2014.05.17 Saturday

「物語ること、生きること」 上橋 菜穂子 瀧 晴巳

作家には、二種類ある。作家という職業になりたいものと、書かずにはいられないものだ。」そう書いたのは有川浩先生ですが、精霊の守り人や、獣の奏者などの名作ファンタジーを生み出した作家、上橋菜穂子先生も、書かずにはいられない作家だと思います。


「物語は、私そのものですから」


「物語ること、生きること」は、「どうしたら作家になれますか?」という、子どもたちの必死の思いに、同じように作家になりたいこどもだった上橋先生が、作家になるまでの道のりをインタビュー形式で語ってくれた本です。


物語ること、生きること
上橋 菜穂子 瀧 晴巳 講談社 売り上げランキング: 16,300



こども時代の上橋先生には、画家である父親と、子どもの進路を見守る母親、それに、語り部として昔話を伝えてくれた、おばかあさんからの影響がありました。作家としての上橋先生は、最初から恵まれた環境にあるといえるかもしれません。けれど、それだけで作家としてデビューできるほど甘い世界ではないのでしょう。上橋先生も最初は、書きたい物語ではなく、書きたいシーンしかかけなったそうです。そこから、短くても完結した物語を書くために努力をし、書きたいものを書くための「修行」が始まるのです。

体感することの大切さ。


上橋作品の魅力のひとつが、異世界とそこに住む人々のいきいきとした描写だと思います。
上橋先生は、文化人類学者としてのフィールドワークのほかにも、実際に武道を体験してみたり、昔の鎧をつけてみたりと、とにかく「体感」することを大事にされています。もちろん、体験出来ないこともあるのでしょうが、その場合も、登場人物の気持ちにそって、考えて、考えて、描かれているのだと思います。だから、読み手に迫ってくるのでしょう。

実在感


小説(特にラノベ)の中には、事件や人の死が、とても軽く感じられるものがあります。書き手がただ感覚的に殺そう、生かそうと思って書かれた文は、読み手にもその安易さは伝わるんです。でも、上橋作品で描かれる人の死には、重みがあり、それが読み手に迫ってきます。それは決して絵空事などではなく、その世界で、実際に起こっていることとして感じるのです。


2つの職業


小説家としての上橋先生の側面は、これまでも特集記事等で語られてきましたが、もうひとつの職業である文化人類学者としての体験も書かれていて、こちらもとても興味深い内容でした。

読み手が体感できる物語を紡ぐため、文化人類学を学び始めた上橋先生。「精霊の守り人」のキャラクター呪術師トロガイは、フィールドワークで会った沖縄のおばあたちからヒントを得たそうです。

文化人類学はとにかく現地へいっての調査が重視されるため、オーストラリアのアボリジニたちに会うためなら水曜どうでしょうの企画並にオーストラリア全土を何千キロも、車を飛ばして行ったそうです。せっかく訪ねても門前払いされたり、悔しい思いもたくさんあったそうですが、そこからの体験が物語に反映されていってるのですね。


隣のアボリジニ 小さな町に暮らす先住民 (ちくま文庫)
上橋 菜穂子 筑摩書房 売り上げランキング: 105,002


上橋作品感想


「精霊の守り人」→
「闇の守り人」→
「夢の守り人」→
「天と地の守り人」→
精霊の守り人シリーズ外伝「流れ行く者」→
精霊の守り人シリーズ外伝「炎路の旅人」→
精霊の守り人レシピ集「バルサの食卓」→
「獣の奏者 闘蛇編・王獣編」→
「獣の奏者掘|亀翳圈廣
「獣の奏者検ヾ扱詈圈廣
「獣の奏者 外伝 刹那」→
JUGEMテーマ:オススメの本


レビューポータル「MONO-PORTAL」

2014.04.23 Wednesday

まほろ駅前多田便利軒、完結?『まほろ駅前狂騒曲』 三浦 しをん

多田と行天の便利屋コンビが活躍する、まほろ駅前多田便利軒駅前シリーズも三巻め。「まほろ駅前狂騒曲」では、いよいよ今までの伏線が回収され、物語も一応の区切りがついたようなのですが…。

まほろ駅前狂騒曲 あらすじ


まほろ駅前で便利屋を営む多田と、居候の行天。なんだかんだでこの2人のバディ生活も2年を過ぎ、行天に振り回されつつも、安定した日々を送っていた多田に、またもトラブルが持ち込まれる。

ある事情から離れて暮らす行天の娘・はるを、母親から半ば強引に押し切られて預かることになる多田。自分の遺伝子上の娘といえど、幼児を恐れる行天への説明に四苦八苦することに。

