『武士道シックスティーン』 誉田 哲也

2009.06.05 Friday

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    剣の道に精進する女子高生たちの青春武士道ストーリー、「武士道シックスティーン」。柔と剛、対称的な二人の女子が刺激しあい、時にはぶつかってお互いの剣道を高めていきます。

    武士道シックスティーン あらすじ


    全中学女子準優勝の香織は、消化試合として出た市民剣道大会で東松中学の無名の選手「甲本」に敗れた。自分の負けた理由が分析できない香織は、「甲本」が進学したであろう、剣道の名門、東松高校女子剣道部へ進む。

    はたしてそこには香織の目指す「敵」がいたのだが、その「敵」、甲本(西荻)早苗は、のほほんとして勝ち負けにこだわらない性格で、剣の腕も強かったり弱かったりとバラつきがある。香織は自分が負けた時の「甲本」と闘って勝つために早苗に強くなれと要求する。

    おもしろかった。…おもしろかったんだけど。香織についていけない…orz
    物語の中盤まで勝つことにしか興味がない、まさにジャックナイフのような香織のキャラクターがリアリティが感じられず共感できなかったなあ。

    勝ちたい気持ちが勝りすぎて、竹刀で早苗の手をはたいたり、踏みつけたり、ちょっと尋常じゃないでしょ、アンタ(((; ゚д゚)))香織のスランプの原因も、私にはいまいち理解できなかったし、そこからの変貌っぷりも唐突というか、説明が少ない気がしました。

    とはいえ、戦い方が全く違うふたりが影響しあい、時にはぶつかりあいながらお互いの剣の道を進んでいき、終盤でふたりが剣を合わせる姿は清々しく、美しかった。これからも彼女たちの成長を見守っていくためにも続編「武士道セブンティーン」もぜひ、読んでみようと思います。

    「武士道セブンティーン」→
    「武士道エイティーン」→

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    若いって、痛い。けど必死。 「メルヘンクラブ」 さとう さくら

    2009.05.19 Tuesday

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      友達の彼氏を内緒で誘惑。やった後は、部屋に殺虫剤をまいた。
      ショッキングな内容のオビをみてから気になっていた小説、「メルヘンクラブ」は失恋の痛手から自暴自棄になる女の子が自由な夢を見るサークルに入るお話。若いって痛くて辛い。若い頃の痛みを思い出しながら読みました。

      「メルヘンクラブ」あらすじ


      主人公のマナベは、大好きだったタケヲにふられ、好きでもない男と寝てみたり、バイト先でマナーの悪い客に殴りかかったり、ストーカー行為を働いたり、自暴自棄になる。

      マナベは、自分の感情を出さず、なんとなく人に合わせて生きてきた。そんなマナベを唯一、本気で向き合ってくれたのがタケヲだった。だからマナベは別れてからもずっとタケヲの思い出を反芻することで生き続けてきた。

      ある日、派遣先の大学で大学生に間違われ、誘われた「メルヘンクラブ」。そこでは自分の好きな夢を見るためのサークルで、マナベはタケヲの夢を見るために「メルヘンクラブ」を訪れる。

      けれど、どんなに完璧なタケヲの夢をみても、目覚めると虚しさが残ってしまう。でも、夢をみることはやめられない。。

      物語の冒頭、マナベの自暴自棄っぷりがすごい。(((; ゚д゚)))
      いつもなら、こんな、どうしょうもない登場人物にはなかなか感情移入できないんですが、このマナベという女性は、女の子がもっている刹那的な感情を圧縮したような人で、なんだか憎めないんです。それに、ここまで極端ではないけれど、好きな人にふられたときの引きずり方は確かに共感できるし。

      痛くて切ない


      マナベはずっと、夢の中のタケヲと、タケヲの思い出を反芻してウダウダしています。このままずっとウダウダしているのかなー、と思っていたら、なんとかマナベにも変化が出てきます。

      一見、悩みなんてなさそうな「メルヘンクラブ」の大学生たちも、本人たちにしたら相当苦しい固執するものを持っているし、そんな人たちを垣間見ながら、消極的だけれど交流を続けていくうちに、タケヲ以外にも彼女の人生を構成する要素がつくられていきます。

