支配していた。そんな中、音楽家への夢破れた舎監のマチューがやってくる。マチューは生徒たちに合唱を教え、徐々に生徒たちの中に秩序と絆が宿っていく。

                やがて問題児・モランジュにすばらしいソリストの才能があることを知ったマチューは、彼を一流の音楽家に育てるために苦心していくが…。

                絶望から希望へ


                寄宿舎の描写が、まるで「ショーシャンクの空に」のようでした。体罰と暴力、その反抗のくり返しですさんだ生徒たちに、マチューは根気よく合唱を教えていきます。校長は出世しか頭に無く、生徒を支配しようとし、マチューの手柄を横取りするところも、ショーシャンク刑務所の所長を彷彿とさせます。

                それでも、はきだめのような場所から、希望を見出していくマチュー先生と生徒たち。
                その歌声は本当に素晴らしく、泣きながら観ていました。ソリストのモランジュを演じた少年は、実際に少年合唱団に所属していたのだとか。

                やがて、マチューは、ある事件をきっかけにして学校を追われてしまうのですが、その生徒との別れのシーンがすごくいいんです。マチューは音楽家としては成功しなかったけれど、たくさんの生徒を育てたことは、音楽家として成功するよりもすばらしいことなんじゃないかな、って思うのです。



                圧巻のの3D映像美と、人間の再生。[映画]ゼロ・グラビティ(ややネタバレ)

                2014.01.30 Thursday

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                  話題のSF映画、『ゼロ・グラビティ』をみてきました。

                  圧倒的な宇宙の映像


                  映画をみる前に少し調べたら、映像をより楽しむには、『字幕よりも吹き替え、3D映像がいい』と書いてあり、その通りでみたところ、最高でした!
                  デブリ(宇宙ゴミ)が大量に飛んでくるシーンは、思わず避けてしまうほど。
                  無重力に浮かび、回転するネジ、デブリ事故の迫力、酸素のない宇宙を漂う恐怖…。どれもサンドラ・ブロックが演じる主人公を通して、自分にも迫ってくるようで、息もつけない一時間半でした。


                  過酷な宇宙空間


                  一度事故に遭遇すれば、生存の確率は恐ろしくゼロに近い宇宙空間。デブリが直撃した悲惨な死体、酸素がなくなる恐怖…。おそらくNASAはこうしたトラブルのために二重三重の回避策を講じているのでしょうが、それでも何が起こるかわからないのが宇宙という場所なのでしょうね。

                  「ゼロ・グラビティ」を観た後は、単純に宇宙に行きたい!と思えませんでした。

                  ベテラン宇宙飛行士コワルスキー(ジョージ・クルーニー)が、2人で宇宙に流されそうになった時、ライアンを助けるために自らフックを外しましたが、あれはライアンに惚れていたからではなく(それもあるかもですが)、「生き残る可能性の高い方を優先する」選択なのではないかと。それだけ、宇宙という空間は人の生存を拒む過酷な場所、ということを表現した結果だと思うのです。


                  主人公の再生


                  宇宙空間の美しさと恐怖を、圧倒的な映像で表現してみせたゼロ・グラビティですが、実は物語の軸は、主人公の再生(生き直す)ことにあるのではないかと、思うようになりました。
                  主人公のライアン(サンドラ・ブロック)は、幼い娘を事故で亡くした喪失感をかかえて、一度は絶望感から自ら命を絶とうとします。けれど、そこでコワルスキー(ジョージ・クルーニー)の幻に助けられ、最後まで望みを捨てずに生き残るために最大限の努力をしていきます。

                  最初のうちは、トラブルに恐怖を感じ、受け止めるだけで精一杯だったライアンが、生まれ変わり、生きる望みをかけて戦う姿、これこそが、物語のテーマなのではないでしょうか。

                  宇宙に放り出され、ライアンが宇宙ステーションに辿り着いた時、無重力に浮かぶライアンの姿と、後ろのコードがあわさって写され、まるで、子宮内の胎児のように見えました。これが、ライアンの再生の象徴なのかもしれないな、と。

                  ゼロ・グラビティ [Soundtrack] 国内盤
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                  宇宙ゴミ・デブリをモチーフにしたSFアニメ「プラネテス」→

