「平将門魔方陣」 加門 七海

2009.04.10 Friday

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    鴨川ホルモー」の続編、「ホルモー六景」には東京にもホルモーがあることを匂わせる話が載っていました。
    そこには東京の守護神にしてたたり神、平将門の首塚がかかわっているらしいのです。

    平将門魔方陣 (河出文庫―文芸COLLECTION)」では、朝廷の反逆者にしてたたり神となった将門が、どうして東京の守護神になったのかを推理しています。

    難しい専門書のように敷居が高いのかと思いきや、作者の加門さんのくだけた文章のおかげですいすいと読めました。
    わからないことを「わからん。誰か教えてください。」と書いてしまったり、将門びいきで調伏した側に対しては「きったねえ」と毒づいたり、面白い方です。(^^)

    で、なぜ将門が東京の守護神なのか。
    結局よくわかりませんでした。(・_・;)
    時の権力者たちが封じ込めたり、敬ったりしながら
    絶えず無視できない存在であったことは確かなのですが。

    ただ、加門さんの説として
    東京の土地の地霊が将門を望んで、ここに住む者の無意識に訴えかけている。
    だから地の影響を受けている人々が、明治政府が将門を神田明神から祭神から外した時、反対したり、GHQの無体な行いを止めようとしたのも土地の人々だった、と。

    この説は私も好きです。だからあれほど恐れられる一方で
    敬われ、愛されているのでしょう。
    もしかしたら東京のホルモーも、そんな将門を退屈させないために始められたのかもしれませんね。
    万城目さんにはぜひホルモー続続編を書いていただき、その辺の謎を明かしてほしいものです。

    平将門魔方陣 (河出文庫―文芸COLLECTION)
    平将門魔方陣 (河出文庫―文芸COLLECTION)


    山田章博さんの名作「BEAST of EAST」
    将門はそのカリスマ性と強い魂ゆえに、妖怪九尾の狐(玉藻の前)に魅入られる武人として登場します。
    BEAST of EAST 3 (3) (バーズコミックスデラックス)
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    ・こちらは京都の魔界伝説。「京都魔界地図」→

    「こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり」 畠中 恵

    2009.03.30 Monday

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      「こころげそう 男女九人 お江戸恋ものがたり」。
      男女七人夏物語 お江戸版といったところでしょうか。
      幼なじみ9人の恋愛模様が複雑にこんぐらがって、せつない。

      下っ引きの宇多は、思いを寄せていた幼なじみ・於ふじが突然死んでしまい、思いを告げられなかったことを後悔していた。
      ところが、死んだはずの於ふじが幽霊となってもどってきた。
      父親を心配して成仏できなかったという於ふじと奇妙なつきあいがはじまる。

      幼なじみ同士の恋模様をからめつつの最後に物語の大きな謎がとけるような流れになっています。
      思いが通じない相手を思う切なさは、山本 周五郎の「さぶ」に通じるものがあるかも。

      ただ、於ふじと兄千之助が死んだ原因にからむ事件とか、犯人の結末がいまひとつ盛り上がりに欠けたのが残念。(>_<)

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      ●「しゃばけ」以外の畠中作品
      「まんまこと」→
      「つくもがみ貸します」→
      「アイスクリン強し」→
      JUGEMテーマ:時代小説


      十二国記の参考書 「山海経」

      2008.06.20 Friday

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        「山海経」とは、中国の古い書物で、「●●という地方には、こんな動物や植物がいる。」と一種の地理本なのですが、中に書かれている生き物たち、かなり奇想天外です。

        ・その人となり胸に穴がある
        ・その人となり翼があり、人面で鳥の嘴、魚を捕う。
        そのほか、顔が3つある人や、足の生えた魚、
        六つの足、四つの翼、面が無い神・帝江など。

        その姿は奇想天外で不可思議でユーモラス。

        古代中国の人々はどんなものを見て、どんなことを感じていたらこんな奇想天外な生き物達を想像することができたのでしょう。

        いやいや、実は古代には実際に不思議なものたちが存在していたのかもしれない。
        そう考えたほうがきっと楽しい。

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        「山海経」に登場する生き物たちの中にはファンタジー小説「十二国記」にも妖魔や妖獣として描かれているものが多く、(駁、天馬、三騅など)「十二国記の参考書」として十二国記と一緒に読むと妖魔や妖獣たちのより特徴がわかります。

        ぱらぱらとページを読みながら、どこか遠くの国の不思議な生物たちに思いを馳せるのもいいかもしれません。

        解説はなんと水木しげる大先生です。

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        JUGEMテーマ:歴史

        「沈黙の王」 宮城谷昌光

        2008.05.27 Tuesday

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          最初の文字を創造した殷(商)の名君・高宗武丁のものがたり。「古代中国歴史小説」と聞くと堅苦しい印象がありますが、「沈黙の王」は戦あり・魔法(呪術)ありの冒険ファンタジー小説として充分読めるストーリーです。

          「沈黙の王」あらすじ


          殷の王子、子昭(武丁)は神に唱える祝詞以外は口から言葉を発することができなかった。それを憂いた父王は彼を野に放つ決心をする。子昭は最初に賢者・甘盤のいる州をめざして旅に出る。