      結局のところ、彼女は「タケヲ」を完全に思い切れていないのかもしれませんが、それもマナベらしいって気がします。ちょっとずつだけど進んでいくところが、読んでいてほんとうによかった。

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      さとうさくら作品感想
      「スイッチ」→
      「sweet aunt」→
      「携帯を盗み読む女」→
      JUGEMテーマ:恋愛小説

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      『花々』 原田 マハ

      2009.05.11 Monday

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        沖縄の島を舞台にした恋愛小説、「カフーを待ちわびて」のアナザーストーリー「花々」。
        純粋な続編ではなく、明青や幸と交流のあった女性たちを主人公にした物語です。独立した物語になっているので「カフーを待ちわびて」を読んでいなくても問題なく読めます。


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        「花々」の人々


        ダイビングショップでアルバイトをしている純子は故郷・岡山と家族を捨てて与那喜島にやってきた。島のリゾート開発にともなう立ち退きで仲のよかった幸や、バイト仲間の奈津子など、つぎつぎと島を離れてゆく。

        いろんなものを捨てて、沖縄の島へやってくるものの完全な島人になりきれない「旅人」たちはさみしさを感じます。確かに、リゾートは利益を生みだすのだから、外部の人間が理想論を唱えても実際にすんでいる人々にしてみれば死活問題なのですしね。

        与那喜島に住みつく純子とは逆に、島を捨てて都会で仕事をこなす成子。「カフーを待ちわびて」の主人公、明青の初恋の人です。

        リゾート開発にともない、両親の家の立ち退きで久しぶりに島をおとずれた成子は、幼なじみ・照屋のリゾート開発計画を聞き、自分なりの島おこしを企画します。友人となった純子に他の島のリサーチをたのんだり、自らも島めぐりをしますが、加計呂麻島で出会った知花子に諭され、自分にしかできないことを探すことに。

        成子さんは、自分のことを好きな男に対して薄情なところがある人で、夫に対してもひどいことを平気で言ってしまいます。(・_・;)。明青に対しても罪つくりだったしな、この人。
        そんな成子さんも、離婚を経たりいろいろな人との出会いで少し変化がでてきているようです。

        成子に頼まれたリサーチを兼ねて奄美諸島を旅する純子は、漁師の開大と、ノロの母親の営む民宿に泊まるが、「大切な人が死にかけている。」と聞かされる。母の死をきっかけに「旅人」を廃業した純子に、島人や旅人たちから時折便りが届くようになった。

        やがて、その中には純子も、読者たちも待ちわびていた「カフー」が届きます。

        ぶっきらぼうの開大と純子の交流は、「天国はまだ遠く」の千鶴と田村さんをおも出だします。その後、純子に届く開大の手紙には、自分の釣った魚の写真が送られてくるのですが、それがなんとも愛らしくて冒頓ですてきなんです。この二人、どうにかなってほしいような、この交流のまま続いてほしいような…。

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        カフーを待ちわびて
        「たゆたえども沈まず」
        「リーチ先生」

        「吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋」 山本 渚

        2009.05.01 Friday

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          徳島の高校生の甘酸っぱい恋を描いた「吉野北高校図書委員会」今回はたよれる委員長、ワンちゃんのお話です。
          図書委員のかずらや藤枝、大地たちに信頼され、頼れるリーダーであるワンちゃんにも試練がやってきます。

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          恋と進路とパンクロック


          進路調査表が原因で、農家を継いでほしいおじいちゃんと、好きな道を行かせたいお母さんとの間で衝突が。さらに追い討ちをかけるように、尊敬する司書の牧田先生の意外な趣味(パンクロック)を知ってしまい、ショックを受けます。

          藤枝に先生のことを隠して相談すると、「すきなんちゃう?」との答えが。思ってもみなかった自分の気持ちに気づいてびっくりするワンちゃん。

          今回はみんなからから尊敬されるワンちゃんでも、恋に気付いたり、いろんなことで悩んでいる姿が印象的でした。
          それにしても自分の恋心にさえ気づかないなんて、ワンちゃん純情すぎるよ…。・゚・(*ノД‘*)・゚・。

          ああもう、じれったい…!