また前回「まほろ駅前番外地」に登場した無農薬野菜販売団体「家庭と健康食品協会(HHFA)」が、いよいよ本性を表し、学校給食やヤクザにまで販路拡大を狙う。

HHFAを快く思わない、まほろ裏社会を仕切る星から、多田は半ば強引に調査を依頼される。
なれない育児に奔走し、やばい仕事を依頼され、おまけにバスの間引きを疑う顧客の老人・岡が仲間とバスジャック!はたして多田と行天は無事に事件を乗り切ることができるのか…。


三浦しをんが描く、駅前人情シリーズ


昭和30年代、森繁久弥らが登場する「駅前シリーズ」という人情喜劇の映画がありました。
最初に「まほろ駅前多田便便利軒」のタイトルを見たときに、お人好しのおっさんが、周囲の困っている人を助ける、駅前人情シリーズのような話かとおもっていました。読んでみると、だいぶ違いましたが。

人情というよりハードボイルド、過去を背負った男たちの話でした。しかし、シリーズを読み進めていくいちに、なんだ、やっぱり人情ものなんじゃないか、と。

多田は過去に子どもを亡くし、行天は宗教がらみの母親から虐待を受けた過去を持ち、それぞれが過去を背負いながらも、仕事で出会った人々や、事件を通じて、過去を受け入れながら、もう一度前を向こうと思い始めます。

つらい過去を背負っているからこそ、夫を亡くした亜希子や、親に犠牲を強いられる子どもたちに彼らはぶっきらぼうながら、彼らの傷ついた心に沿おうとします。実は相手のことを思うことが、彼らの過去を癒していくことになるのですが。

行天が宗教にはまった母親に振り回される子どもに「大事なのは正気でいること、常に自分の正気を疑うこと」と話すシーンは、きっと、行天は子どもの頃、自分で自分を守るしかなかったんだな、だから同じ立場の子どもに、この言葉をかけることができたんだろうな…

大団円…かな?


行天は、自分の子どもであるはると出会い、一緒に暮らしたことでなにか吹っ切れたようで、多田もまた、亜希子と交際をはじめて、多田便利軒のまわりは新しい風がふいてきたようです。しかし、事件が解決すると行天は行方不明に…。いったいどこへ行ってしまったのか?と思ったら、思いもかけない大団円が待っていました。

これで、まほろ駅前多田便利軒は一応の完結したようですが、物語は新生多田便利軒の再スタートで終わっているし、まだ行天の母親の行方も知れないので、また新たな形で多田便利軒シリーズ、続いていって欲しいです。

まほろ駅前狂騒曲
まほろ駅前狂騒曲
posted with amazlet at 14.05.07
三浦 しをん 文藝春秋 売り上げランキング: 48,214



三浦しをん作品感想


「むかしのはなし」→
「まほろ駅前番外地」→
「まほろ駅前多田便利軒」→
「月魚」→
「舟を編む」→
「風が強く吹いている」→
「きみはポラリス」→
「木暮荘物語」→
「星間商事株式会社社史編纂室」→
「三四郎はそれから門を出た」→

JUGEMテーマ:オススメの本


レビューポータル「MONO-PORTAL」

2014.04.13 Sunday

「村上海賊の娘 下巻」 和田 竜

村上海賊の娘 下巻」読了。つくづく、歴史をあまり知らないでよかった。そのおかげで、どちらが勝ち、誰が死ぬかなんて知らずに楽しめたから。無知もたまには役に立つものです。

信長と敵対し、劣勢の大坂本願寺に兵糧を送るため出発した村上海賊と毛利家臣団。しかし、小早川隆景の意向により、船団は淡路島から引き返す手はずとなっていた。村上海賊の娘・景は、本願寺の門徒を救うため、敵味方へ必死の説得を行うものの、景の正義は男たちには通じず、海戦は回避されるかに見えたが…。

村上海賊の娘 下巻
村上海賊の娘 下巻
posted with amazlet at 14.04.12
和田 竜 新潮社 売り上げランキング: 5



ヒロインの成長


違法の船を成敗する海賊働き、その単純な正義こそが景のすべてでした。しかし、男たちが戦う戦場では景の信じた正義は通じず、皆が家の存続のため、時に裏切りや謀略を行う戦場での現実を見せつけられます。心を寄せられた泉州の海賊・七五三兵衛にまで「面白ろない奴」と蔑まれ、傷心のまま景は瀬戸内に逃げ帰ります。

しかし、逡巡の末、景は男たちとは異なる、自分の正義を貫き通す決意を固めます。
その決意がやがて周囲を巻き込んで行くのですが…。
強いけれども勝手気ままで子どものような景が、自分の思いを貫き通すため、不利な戦いに挑んでいく姿に彼女の成長を感じました。


