2012.04.17 Tuesday

十二国記のベース、古代中国の参考書「孟嘗君と戦国時代」 宮城谷昌光

十二国記も近々復活するということなので、小説の世界観のベースとなった春秋・戦国時代の歴史・風俗を復習。
宮城谷昌光先生の「孟嘗君と戦国時代 (中公新書)」を読みました。

戦国時代といっても日本のではなく、古代中国の戦国時代。東の大国・斉の名相・孟嘗君が活躍した戦国時代を、当時の歴史的背景やエピソードを含みつつ解説されています。古代中国の人物は、同じ人物でも、いくつかのあだ名や別名があり、時に本名さえわからない場合があるので、読み進めるのにいつも苦労するのですが、宮城谷先生の、噛み砕くようにやさしく、わかりやすい解説は、春秋戦国時代を学ぶのに最適の参考書です。

戦国時代力とは、力が弱まった盟主国(周)を中心に、諸国が覇権を争っていた時代です。その群雄割拠な様子は、日本の戦国時代にも共通します。

本の中には歴史や逸話のほか、孔子、墨子、孫子など、諸子百家などの思想家についても触れられています。どうも、こういった学者たちを国に招いて養うのが王や宰相のステイタスだったようですね。

さた、主役の孟嘗君という人は斉の宰相の息子で、幼い頃から聡明さを讃えられていましたが、母親の身分が低かったため、庶民の生活の実態に通じていたそうです。彼の食客(貴族が養う、才能のある人物たち)の内には、ならず者や盗賊もいたけれど、あるとき孟嘗君が秦から逃げる際に、関所・函谷関を越えるとき食客のひとりが鶏の鳴きマネをして朝を偽り、無事函谷関を通ることができた…。との逸話があります。

それが時代を経て平安時代の日本・清少納言の和歌にもつながっているのだから、歴史って面白いな。
夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ


中国戦国時代の特徴まとめ
・英雄よりも名君が多い
・国の権力争いが高じて、公子(王子)や宰相が他国に亡命、そのまま他国で宰相になったり、自国と他国、両方の官吏なったりもする。


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「史記の風景」
「華栄の丘」
「沈黙の王」
「玉人」
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2011.12.01 Thursday

韓流歴史ドラマの参考書 「知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物」

人気の韓流歴史ドラマの参考書としても役立つ「知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物」は、「宮廷女官チャングムの誓い」や、「イ・サン」など、多くの韓流歴史ドラマの舞台となった朝鮮王朝時代の歴史・人物・風俗についてわかりやすく解説されています。
朝鮮王朝では、王の言動が記録された公文書があり、ドラマはそこから大きく逸脱しない範囲で、大胆に脚色を行なっているそうです。日本の大河ドラマも歴史と違う演出があるので、そこは面白ければいいのでしょう。(実際に面白いしね。)

日本の大河ドラマとの違いにも触れられていました。日本は戦国時代や幕末を舞台に、主人公が出世していく様子を描きますが、韓流歴史ドラマでは、朝鮮王朝時代の宮廷で起こる権力闘争をメインに、主人公の成長が描かれていくのだそうです。確かに、韓流歴史ドラマでは宮廷のシーンが数多くでてきますね。

その他、女性たちを飾る大きな髪型はカチェといわれるかつらで、重さが数キロもあったり、華美になりすぎて禁止令がでたとか、リゾートとして名高い済州島は一番重い流刑地だったとか、興味深い朝鮮王朝の歴史を知ることができました。

面白かったのは、韓国では老舗店というのが存在しないという事実です。(今はあるのかな?)儒教社会で高学歴が日本以上に優遇されるため、代々続く「老舗」は「子供の教育に金をかけない貧しい店」と思われるのだそうですよ。確かに韓国の受験、大変そうだもんなあ(^^;)


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2011.11.16 Wednesday

ふたりの花魁の半生「吉原十二月」 松井 今朝子

ふたりの花魁の半生を描いた「吉原十二月
胡蝶と小夜衣、ふたりの異なる性格の花魁が妍を競い、蕾の禿(かむろ)時代から、華やかに大輪の花を咲かせるまでを、吉原の十二月の行事にからめて描いています。