          同時掲載の「希望の星」は、おそらく「吉野北高校図書委員会」を読んだ人であればだれもがやきもきしたであろう、かずらと藤枝のじれったい関係のその後について書かれています。3年に進級したら図書委員を引退して、クラスも変わってしまったら、もうかずらと話せなくなるのではないかと不安になる藤枝。

          ああ、もうじれったい。(ノ>д<)ノ゙
          でもそこがすごくいいんですけどね。がんばれ藤枝!

          ・「吉野北高校図書委員会」→
          「吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ」→
          ・イラストを担当した今日マチ子さんの叙情マンガ「センネン画報」→

          こちらは漫画版。小説のイラストを担当した今日マチ子さんが担当しています。

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          「吉野北高校図書委員会」 山本 渚

          2009.04.27 Monday

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            センネン画報」の今日マチ子さんが挿し絵を担当している「吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)」。

            なつかしくて、楽しくて、切なくて、じれったい


            読んでいるうちにこんな高校時代を過ごしてみたくなりました。

            吉野北高校の図書委員たち、みんないい子たちなんです。
            頼りになる委員長のワンちゃん、明るい副委員長のかずらちゃん、大地くん、藤枝くん、あゆみちゃん、みんなを信頼してやさしく見守る司書の牧田先生。図書委員があつまる司書室はいごこちがよく、みんながおしゃべりしたり、委員の仕事をしたり、すごく楽しそう。

            けれど、そんな仲のよい図書委員たちも、青春らしく(?)いろいろな悩みや葛藤にぶち当たります。
            一番仲のよかった男友達だった大地がかわいがっている後輩のあゆみとつきあうことになり、かずらは複雑な気持ちを抱きます。

            なんだかアニメ「時をかける少女」の関係を思い起こさせます。仲の良い関係に「恋」が入ってくると壊れてしまうさみしさみたいなものでしょうか。

            そして、かずらをずっと思い続けてきた藤枝は、かずらが大地を好きなのだとおもいこみ、かずらへの思いを抑えられなくなり、とうとう告白してしまいます。

            性急な告白のせいでギクシャクしてしまうふたり。

            みんな自分以外のだれかを大切におもっていて、それが時にはからまわりしてしまって、でも一生懸命で…おもわず「がんばれっ!」って声をかけてあげたくなるのです。

            吉野北高校図書委員会 (MF文庫ダ・ヴィンチ)

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            漫画版『吉野北高校図書委員会』


            小説のイラストを担当した今日マチ子さんによるコミカライズ版。今日マチ子独特のコマ割りと美しいタッチでかずらたちの心の機微が描かれています。

            吉野北高校図書委員会(1)

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            「吉野北高校図書委員会2 委員長の初恋」→

            「吉野北高校図書委員会3 トモダチと恋ゴコロ」→

            ・イラストを担当した今日マチ子さんの叙情マンガ「センネン画報

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            「GO」 金城 一紀

            2009.03.20 Friday

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              広い世界を見るんだ。」
              在日の杉原はそういって朝鮮学校から日本高校へ進学した。
              ある日パーティーで知り合った不思議な少女、桜井に魅かれ、恋に落ちる。

              私は普段、自分を取り巻く国や環境について詳しく考えることなく生活していますが、杉原は子供のころから「自分は何者なのか」をつきつけられてすごしてきているのですね。杉原はそんな激烈な環境下で進化や遺伝、哲学などの小難しい本と、オヤジ仕込みのボクシングで武装し、まわりの世界へ戦いを挑んでいきます。

              でも、その戦いは無傷ではいられない。
              自分自身も深く傷つくこともある。

              親友の不慮の事故死、恋人の裏切りなど、さまざまな困難にぶちあたるけれど、杉原は戦うことをやめない。

              ラストがまた、映画のシーンみたくてかっこよかった。
              あのあとどうなるんだろうって思わせる。
              でも、杉原ならきっと大丈夫。

              意外だったのは初めて桜井と結ばれる夜、杉原は自分の出自を話すけれど、桜井の杉原への拒絶の言葉は実に単純で陳腐だったなあ。
              これまでずっとかっこつけていい女だった桜井が、あんな言葉を吐くのは正直驚いた。「カーテンコール」という映画でも、好きだった在日の男の子誘われたのに、主人公が急に「怖くなって」約束の場所に行かなかったというエピソードがありました。在日に限らず、自分いる世界以外のコミュニティーと交わるのは勇気のいることなのかもしれません。一歩踏み出してしまえば、案外簡単にいくこともありそうなのですが。