ここにも阿呆がいやがった


のぼうの城」でも、圧倒的不利な状況下でも戦いに挑んだ、一見すると阿呆ともいえる、のぼうさまと家臣たちの活躍が描かれましたが、「村上海賊の娘」にもおりました。そういう、愛すべき阿呆たちがwww

登場人物たちの中でも七五三兵衛率いる泉州の海賊衆は気持ちのよい、魅力的な連中でした。後半部分の主役は、七五三兵衛といっても過言ではないくらい。いい男なんだよなあ…。もしも景と七五三兵衛が結婚してたら、その後の歴史が大きく歴史が変わってたかもしれないのに、とおもわずにはいられません。

俳味という一種のユーモアを好む泉州侍たちは、戦場でもそうした余裕を忘れず、長年憧れた海賊衆には戦いの最中にも気軽に声をかけたり、景に対しても「姫さん、戦場でなあ」と飄々とした物言いを忘れません。
かといって戦に手を抜くどころか、景に対しても最大限の戦術で叩き潰そうとします。それこそが泉州侍たちの最大の敬意なのでしょうね。

命のやりとり


クライマックス、七五三兵衛と景の一騎打ちのシーンは、恐ろしいほどの激闘なんですが、どこかこう、「情」みたいなものが感じられる気がします。

現代の私達から見たら、思いをかけられた男との真剣勝負は、つらい気もするのですが、けれども、それは、心が通じているからこそ、真剣に命のやりとりができるのかもしれません。
そういう意味では、命のやりとりは、ある種、愛のやりとりでもあるのでは…と考えてしまうのは、ちょっとロマンチックすぎるでしょうか…?


海賊VS海賊


後半、ほぼ半分のページ数を締める木津川海戦の描写は圧巻、の一言につきます。彼らは当初、自分の家を守るために戦いを渋りますが、そこは戦国時代の海賊、戦いに身を投じるうちに、家名や従う大名の名分よりも、自分たちの矜持のために戦っていきます。戦いの渦中でも俳味(ユーモア)を失わない眞鍋海賊、家ではなく海賊としての戦いを存分に楽しむ、因島、来島村上当主たち。

首が飛び、甲板が血ですべる、凄惨な海戦、ヘタレな景の弟・景親の変化…
そしてそこには意外な人物も戦いに加わっていて…(←ここ大事!)

敵の船を奪い、奪われ、優勢と劣勢がくるくると入れ替わる海戦シーンは、読んでいる方も息を呑みつつ戦況を見守りながら、ページをめくります。

見どころが多すぎて、ページを早くめくりたいし、次を知りたいのに、一方で戦いを俯瞰したい、前に戻って確かめたいって気持ちが相反して、なかなか読み進むことができませんでした。

村上海賊の娘 上巻
村上海賊の娘 上巻
posted with amazlet at 14.04.12
和田 竜 新潮社 売り上げランキング: 3


和田竜作品感想


小太郎の左腕
のぼうの城
戦国時代余談のよだん
村上海賊の娘 上巻

JUGEMテーマ:本屋大賞


レビューポータル「MONO-PORTAL」

2014.04.10 Thursday

「村上海賊の娘 上巻」 和田 竜

2014年本屋大賞受賞作となった「村上海賊の娘 上巻」を読みました。確かに全国の本屋さんが売りたくなるのがわかる、納得の面白さです。もともと、大賞を取る前、書店に並び始めた時から「これは読まねば!」と直感的に思った作品です。そして、読んでみて、大当たりでした。

信長と本願寺、7年にわたる闘争の中、劣勢の一向宗、本願寺を救うため、本願寺に加勢した雑賀孫市は、毛利家と能島村上当主にして海賊王、村上武吉を引き込むという、大胆な作戦を提案する。

その、能島村上の姫・景は自ら海賊ばたらきを行うほど、腕の立つ姫。景は助けた一向宗門徒の百姓を送り届けるため、渦中の泉州へ一人向かうことになり、戦の渦中に身を投じることに…。

村上海賊の娘 上巻
村上海賊の娘 上巻
posted with amazlet at 14.04.09
和田 竜 新潮社 売り上げランキング: 1


設定の面白さ、キャラクターの面白さ


雑賀(鈴木)孫市


まず冒頭から驚かされます。戦国時代の鉄砲専門集団、雑賀衆の頭目・鈴木(雑賀)孫市が登場します。猛禽類のような、鋭い目を持つ孫市の登場に、これから何が起こるのか、読んでいる方は、これからの展開に自ずと期待がふくらんでいくのです。