いや、楽しかった。吉原の風景と花魁たちのの絢爛豪華な姿、そして最後は廓中を巻き込んだ大事件と華麗な結末。まるで歌舞伎や芝居をみているような臨場感がありました。

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読み進めていくうち思ったのは「小夜衣は女からみるとイラッとするタイプ」ということです。
男から見ると、ミステリアスでおっとりしてて、何考えてるかわからないお嬢様タイプ。

実際彼女は、幼い頃から思う相手がいるにもかかわらず、仕事以外で子供をはらんでみせたり(玄人の花魁にとって、妊娠は計画的な意図がないとほぼ不可能)、時に周りをあっと言わせる行動にでます。

一方の胡蝶は、花魁には珍しく気持ちが手に取るようにわかる、裏表のないタイプ。
ちょっと子どもっぽいところが玉にキズですが、気に入らない客は振る、花魁の信条である意地と張りを持っています。

特に負けん気の強い胡蝶は、ことさら小夜衣と張り合うんだけれど、小夜衣の方はのらりくらりと嫉妬をかわし、時に天然だかわざとだか、わからないようなやりかたで胡蝶を炊きつけたりするし。

やっぱり女側からみると、どうしても胡蝶を応援してしまうのですよ。

けれどそんなライバル同士のふたりが、ただいがみ合っていたのかといえば、実はそうでもなく、一方が窮地におちいると、救いの手を差し伸べたり、心配しあったりする。共に苦界に育った女同士は、なんとも不思議な、強い絆で結ばれているようで、最後には男たちをあっといわせる事件を起こしてしまいます。いや、解決したのかな。

最後の引き際も2人らしくてかっこよかった。

吉原の花魁たちは、ただただ咲いているだけじゃない。そのプライドと才能をいかし、苦界を自らの足で歩んでいくのです。

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「円朝の女」→
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2011.10.28 Friday

「円朝の女」 松井 今朝子

幕末から明治に活躍した落語家・三遊亭円朝と彼にまつわる女たちを描いた「円朝の女
物語は、元弟子でその後五厘(寄席と芸人の交渉をする者)となり、長らく円朝のそばにいた男の口から、円朝が情を通じた女たちを語る形式で綴られていきます。

その語り口調が、やたら真実味をおびた感じで、まるで実際に円朝とその女たちのの色恋を伝え聞いているような心持ちになります。

円朝の女
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三遊亭円朝という人は落語家の中でも筆頭と言われる人で、彼の手による創作落語は、歌舞伎の演目にも取り入れられています。有名な所では「牡丹灯籠」や「人情噺文七元結」(これは近年勘三郎が上演)、「芝浜の財布」も円朝作だという説も。

円朝は当時の芸人には珍しく、品性に優れ、自分を律することの出来る人でしたが、やはり男と女の色恋の道は別らしく、数々の女性と浮名を流します。しかし、時に色恋の道は円朝の人生に時に影を落とすことにもなり…。

・幕末、贔屓の武家の娘との許されない純愛(「惜身の女」)
・お職の花魁や芸者衆との恋のさや当て(「玄人の女」)
・円朝と子までなした仲にも関わらず、その性格ゆえ遠ざけられ、落ちてゆく武家の娘(「すれちがう女」)
・円朝を支え、活躍の場を与えた元名妓の妻(「時をつくる女」)
・円朝の晩年を支えた「孝行娘」(「円朝の娘」)

一番好きなのは「玄人の女」です。円朝と女たちの恋の鞘当てが艶っぽくて粋な感じ。
しかし、読み進めていくうちにどんどん円朝の存在が薄くなっていく。最後の「円朝の娘」にいたっては円朝はほとんど出てこない。それは、彼の淋しい晩年のを暗示するかのようでした。

でも、最後に円朝の姿が薄くなるのはいいのだけれど、いままで色恋の艶や悲哀が描かれていたのに、いきなり戦争の悲惨さを話に練り込むのはどうなんだろうな〜。円朝が様々な女性と関わって、最後にどう亡くなったか、そのあたりをもっと描写してほしかった。