              直木賞受賞作品。
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              ●ザ・ゾンビーズシリーズ
              ザ・ゾンビーズ最初の冒険譚
              レヴォリューション No.0→

              ここからゾンビーズの冒険がはじまります。
              レヴォリューション No.3→

              舜臣と中年サラリーマンの奇妙な師弟関係。
              フライ,ダディ,フライ→
              ゾンビーズと一緒に冒険する女の子が主人公の物語。
              SPEED→

              ●その他の金城作品
              対話篇→
              映画篇→
              JUGEMテーマ:芥川賞・直木賞


              「フライ,ダディ,フライ」 金城 一紀

              2009.03.07 Saturday

              0
                落ちこぼれ高校生、ザ・ゾンビーズはいつもトラブルに首をつっこみたがる集団だ。彼らをパートナーにすれば、とてつもなく楽しく、危険な冒険が待っている。
                それがたとえ、平凡な中年サラリーマンだったとしても。

                平凡なサラリーマン、鈴木一(はじめ)は、判で押したような平凡な日常を営むサラリーマン。
                そんな鈴木さんにも大切なものがある。
                家族、妻と美しい娘・遥が唯一、自慢できる存在だ。

                7月9日、そんな日常に大きな亀裂が入る。
                大事な娘・遥が大けがを負い、病院に運ばれる。
                遥にけがを負わせた石原という男子学生は、有力者の息子でボクシングの国体選手。国体試合を控えた石原側は事件を表ざたにしないよう、圧力をかけてくる。遥の無残な姿に、日常の壊れる恐ろしさを感じてしまった鈴木に、遥はケガのショックと父親への不信を感じ心を閉ざしてしまう。

                追い詰められた鈴木は石原に復讐するため、石原の学校に向かうが、たどり着いた先は100m手前の落ちこぼれ高校。
                ここでゾンビーズの面々と知り合った鈴木は、ゾンビーズの武闘派・朴舜臣をコーチにつけ、きたるべき石原との対決にそなえてトレーニングを始めるのだか…

                舜臣と鈴木さんの奇妙な師弟関係がほほえましく、面白い。
                親子ほども年の離れたコーチについてへっぽこながらもトレーニングにはげむ鈴木さん。
                鈴木さんがどんどん鍛え上げられてゆくのを読んでいると、
                なんだかこっちも体を鍛えたくなります。

                途中恐怖で戦う気力を無くしそうになる鈴木さんに
                「俺が恐怖の向こう側に連れてってやる」と諭す舜臣。
                かっこいい。

                トレーニングの帰り、いつも通勤に使っているバスと競争をする鈴木さん。どんどんと脚力をつけてゆき、最後にバスを追い抜くと、いつもの通勤メンバーと運転手が割れんばかりの拍手。
                きっと彼らも日常は大切だけれどもどこかで「飛びたい」って気持ちが残っているのでしょうね。

                やがて迎えた決戦の日。はたして鈴木さんは石原に勝ち、娘を取り戻すことができるのか。
                がんばれ、鈴木さん!

                フライ,ダディ,フライ
                フライ,ダディ,フライ
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                ●ザ・ゾンビーズシリーズ
                ザ・ゾンビーズ最初の冒険譚
                レヴォリューション No.0→

                ここからゾンビーズの冒険がはじまります。
                レヴォリューション No.3→

                ゾンビーズと一緒に冒険する女の子が主人公の物語。
                SPEED→

                ●その他の金城作品
                GO→
                対話篇→
                映画篇→

                「レヴォリューション No.3」 金城 一紀

                2009.02.12 Thursday

                0
                  読んだあと訳もなく「うおぉーーーー!!」と叫びながら走りだしたくなる話、「レヴォリューション No.3」。ゾンビーズシリーズ第一弾、新宿の落ちこぼれ男子校に通う「ザ・ゾンビーズ」の仲間たちの物語。

                  高校一年の十月、
                  「君たち、世界を変えてみたくはないか?」

                  生物の教師の言葉に突き動かされ、窮屈な階級社会に風穴をあけるべくゾンビーズがとった「努力」は、ガードが厳しい優秀な名門女学校の学園祭に潜入(して女子をナンパ、あわよくばカップルになる)というものだった。