上巻後半、一糸乱れぬ雑賀衆を指揮し、自らもまたスナイパーとして敵の大将を撃ち抜き、信長をも狙う、孫市の手腕と狙撃シーンには、読んでいて息が詰まるほどです。

村上景


孫市登場の後、主人公・景が登場するのですが、その登場シーンのかっこよさと言ったら!
揺れる関船の上に立ちはだかる姿、違法の船に乗り移ってからのスピード感あふれる戦闘シーンは圧巻でした。
なんだか、ジブリアニメの戦闘シーンを彷彿とさせるくらい、人間離れした早さと剣技がすばらしいんです。

景姫は「悍婦で醜女」と評されていますが、その「醜女」というのは、戦国時代の感覚なので、描写を読むぶんには、今だったら、モデルさん並の美貌とスタイルをあわせもっている人だと思います。そんな景なので、異国の価値観を理解する泉州の侍たちにはモテモテだという意外な一面も。

ただ、景の性格はひとことでいうなら「やんちゃな子ども」そのまま。自らの欲望に忠実で、禁止されて率いる海賊働きを率先してやっちゃうし、「泉州だったらモテますよ」と、門徒の爺の口車にのって、戦の渦中にとびだしてゆくし。かっこいいけれど、読者を引きつけるには今ひとつ、成長が必要かな…と、思っていたら、後半面白いことになってくるのですよ。この景の行動が大きな歴史のうねりとなっていき、下巻の展開につながっていきます。

七五三兵衛たち泉州侍


景が旅の途中で出会う泉州侍たち、泉州海賊の頭目、七五三兵衛やその父親の道夢斎、泉州海賊たちのキャラクターがまたいいんです。国際都市・堺に近く、当時としては破天荒で型破り、そして独特の美意識をもっているため、彼らにとっては醜女の景がものすごい美女として認識され、景を歓待します。

その宴のシーンや、七三兵衛たちが景に夜這いに行くシーンなどは、おおらかでコミカルで、読んでいて本当に楽しかった。


歴史の中で、大ボラを吹く


作者の和田竜さんも作中書いていますが、村上海賊の王、村上武吉に娘がいたことは、ただひとつの歴史書に記されているだけなのだとか。おそらくはそんなに多くはない記述から、ここまで景のキャラクターをつくりあげ、有名な合戦の中に織り込ませる設定と物語の面白さは、さすがとしか言いようがありません。
登場人物たちが活き活きとしていて、どこまでが歴史で、どこからがフィクションなのかが判断できないほどなんです。

特に面白いな、と思ったのが、景と同じく瀬戸内の「戦う姫」として語られる、鶴姫の描き方。伝説上の人物とされる鶴姫と景への影響を、うまーく収めてみせた。これなら頭の固い歴史マニアも、ぐうのねもでまい。和田さんさすが。

和田竜作品感想


小太郎の左腕
のぼうの城
戦国時代余談のよだん
村上海賊の娘 下巻


JUGEMテーマ:本屋大賞

JUGEMテーマ:オススメの本


レビューポータル「MONO-PORTAL」

2013.10.20 Sunday

「北里大学獣医学部 犬部!」 片野 ゆか

前から気になっていた「北里大学獣医学部 犬部! (ポプラ文庫)」を読みました。物語だとおもっていましたが、実在する動物愛護サークルを取材したノンフィクション。けれど、下手な小説よりも感動させられます。

北里大学獣医学部にある「犬部」は、捨てられたり、保護した犬や猫の世話をし、新たな飼い主を探す活動をするサークル。とはいえ、その行動は、サークルなどどいう生易しいものではなく、部屋は保護した動物たちで溢れかえり、治療費や薬代で部費もかさむ。

それでも「犬バカ」(猫、うさぎも含む)を自称する彼らは、自分の生活よりも、犬達の幸せを優先させていく犬部の活動にのめり込んでいきます。でてくるエピソードひとつひとつが泣けます。

育児放棄された子犬たちを育てるため、犬部唯一の犬部員であり、動物たちのリーダーである「ハナコ」に世話を頼んだところ、ハナコから通常は出るはずのないお乳がでて、赤の他犬を育て上げたエピソードは本当にすごい。

また、初期の犬部メンバーも個性的。犬達のために生活のすべてを捧げるといってもいいくらいで、忙しい時に限って困っている犬に出会ってしまう「特技」をもつ部員や、街金の仕事がいやになり、獣医を志したうさぎ好きの部員など。みんな動物たちが幸せになるためなら、自分の生活を犠牲にするのが当たり前の「バカ」がつく動物好きたち。