円朝の妻・お幸さんは、元は悲劇の名優・三代目沢村田之助の妻だったそう。どうやら彼女には「あげまん」の才があったようです。それにしても2度までも名人と呼ばれる人の女房になるのはすごい。




松井今朝子作品感想
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2011.10.13 Thursday

「星と輝き花と咲き」  松井 今朝子

明治時代のアイドル、女義太夫・竹本綾之助の半生を描いた「星と輝き花と咲き

「子供の頃から容姿と才能に恵まれ、衝撃的なデビューを果たし、その人気の高さから若い男子学生の追っかけがつくようになる。しかし、人気絶頂で妊娠発覚、結婚を気に引退するものの、10年後に復活。」

こう書くと、なんだか現代のアイドルのようですが、実はこれ、明治時代の女性芸人・竹本綾之助の半生です。
浄瑠璃を語る女義太夫は当時人気の芸能人でした。中でも綾之助の人気は絶大で、彼女を目当てに劇場で騒いだり、人力車を追いかける学生たちは「ドウスル連」や「追掛連」と呼ばれていたそうです。
ドラマ「坂の上の雲」でも、書生時代の秋山真之が寄席で娘義太夫を贔屓にしているシーンがありました。

綾之助は、小さい頃から浄瑠璃で天賦の才能を発揮し、その才能を見込んだ世話人・近久によって女浄瑠璃の世界へ見を投じる。やがて綾之助の浄瑠璃は爆発的な人気を博し、若い書生たちからミューズのごとく崇められたり、強引なアプローチを受けるが、綾之助自身は浄瑠璃ひとすじ。しかし、ある時、贔屓の学生の友人・石井健太と出会い、恋に落ちてしまう…。

明治期の描写はすばらしく、臨場感があるし、明治時代のアイドルとも言うべき綾之助の人生は面白いのですが、ちょっと残念だったのは同じ松井今朝子さんの「吉原手引草」と比べると「艶」が足りない気がしました。
吉原の女郎と女芸人の世界を一概に比べられませんが、綾之助のは浄瑠璃の修行以外の面倒事は母親お勝と側近の近久が肩代わりしてくれたし、恋人ができてあっさり引退しようとするのも、世間知らずと言えなくもない。
綾之助もそうですが、恋人の石井も楽天的すぎて、読んでいてイライラしました。


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2011.09.04 Sunday

「史記の風景」 宮城谷 昌光

宮城谷昌光さんが描く史記解説本「史記の風景
史記とは、司馬遷が書いた古代中国の歴史書。宮城谷昌光さんのわかりやすい解説とやさしい文章で、難解なイメージのあった「史記」を面白く読み解くことができました。

「史記の風景」を読んでみると古代中国の文化や慣習が、意外にも現代の私たちが使う言葉や習慣の中に残っていたりします。また戦国武将や江戸時代の俳人なども、史記を読んでいて、史記から引用している手紙や作品も残っているそうで、数千年前の歴史からの影響が、現代まで脈々と続いているというのは興味深かったです。


・竜のイメージ
古代は空をとぶ鳥を神聖視しており、王のシンボルも殷や周の時代は鳳凰だった。周朝が五行でいうところの「火」であるため、秦の始皇帝は「火」に勝る「水」のシンボル竜を国(皇帝)のシンボルに採用したらしい。
春秋戦国時代の風習を世界観に取り入れた「十二国記」でも、王のことを鳳凰にたとえた記述がありました。(「図南の翼」)

・喪服が黒いわけ
現代に置いては喪服は黒と決まっていますが、喪服がが黒くなったのは春秋時代、喪に服していた晋国に秦の王が不埒な振る舞いをしたため、晋の王は白い喪服を黒く染めて秦と戦ったのが始まりなのだとか。白い服は敗戦の時に着る→でも喪服なので脱げない→だったら喪服自体を黒しちゃえ!…ということらしい。

・劉備玄徳の祖先
三国志で有名な劉備玄徳は漢王朝の王族・中山靖王の末孫を名乗っていました。
その中山靖王とはいかなる人物かというと、清廉潔白な劉備の印象とは程遠い、酒食に溺れて政務を顧みない人だったのだとか。