                  この世代の男子は神経が下半身に集中いるらしく、文中になんども「○○○○」(自主規制)という言葉が出てくるんですが、読み進めていくと単にいやらしいだけのものではなく、それにはゾンビーズの男たちのソウルをも詰め込んだ器官のように思えてきます。

                  とにかくまあ、あほです。でも愛すべき男の子たち。
                  早死にした友達の墓参り旅行の費用をカツアゲされた無念を晴らすべく殴りこみをかけたり、ストーカーに付きまとわれる女子大生のボディーガードをかって出たり。

                  学歴や階級重視の世の中を自分たちの流儀で風穴をあけ、走り続けるゾンビーズの「ちょっとした冒険」は大人をもワクワクさせる。自分が大人ってことを忘れて、走り出したくなる。

                  文庫も出ていますが、単行本がおすすめ。最後のページに金城さんのラクガキされたプロフィールがかっこいい。

                  レヴォリューションNo.3

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                  ザ・ゾンビーズが活躍するシリーズです。

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                  ●ザ・ゾンビーズシリーズ
                  ザ・ゾンビーズ最初の冒険譚
                  レヴォリューション No.0→
                  舜臣と中年サラリーマンの奇妙な師弟関係。
                  フライ,ダディ,フライ→
                  ゾンビーズと一緒に冒険する女の子が主人公の物語。
                  SPEED→

                  ●その他の金城作品
                  GO→
                  対話篇→
                  映画篇→
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                  『ホルモー六景』 万城目 学

                  2009.01.27 Tuesday

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                    鴨川ホルモー」の続編、「ホルモー六景」を読みました。今回は最初から面白かった。
                    プロローグで安倍君が高村君に「ホルモーに携わる人の数だけ、いろいろあるだろう。」と語っていた通り、今回は京大青龍会以外の大学の面々やOB、OGら「ホルモー」にかかわる人々の恋と友情の物語です。

                    長くなるので、気になったところだけ抜粋。

                    ホルモー六景 (角川文庫)

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                    同志社大学黄龍陣


                    ホルモーのベースとなる陰陽道には青龍、白虎、朱雀、玄武のほかにも方位が存在する。中心を表す方位・黄龍。
                    ほろびてしまった「黄龍陣」が偶然にも復活を果たすまでのお話。

                    京大青龍会の芦屋の元カノ・巴は一年浪人の末、念願の同志社に入学。ひょんなことから「horumo」と書かれた古い英文の手紙をみつける。どうやらそれは、現在同志社である京都の旧薩摩藩で行われたものらしい。

                    見えない糸に引かれるように巴は「復活ニカンスル三条件」を果たすべく、たまたま居合わせた元彼・芦屋と神社に向かう。しかし、残りの2条件がまったくわからなかったのだが、実は偶然にも条件は満たされており、巴も知らないうちに「黄龍陣」は復活を遂げる。

                    ほんと、芦屋って最低男だな。自分から誘っておいて彼女に見つかったのを巴ちゃんのせいにしたりして。巴ちゃん、こんなヘタレは叩きのめしておやんなさい。


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                    丸の内サミット


                    ホルモーにかかわったOB、OGの後日談。ホルモーにかかわるとその後も「オニ」がみえるものらしい。在学中、名勝負を繰り広げた井伊直子と榊原康は東京ではたらいていたが、偶然友人の紹介で再会することに。

                    学生時代とは違い、うちとけて話すようになった二人だが、空中を漆黒の「オニ」が出現したのを目撃し、発生源をつきとめようとするのだが…

                    そしてなぜか、黒ずくめの「オニ」を管理しているのが東京でのホルモー競技者たちらしい。そして「黒オニ」の発生は最高の守護神にして、たたり神である「あの神様」がかかわってりるらしい。

                    このへんの謎は語られていないので続編が書かれることがあるのだろうか。そして、何百年かに一度、全日本ホルモーが開催されたりして。

                    長持ちの恋


                    「鴨川ホルモー」のエピローグでちょんまげ男・高村と付き合うことになった立命館白虎隊の会長、細川珠美。

                    彼女がアルバイト先の料亭「狐のは」の蔵で見つけた長持ちには「なべ丸」と書かれた板きれが入っていた。思わず手が動いて板にあだ名の「おたま」と書きつける珠美。こうして時空を超えた不思議な文通が始まった…。