けれど、犬部の活動は楽しいばかりじゃありません。無責任な飼い主によって傷ついた動物を目の当たりにしたり、誤解や偏見をうけることも。犬部が大きくなるにつれ、初期のメンバーの強引な運営と現状があわなくなったり、一度は休部に追い込まる状態に陥ります。

だけど、犬部のメンバーたちはあきらめず、危機的な状況にも一生懸命立ち向かって、犬部を守ろうとします。

こんな犬部の学生たちのためにも、動物を飼うなら一生を背負う覚悟をしなければならないし、そうでなければ動物を飼ってはいけないのだと思います。

([か]8−1)北里大学獣医学部 犬部! (ポプラ文庫)
片野 ゆか ポプラ社 (2012-04-05)売り上げランキング: 236,829



ツヅキくんと犬部のこと(上)
衿沢世衣子(漫画) 片野ゆか(原作) 秋田書店

ツヅキくんと犬部のこと(下)
衿沢世衣子(漫画) 片野ゆか(原作) 秋田書店


動物愛護に関連したお芝居
しっぽのなかまたち 感想→

JUGEMテーマ:オススメの本


2013.10.02 Wednesday

「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」 水野 敬也

型破りな神様・ガネーシャが、一見むちゃくちゃな方法で成功の秘訣を教える「夢をかなえるゾウ」。
その第二弾「夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神」を読みました。


【物語】
売れないピン芸人、西野勤太郎はある日、変なおっさんから「ワシとコンビ組まへん?」と誘われる。実はこのおっさんはガネーシャといわれる神様で、神様界のお笑い王を決めるため、人間とコンビを組んでお笑いトーナメントであるゴッド・オブ・コントで優勝を目指すという。

ガネーシャが現れたことで、金無幸子さんという勤太郎についていた貧乏神までもが姿をみせ、釈迦や死神などもゴッド・オブ・コントに参加することになり…。


今回のテーマは「お金」。けれど、こうしたら儲かる!といったお金儲けのノウハウではなく、心のありようを教えてくれます。貧乏神の幸子さんは「お金持ちになるには、まず心が変わること」そこから行動が変わり、お金がついてくるんだと。

私達はつい、目先のテクニックや成功理論ばかりを追い求めてしまいますが、本当に大切なのは、幸福も不幸も、自分がどう受け止めるか、それが一番大事なことなのかもしれません。

○ガネーシャの教え


・人の意見を聞いて、直す。自分に才能がないのならば、人に聞いて何度も何度も直す。
・たくさんの人を喜ばすことだけを『成功』ととらえがちだが、たった一人の人間をたくさん喜ばすんも『成功』のひとつ

○貧乏神・金無幸子さんの教え


・楽しみをあとにとっておく訓練をする
・つらい状況でも、楽しもうとする心があれば、「喜びを作りだす」ことができる。

○仏陀の教え


・辛い時、自分と同じ境遇にいる人を想像する(自分だけが苦しいのではない)

夢をかなえるゾウ2 ガネーシャと貧乏神
水野敬也 飛鳥新社 (2012-12-12)売り上げランキング: 806


夢をかなえるゾウ 文庫版
水野敬也 飛鳥新社 売り上げランキング: 422


夢をかなえるゾウ
古田新太さんがガネーシャ役で面白かった スペシャルドラマ「夢をかなえるゾウ」

JUGEMテーマ:オススメの本


2013.09.23 Monday

今度は大学の自転車ロードレース『キアズマ』 近藤史恵

自転車ロードレースの世界を描いた名作「サクリファイス」シリーズ。近藤史恵さんの描く自転車ロードレースの世界は、競技そのものを知らなくても楽しめます。

サクリファイス」ではプロの自転車ロードレースの世界観をミステリとして描き、「エデン」では自転車レースの巧妙な駆け引きの様子が描かれましたが、今回の「キアズマ」は、自転車ロードレースと、若者たちのスポーツへの情熱と挫折がモチーフとなっています。


『キアズマ』あらすじ


大学に入学したばかりの正樹は自転車部とのちょっとしたいさかいから、自転車部の部長の村上に怪我をさせてしまい、謝罪する正樹に対し、村上は「自転車部に入部してくれ」と意外なことを提案される。

とっつきにくく、苦手なタイプのエース櫻井とともにレースに参加していくうちに、自転車の魅力にとりつかれていき、徐々に櫻井を追い抜いていく…。


主人公である正樹が自転車ロードレース初心者のため、サクリファイスシリーズよりも自転車の仕組みやレースについて解説が入るので、よりわかりやすくなっていました。

とりわけ、正樹が初めて自転車で走った時の風や、スピード感の描写が素晴らしいです。
どんどんとロードレースの世界にのめり込んで才能を伸ばす正樹と、持病や重度のプレッシャーを抱えながらそれでも走り続ける櫻井。ふたりとも、スポーツで大事な人間が傷つき、自らの心も傷ついていて、負けそうになるのだけれど、それでも走ることをやめられない。