・現代と違う意味の漢字
古代中国では現代とは意味が違う言葉も多々あるそうで。

・「旅」は軍隊を、「館」は軍の霊を祀るところ意味。
・「小説家」は、学説を説く学者「大説家」に対し、世間の話や情報を道で伝え説くもののこと意味する。
まあ、「小説家」は当たらずしも遠からずかなあ。どっちかといえばジャーナリストに近いのかも。

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古代中国の冒険譚「沈黙の王」→
古代中国の恋愛模様「玉人」→
古代中国の名宰相「華栄の丘」→
誕生!中国文明展→

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2011.08.16 Tuesday

「日輪の遺産」 浅田次郎

堺雅人さん主演で映画化された「日輪の遺産」、浅田次郎さんの原作を読んでみました。

太平洋戦争終結直後、山下将軍がフィリピンでマッカーサーから奪った金塊を隠すため、将校、大蔵省出向の役人、叩き上げの軍曹の3人と、勤労奉仕に動員された女学校の生徒たちが作戦に関わることに。
それから47年後、ワンマン経営の不動産業者・丹羽は、競馬場で不思議な老人・真柴と出逢い、なりゆきで酒につきあうが、その日のうちに老人は急死してしまう。やがて真柴老人が残した手帳をめぐり、丹羽たちは隠されたマッカーサーの金塊について調べ始めるが…。

現代と1945年当時が交互に語られてゆく構成で、失われた遺産の行方を探す推理を楽しむというよりは、作戦をめぐる攻防や葛藤などの人間ドラマが展開してゆく感じです。1945年に登場した人物が、意外な関わり方をするといった面白さはありましたが。

正直、登場人物たちにあまり共感できなくて、今ひとつ入り込めませんでした。特に、現代編の私の丹羽はもっとも嫌いなタイプですし、あんな奴になぜ真柴老人があれを託す気になったのかもわからないし。
読んでいて一番心をつかまれたのは、久枝たち女学生のこころを綴った場面です。
先生に憧れ、先生に送ってもらえる帰り道に空襲が起こって欲しいと思ったり、過酷な作戦の不安よりも、遠出に心をわくわくさせたり、純粋さと残酷さを併せ持つ少女たちの心は、男たちの戦いよりも、より現実味を帯びて感じられました。


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2011.08.12 Friday

「ちょちょら」 畠中 恵

畠中恵さんの時代小説「ちょちょら

江戸留守居役は、幕府から仰せつかる「お手伝い普請」を逃れるため、あらゆる情報やツテを使い、自分の藩が普請を逃れるよう画策するのが役目。一旦、普請をおおせつかれば費用は藩の財政を揺るがすため、どの藩も必死で優秀な人材を当てている。主人公新之介は、亡くなった兄の変わりに江戸留守居役を拝命するが、自他共に認める平々凡々な人間。留守居役の組合では、美丈夫岩崎を初め他の藩の留守居役たちに鍛えられるものの、ある日藩の存続を揺るがすほどの普請事業が計画されていると知り、新之介一同は普請を避けるべく奔走するが、新之介は藩すべてが普請から抜けるという大胆な策に打って出ることに…。

うーん、タイトルと表紙イラストにだまされた…。
お話自体は面白いのです。
ただ、表紙から受ける印象と違う。
「しゃばけ」の痛快感や「アイスクリン強し」の爽快感はない。
「こいしり」のように事件の合間の、切ない恋心もあまり出てこない。
幼なじみ千穂との恋愛模様がもう少し描かれるかとおもったら、それもなく、あくまで主人公の新之助の江戸留守居役としての成長と、藩の危機を救うべく新之助と仲間たちの奔走する姿が描かれています。

江戸留守居役の画策や情報合戦、政治的駆け引きの様子などはおもしろかったですが、事件の解決がすっきりせず、もやもやしたものが残ります。重々しい題材と新之介のキャラクター、両方が生かしきれてないような気も。
新之介が実はできるやつで、飄々としながら完璧に計画を遂行する…。という方がすっきりするような気がします。
いや、面白くはあるのですが…。

ちょちょら
ちょちょら
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畠中 恵 新潮社 売り上げランキング: 1875