                    実はなべ丸は織田信長につかえる小姓で、本能寺の変のとき討ち死にしてしまうんですが、それを知って珠美は必死に止めようとします。珠美の思いに打たれたなべ丸は、いつかきっと会いに行く。その時には「しるし」をつけてゆく。と書き残す。はたしてそのしるしとは…

                    過去の人間と文通をするというのは他の本でも読んだことがあったのですが、やはり切ないですね。相手は過去にいて会うことはできないんですから。でも今回はちょっとかわいらしい展開でおわってよかった。空気読めないけど真摯な高村君もいいやつでした。

                    今回は「鹿男あをによし」に登場した料亭・「狐のは」もが登場。あそこは「鹿男」でもわりと重要なところなので、今後もでてくるのでしょうか。

                    鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

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                    もっちゃん(ネタバレ)


                    は、途中まで現代の安倍君と友達の話かと思いきや、実は大正時代の「安倍君」と作家梶井基次郎との交流の話。
                    うまいことだまされました。「講和会議」だの、「女学生」だのとヒントはあったんですが。

                    大正時代の安倍くんもホルモーにかかわっていたらしい。現代の安倍君となにかつながりがあるんでしょうかね?時代的にはひいじいさんくらいかな。芥川龍之介の小説「鼻」に興味を示していたところをみると大正時代の安倍君も鼻フェチらしい。

                    檸檬 (280円文庫)

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                    「鴨川ホルモー」→
                    「鹿男あをによし」→
                    「平将門魔方陣」の感想→
                    ザ・万歩計→
                    「プリンセス・トヨトミ」→
                    「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」→
                    「ザ・万遊記」→
                    「偉大なる、しゅららぼん」→


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                    「下北サンデーズ」 石田 衣良

                    2008.10.21 Tuesday

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                      学校を卒業して大企業につとめる人と、ちいさな劇団で芝居をしている人、一生に稼ぐお金は実に一億円以上の差がつくのだそうです。地位もお金も未来の保証もないけれど、芝居にかける情熱だけは熱い。演劇の街・下北沢を舞台に貧乏小劇団・下北サンデーズで演劇にかける人々の話。

                      石田 衣良作品は「波のうえの魔術師」に続いて2作目。
                      テンポの良い文章でサクサク読めます。

                      主人公・里中ゆいかは人生で初めて芝居のたのしさを教えてくれた貧乏劇団下北サンデーズの門をたたく。
                      天才脚本家だけれど、生活にだらしのない座長・あくたがわ翼。
                      ツバサと同棲中でゆいかをライバル視している主演女優・伊達千恵美。
                      東大卒のインテリ女優・寺島玲子
                      コメディ担当のキャンディ吉田とサンボ現。
                      女たらし役が得意でホストのバイトをしているジョー大杉。
                      実家は大金持ちで二枚目だが、性格は穏やかな八神。
                      個性豊かな劇団のメンバーとともに芝居をする楽しさを実感するゆいか。

                      下北サンデーズも、ゆいかが入団してからは興行的にも成功し、客席60のミニミニシアターから徐々に大きな劇場での公演に成功してゆく。
                      着実に成功への道を走っていく下北サンデーズだったが、売れ始めたこと浮足立った劇団員たちの気持ちはバラバラになってしまう。。

                      下北サンデーズ
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                      知人に誘われて何度か小劇団のお芝居を見たことがあるのですが、映画やテレビにはない感動がありました。お芝居は面白く、最後には号泣するぐらいすばらしかった。実際の役者さんたちの中にも、下北サンデーズの劇団員のようにいい大学に入ってから役者をしている人もいました。

                      安定した人生か、貧乏でも夢をおいかける人生か。
                      むずかしい選択です。
                      少なくとも充実した人生を送っているのは
                      サンデーズの人たちなんでしょうね。


                      「下北サンデーズ」は、上戸彩ちゃん主演でドラマ化されたころから気になっていたのですが、ドラマは原作をいかしつつも、ぶっとんだコメディで面白かった(^^)
                      堤幸彦先作品で視聴率低迷で打ち切りになったという、ある意味伝説のドラマかも。

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                      石田衣良作品感想
                      波のうえの魔術師

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