今後の2人が、どう成長していくんだろう。本を読み終わった後、もう続きが読みたくなりました。


ところで、「サクリファイス」シリーズのメンバー、どこかでリンクしていないかな?と思ったら、赤城さんがちょこっと登場してました。「キアズマ」での大学自転車部のレースはまだ始まったばかりなので、また続編を書いてほしいです。そして、チカや伊庭と対決するシーンなんてのも見てみたい♪


キアズマ
キアズマ
posted with amazlet at 13.09.12
近藤 史恵 新潮社 売り上げランキング: 10,025


サクリファイス (新潮文庫)
近藤 史恵 新潮社 売り上げランキング: 15,300


サクリファイスシリーズ


サクリファイス→
エデン→
サヴァイブ→
スティグマータ→

JUGEMテーマ:オススメの本

レビューポータル「MONO-PORTAL」

2013.08.28 Wednesday

本当は怖い、銀行の話 「波のうえの魔術師」 石田 衣良

銀行内の紛争を描いた話題のドラマ「半沢直樹」を今更ながら見始めたのですが、ほんと、銀行ってところは恐ろしいですね…。「半沢直樹」を見ると、絶対に銀行からは金借りちゃなんねえ、って思います。

銀行を表す言葉として「晴れた日に傘を貸し、雨の日にその傘を取り上げる」っていうのがあります。会社が景気のいい時はどんどん融資をし、ちょっと業績が悪くなると融資を打ち切り、担保となった土地や社屋までも取り上げるという「ミナミの帝王」以上のおっそろしいところなんです。実は銀行って。

そんな悪徳な大手銀行に、株取引(ディール)で戦いを挑むディーラーたちを描いたのが、石田衣良さんの「波のうえの魔術師」です。経済小説ではありますが、主人公が素人に設定されているので、経済用語もわかりやす、く解説がはいるので読みやすいですし、物語の展開が面白くて経済小説というより、娯楽小説として楽しめます。

大学卒業後、フリーターとなっていた主人公の白戸則道は、パチンコ店で不思議な小塚老人に声を賭けられ、スタッフとして雇われることになる。実はその老人は「相場の魔術師」と言われる伝説のディーラーで、白戸は老人から相場と株取引についての知識を教えられ、来たるべき「事業」への計画に参加する。

小塚老人の計画とは、大手銀行「まつば銀行」へ、ディールで復讐することだった…。

「波のうえの魔術師」の中でも、銀行の暗黒面がいろいろと描かれています。業績不振の銀行員に、どんぶり一杯の味の素を食べさせるイジメがでてきますし、小塚老人の復讐は、銀行の老人向け変額保険で、友人を自殺に追い込み、家屋敷を奪い取られたこと(おまけにひそかに愛していた友人の妻がアルツハイマーに)が原因となっています。

バブル時に銀行が行なった変額保険は、実際に社会問題にもなった事件だそうで、バブルが弾けて保険料を支払えなくなり、家や土地を手放さなければならなかった老人がたくさんいたそうです。

タイトルの「波のうえの魔術師」は、株取引の値動きのグラフが、まるで「波のよう」にみえるところから。作者の石田衣良さんは実際に大学卒業後、株取引で生計を立てていた時期があったそうです。

波のうえの魔術師 (文春文庫)
石田 衣良 文藝春秋 売り上げランキング: 25,331


すべての銀行がそうってわけじゃないでしょうが、こういう本を詠んだり、ドラマを見ると、銀行はお金を預けるところで、絶対にお金を借りちゃあいけないところだな、って思います…。

石田衣良作品感想
下北サンデーズ

JUGEMテーマ:書評

2013.06.30 Sunday

待望の十二国記新刊 「丕緒の鳥」 小野 不由美

待望の、本当に待望の十二国記シリーズの新刊「丕緒の鳥」が発売になりました。すでに発表された「丕緒の鳥」「落照の獄」の二編のほか、書下ろしの短編が2編収録されています。

「丕緒の鳥」を読み終わって感じたこと


・ホワイトハート版の痛快さを期待して読むと、えらい目に会う
・ファンタジーを超えた人間の物語
・泣きました゜・(*ノД`*)・゜・・

今までは十二国の王とその周辺の話だったのに対して、新潮文庫版の十二国記は、それぞれの時代、国で市井に生きる人々の話が中心です。

そこには「風の万里 黎明の空」のような痛快さや、「風の海 迷宮の岸」のような可愛らしさはなく、圧倒的な絶望の中から、ほんの僅かな希望を見出していく人々の姿が描かれます。