「しゃばけ」以外の畠中作品
「こいしり」→
「こいわすれ」→
「まんまこと」→

「つくもがみ貸します」→
「こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり」→

「アイスクリン強し」→
「若様組まいる」→

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2011.08.08 Monday

中国の不条理で怖い昔ばなし 「李白の月」 南 伸坊

シンプルでユーモラスなイラストが特徴の南伸坊さんですが、実は酒見賢一の小説「墨攻」の挿絵を担当していたり、奇異小説を漫画化た作品も多いのだそうです。そんな南伸坊さんが、中国の奇怪な物語をあつめて描いたのが「李白の月」不条理でユーモラスな中国の奇譚を独特のタッチで描いています。

どれくらい不条理かというと、「ある男が盗賊だと思い近づいてくるものを切ると、それは蝶々に変化し、その蝶々が脇にふれたために死んでしまった。」だの、「主人公が大きなハマグリの中にあった剣をとりだし、家に持ち帰ると、突然父母の首が落ちた」といった「なぜそんな展開に?」と首を傾げたくなる話ばかり。

奇怪で不思議な体験をすると必ずといっていいほど当事者や周りの人間に被害が及びます。
化物などに襲われるのではなく、ただちょっとした奇異に遭遇するだけで簡単に人が死んでしまうのです。
それだけ、昔の中国では不可解な出来事を「死」に値するくらいの出来事だと思っていたのでしょうか…

また、その他にも夜に首が胴体から離れて飛んでいく女や、人の顔のような花が咲く木の話など、人間離れした生き物の話もでてきます。これは、古い中国の奇書「山海経」で紹介されるものに近い。
どこか遠くには、きっと自分たちとは変わった生き物がいるに違いないと想像され、不思議なものたちがつくられたのでしょう。

李白の月
李白の月
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山海経」で紹介された生物は、「十二国記」にも登場します。


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2011.06.21 Tuesday

「日本人の叡智」 磯田 道史

今こそ、過去の人々が残してくれた言葉、「日本人の叡智 (新潮新書)」が必要だと思います。
「日本人の叡智」は、「武士の家計簿」の磯田道史先生が、古文書の中に埋もれた有名無名の人々の言葉を丹念に拾い集めた名言集。人物のひととなりや、その言葉が言われた背景を、磯田先生が簡潔にわかりやすく解説してくださっています。

ちょうど震災後ひと月くらい後に「日本人の叡智」は刊行されました。読んでみると不思議と今の時勢にぴったりはまるような言葉が多くて驚きました。過去の人々は、様々な困難に遭いながらも這い上がり、困難から学び、生き方のヒントを後世に伝えようと文字に残してくれました。私たちはまた、その遺産をきちんと受け継いで、そこから学び取らなければならないでしょう。

すばらしい言葉ばかりですが、その中でも今のご時世、ちょっと元気がでそうな言葉を紹介します。

本気で辛抱してりゃ、自分の目には見えなくても、畳の目のように物事はすすんでるんですよ(古今亭志ん生)

古今亭志ん生は言わずと知れた落語の大名人。破天荒な貧乏暮らしをしながらも、誰にも負けない愛嬌と、懸命な落語の稽古で名人に登りつめた人。磯田先生はこの名人の言葉に「本気の辛抱とともに楽天的なずぶとさも要る」と結んでいます。

日本人の叡智 (新潮新書)
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びんぼう自慢 (ちくま文庫)
古今亭 志ん生 筑摩書房 売り上げランキング: 46230


あと、わたしが個人的にツボだったのは、昭和の名経営者・土光敏夫さんの言葉。
会議は二時間以上してはならない
今の経営者連中に聞かせてやりたいです。本当に会社ってところは無駄な会議が多いんだから!ヽ(`Д´)ノ

今まで知らなかった、歴史に埋もれた人々の名言と生き様にふれられて、短い文章ながらも感動の連続でした。
特に戦時中、なり手のいない沖縄県知事を引き受けた島田叡さんの生き様に感動しました。

磯田道史先生著作
『無私の日本人』→
『歴史の愉しみ方 - 忍者・合戦・幕末史に学ぶ (中公新書)』→
『武士の家計簿」―「加賀藩御算用者」の幕末維新』→
『殿様の通信簿』→
『江戸の備忘録』→

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