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                  [映画] 英国王のスピーチ

                  2014.01.18 Saturday

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                    映画「英国王のスピーチ」を観ました。じんわりと心に響く、いい映画でした。

                    吃音症のため、王族としての公務にプレッシャーを感じるヨーク公アルバートのため、妻のエリザベス妃が探してきた言語療法士のローグは、治療では対等の立場を求め、王族への敬意を払わないその態度に、アルバートは怒り、治療を拒否するものの、治療で録音された朗読を聞くと、そこには自分の流暢な声が流れてきた。

                    アルバートはローグの治療を受け入れ、2人の間には友情が芽生えていくが、兄の退位により、王座につくことになったアルバートに、戦争という重責がのしかかり…。

                    最初から王になるのでない、王になっていくのだ。


                    離婚歴のある女性と結婚するため(王冠をかけた恋)退位した兄の代わりに王の座につくことになってしまったアルバート。重責に押しつぶされそうになるものの、エリザベス妃やローグに支えられ、戦時下のクリスマス・スピーチを行います。紆余曲折があったものの、自分のやるべきことから逃げず、立ち向かっていく姿は素晴らしかった。

                    「王冠をかけた恋」って、もう少しプラトニックでロマンチックなものだと思っていましたが、シンプソン夫人は結構奔放で、ナチスともつながりがあったり、結構なトラブルメーカーだったんですね…。(^^;)

                    為政者と異邦人との友情


                    セブン・イヤーズ・イン・チベット」では幼いダライ・ラマと白人教師、「王様と私」ではシャム国王と家庭教師、「英国王のスピーチ」では国王とオーストラリア人療法士。こうした異なる文化をもつ異邦人と、為政者の友情を描いた映画は、どれも実話。

                    お互いの文化や、立場の違いを超えて、理解しあえる友情というのは、時に歴史上すばらしい影響をもたらすのかもしれません。

                    ヘレナ・ボナム・カーターが、吃音症に苦しむ夫を支える、献身的な王妃の役がとても素晴らしかったです。とても「ハリーポッター」シリーズでファンキーな魔女を演じていた人と同一人物とは思えない。

                    少し残念だったのは、吹き替えだったのでいまひとつ吃音の表現がわかりづらかったのと、チャーチル役の役者さんが、ハリーポッターのワームテールだったので、どうしてもワームテールとして見てしまったところです。

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                    こちらも、言葉にまつわる英国の物語
                    舞台「ピグマリオン」→

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                    [映画]サイダーハウス・ルール

                    2013.09.24 Tuesday

                    0
                      アカデミー賞助演男優賞を受賞した「サイダーハウス・ルール」を鑑賞。
                      孤児院で育った青年ホーマーが外の世界にでて、成長していく姿を描いたこの映画。
                      だだの青春映画ではなくて、親代わりだったラーチ先生とホーマーの愛と確執や、初めての恋、周囲の人々の出来事を通じて、少年の心の変化を描いていきます。

                      ホーマーが生まれ育った孤児院は望まない妊娠をしてしまった子どもを堕胎したり、産ませて引き取る孤児院施設。ホーマーはずっとラーチ先生の手伝いをしているんですが、違法な堕胎に反対しており、ある時堕胎に訪れたカップル、キャンディとウォリーと仲良くなり、孤児院を出てウォリーの実家の果樹園で働くことに。

                      新しい世界と新しい仕事、そして恋。新たな世界での生活にまんぞくしていたホーマーだったけれど、果樹園でおこった出来事にまきこまれてしまいます。

                      アメリカの秋の風景が美しく、主人公が働く果樹園や海のシーンは眺めているだけでうっとり。助演男優賞を獲ったラーチ先生役のマイケル・ケインもすばらしかったけれど、トビー・マグワイアは少年の役がすごく良く似合っていた。生まれ育った環境から、年よりも大人びた考え方をする、ナイーブなホーマーの表情がいい。


                      また、映画をみてショックをうけた部分もありました。
                      望まない妊娠や堕胎のシーンは、見ていてつらかったし、果樹園で働く季節労働者の娘と父親との近親相姦や妊娠なども辛かったな…。

                      美しい青春映画というだけではなく、アメリカの抱える闇の部分も映しだした映画だと思います。

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