丕緒の鳥


yom yomでの感想はこちら→

改めて読みなおすと、ほんとうに美しい作品です。悲劇的ではあるのですが、きちんと救いがあって、大好きな物語です。大射のシーンは本当に美しくて、色彩が目の前に広がり、音が聞こえるような感じがします。


落照の獄


yom yomでの感想はこちら→
罪と罰。法と被害者の感情。現代でも通用する難しいテーマです。
この話が一番希望がない。けれどそこから、どう持ち直して行くかが、この国を荒廃から救う道になるのですが…。どうか、この国にも小さな希望が芽生えますように…。

青条の蘭


とある国。王がおらず荒廃が進む中で、山毛欅(ぶな)が次々に枯れていく現象が起こる。山を支える山毛欅の変異は、土砂災害をおこし、大災害につながると気づいた包荒と漂仲は、猟木師の興慶の助けを借り、山毛欅の病を抑える薬を探し始める。

やがて特効薬となる薬の花を得るものの、その蘭は増やすのが難しく、王の路木に願ってもらうしか方法がなかった。しかし財を投げ打ってまで願った漂仲たちの必死の思いは、欲に目が眩んだ役人の妨害により叶わなかった。最後の手段は直接王宮へ蘭を届けて願い出ること。雪の中、必死に王宮へ歩を進める漂仲は無理がたたって倒れてしまう。

漂仲が倒れた後、名も無き街の人々が「国を救えるなら」と、すこしずつリレーをして蘭を王宮まで届けていきます。圧倒的な絶望の中に生まれた小さな希望がつながっていく場面は、読んでいて涙が止まりませんでした。

最後まで読むと、どんな国の、いつの話かわかる仕組みになっています。

風信


慶国・予王の景麒への歪んだ愛に単を発した「国から女を追放する」命により、蓮華は家族や友人、育った街までも亡くしてしまう。国外退去のための旅の途中で王の死を知り、故郷に帰らず郡春官の屋敷に働くことにした蓮花。

保章氏の喜慶は暦を作る役職で、喜慶とその部下たちは天候や生き物の状態を調べている一風変わった人たち。蓮花もその手伝いをするうち、少しずつ暮らしに慣れていくけれど、そこにまた戦乱が…。

家族を失い、傷ついた少女が、保護者を得て生き物や自然によって傷が癒されていくのは「獣の奏者I」を思い起こさせます。

このとんでもない命令を、真面目に実行しているとは正直思いませんでした。けれどそのせいで不幸になった人が大勢いる。王が狂ってしまうと、民がどれほどつらい目に会うかを改めて感じました。陽子や延王にはそんな風になってほしくないなあ…。

丕緒の鳥 十二国記 (新潮文庫)
小野 不由美 新潮社 (2013-06-26)売り上げランキング: 2


JUGEMテーマ:ファンタジー小説

2013.06.01 Saturday

『神去なあなあ夜話』 三浦 しをん

三重県の山林で働く人々と、山での暮らしを描いた「神去なあなあ日常」の続編「神去なあなあ夜話」を読みました。
今回は山の仕事以外の神去村の習慣や信仰、生活の様子などが語られています。

私が好きだったのは「神去村の起源」というお話。神去村はどうして「神が去る」というのか?その謎が今回明かされます。神去村には前回のお祭りで、結構力の強いオオヤマヅミという山の神様がいるのがわかっていますが、神去村の由来に関わるもう1柱、蛇の姿をした神様がいて、その神様と人との悲しい昔話があり、それをシゲばあちゃんが語ってくれます。

各地に残る蛇神と人との異類婚姻譚は、たいてい女性側が神を愛せず破綻することが多いのですが、神去村の昔話では困難を乗り越えた夫婦は幸せにくらします。奥さんに死なれた蛇神さんが嘆き悲しむところとか、普通の昔話よりもリアルに書かれています。

神去村のクリスマス」では、小学校にあがったおやかたさんの息子、山太がクリスマスに興味を持ち始めたことがきっかけで、おやかたさんのうちで盛大なクリスマスパーティーがひらかれることに。

しかしそこは「なあなあ」な神去村の面々のこと。クリスマスツリーは松の木に、プレゼントは木のおもちゃに、パーティーは宴会になってしまうのですが、みんなで集まって飲み食いしているところがほんと、楽しそうなんだよなあ(*´∀`)

神去なあなあ日常」でおやかたさんの義理の妹・直紀さんに一目惚れをした勇気でしたが、その後さしたる進展もなく、読者たちをやきもきさせていましたが、今回、ようやっと前進が!勇気がんばったね〜。神去村シリーズ、これからも続いて欲しいです、勇気と直紀さんの恋のその後も気になるし。


神去なあなあ夜話
神去なあなあ夜話
posted with amazlet at 13.05.28
三浦 しをん 徳間書店 売り上げランキング: 7,100


前作、「神去なあなあ日常」では山仕事と山のお祭りについて描かれます。勇気もこの頃はまだちゃらさが残ってますね(・∀・)

神去なあなあ日常
神去なあなあ日常
posted with amazlet at 13.05.28
三浦 しをん 徳間書店 売り上げランキング: 21,725


三浦しをん作品感想


『神去なあなあ日常』→
『むかしのはなし』→
『まほろ駅前狂騒曲』→
『まほろ駅前番外地』→
『まほろ駅前多田便利軒』→
『月魚』→『舟を編む』→
『風が強く吹いている』→
『きみはポラリス』→
『木暮荘物語』→
『星間商事株式会社社史編纂室』→
『三四郎はそれから門を出た』→

JUGEMテーマ:本の紹介

レビューポータル「MONO-PORTAL」


Calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< September 2017 >>

オススメ

おすすめ記事

Powered by 複眼RSS

おすすめ

ポイントでお小遣い稼ぎ|ポイントタウン

お買い得

モッピー

☆ ★ ☆ お小遣いサイト モッピー ☆ ★ ☆ 

累計500万人が利用しているポイントサイト!

★タダでお小遣いが貯められるコンテンツが充実★
貯めたポイントはAmazonギフトやiTunesギフト、
Webmoney、現金等に交換できちゃう♪

なんと、モッピーを通じて
\月間50万円以上/ 獲得している方も♪


▼ 簡単1分 無料会員登録はこちらから ▼
モッピー!お金がたまるポイントサイト


登録が完了したら、メールが届くよ!
メール内記載のURLにアクセスしてみよう♪

あなたにオススメの広告が表示されるよ!
表示されただけでなんと、10ポイントGET♪

他にもアプリダウンロードや無料会員登録をするだけで
どんどんポイントが貯まっちゃいます!!

さらにあなたのタイプに合わせてお小遣いを貯めよう♪

▼▼▼ 遊びながらで貯めたい方必見 ▼▼▼

\完全無料/毎日見るだけ♪遊ぶだけ♪
PCでもスマートフォンでも参加OK!
タダでお小遣いが貯められるコンテンツが充実!

▼▼▼ ショッピングで貯めたい方必見 ▼▼▼

\ショッピングページがリニューアルOPEN/

ネットショッピングするだけでポイント貯まる♪
最大50%OFF!人気のショップも充実!
今だけ限定キャンペーンも実施中★

▼▼▼ ゲーム課金で貯めたい方必見 ▼▼▼

モッピー経由でアプリを起動して
普段通り課金するだけで課金額の5%を還元!
お気に入りのゲームで楽しみながらポイントを貯めよう!

▼ 簡単1分 無料会員登録はこちらから ▼
モッピー!お金がたまるポイントサイト


★★ 貯めたポイントを交換しよう ★★

モッピーは1P=1円であらゆる交換先に対応!

貯めたポイントは
現金や電子マネー、ギフト券に交換できちゃうよ♪

【現金】
全ての金融機関を取り扱っています!

【電子マネー】
nanacoポイント、楽天Edy、WebMoney、WAONポイント

【ギフト券】
iTunesギフトコード、Amazonギフト券、Vプリカなどなど


▼ さあ!今すぐお小遣い貯めちゃおう ▼
モッピー!お金がたまるポイントサイト

Archive

Recommend

Recommend

Selected Entry

Comment

  • [ハッカ油活用法]ベビーパウダー+ハッカ油
    日月
  • [ハッカ油活用法]ベビーパウダー+ハッカ油
    牛くんの母
  • 活版印刷がつなぐ物語『活版印刷三日月堂 海からの手紙 』
    日月
  • 『アンマーとぼくら』有川浩
    日月
  • 活版印刷がつなぐ物語『活版印刷三日月堂 海からの手紙 』
    苗坊
  • 『アンマーとぼくら』有川浩
    苗坊
  • [映画]この世界の片隅に
    latifa
  • [映画]海街Diary
    shiro
  • 好奇心は時に諸刃の剣という話。
    日月
  • 好奇心は時に諸刃の剣という話。
    あひる

Link

Profile

Search

Other

Powered

無料ブログ作成サービス JUGEM