          ある森にたどり着くと、そこには呪術者の修行をする美しい娘がいた。大蛇に襲われた彼女を救い出し、彼女の一族に歓待されるが先をいそぐ子昭は甘盤のもとへ。

          やっとの思いでたどり着いた甘盤は、博学だが信用が置けない人物だった。自らを救ってくれるものを探し、子昭は祖先の霊に救いをもとめ、高祖・帝瞬の廟へと向かう。だが途中、彼は奴隷狩りの兵につかまってしまう。そこで彼は後の宰相となる人物・「説」と出会う。

          貴種流離譚として


          子昭の賢者を探す旅がそのまま、貴種流離譚、冒険を通じての成長、出会いの物語として楽しめます。彼が助けた少女はやがて子昭の妻となります。婦好と呼ばれたその妻は、その墓の収蔵品の多さから、武丁にとても愛されていたと伝わっています。


          伝説上の神々を人間として描く


          この短編集には、そのほか弓、弓術を発明した古代の王・后げいの物語や、笑わない絶世の美女・褒似、春秋戦国の悪女・夏姫を主人公にした物語が収録されています。

          后げいや褒似は神や妖怪として、神話や伝説に彩られていますが、彼らを「人間」として生き生きと描かれています。宮城谷昌光先生は言葉の表現をとても追及されている方なので、彼の書く文章は表現の堅苦しい歴史小説家とは一線を画している感じがします。

          「十二国記」で古代中国に興味をもたれた方なら、次は「沈黙の王」をオススメします。

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          古代中国の恋愛模様「玉人」→
          古代中国の名宰相「華栄の丘」→
          誕生!中国文明展→

          レビューポータル「MONO-PORTAL」

          『まんまこと』 畠中恵

          2007.09.09 Sunday

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            しゃばけ」シリーズの作者、畠中恵さんの最新シリーズ「まんまこと」を読みました。

            主人公の麻之助は、「しゃばけ」の若だんなとちがって、「悪童」とか、「お気楽者」と称される名主の家の跡取り息子。

            名主とは、江戸時代、奉行所で裁ききれない民事事件を取り扱い捌きを行う権限をもつ家柄。

            実は麻之助、昔は親も自慢の息子であったが、ある「切ない出来事」をきっかけにして、違った方向へ曲がってしまったらしい。

            親には頭を抱えられるが、麻之助はどこ吹く風。日々飄々と生きている。

            しかし、どうやら事件の方が麻之助をほおっておかないのか、次々と問題が持ち込まれる。

            人と人のごんぐらがった問題を名主の息子である麻之助が解決してゆくのですが、自分自身の秘めた思いにはなかなか決着をつけることができないでいます。


            NHKでドラマ化も→「まんまこと〜麻之助裁定帳〜」

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            NHKでドラマ化された「まんまこと」シリーズ。シリーズ「ときぐすり」の前半部分までがドラマ化されています。福祉政治さんのひょうひょうとした麻之助、桐山漣さんのイケメン清十郎、趙ο造気鵑涼砲蕕靴さ噺渭困離肇螢が痛快でかっこいい。

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            「かわたれどき」
            「まったなし」
            「ときぐすり」
            「こいしり」
            「こいわすれ」
            「まんまこと」

            JUGEMテーマ:オススメの本

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            「墨攻」 酒見賢一

            2007.01.22 Monday

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              酒見賢一さん原作の「墨攻」がアンディ・ラウ主演で映画化。とはいえ原作となったのはやはり漫画版の方でしょうね。

              「墨攻」の主人公・墨家の革離は「城を守る」目的のためには手段を選ばない、ある意味非情な仕事人として描かれています。篭城に備えて死体を非常用食料として考えていたり…。けれど民は突然現れた救世主に熱狂していきます。しかし、権力者側はしだいに革離の人望に嫉妬しはじめ…


              ストイックで高尚な理想を掲げる墨家の思想はやがて儒家に取って変わられ、歴史から消えてゆきます。小説「墨攻」では墨家のなりたちとその衰退のなかでも頑迷に自らの医師を貫き通す革離の姿が描かれています。しかし、その頑迷さが意外な結末を生むのですが…


              原作はかなり短い話なのに、まるで長編小説を読んだような充実感。映画で興味をもたれた方は是非、小説もおすすめします。

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              レビューポータル「MONO-PORTAL」

              「東福門院和子の涙」 宮尾 登美子

              2007.01.21 Sunday

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                江戸時代初期。徳川家光の妹、東福門院和子は朝廷に幕府の権威を示すため、京都の朝廷に輿入れする。
                なれぬ宮廷に戸惑いながらも、明るく愛らしい少女は、決して涙を見せなかった。枕の下の紅絹の布に涙を隠しながら…

                物語は、輿入れから晩年まで東福門院に仕えた侍女、「ゆき」の視点で描かれている。

                物語の最初に晩年の東福門院がゆきに、こんなことを言っている。
                「人生の大半を京で過ごしたが、ゆきもわたしも、本当の京のひとにはなれなかったなぁ」
                うろ覚えなのでセリフが少し違うかもしれないけれど。
                いくら人生のほとんどを京都で過ごそうとも、どんなに努力をしようとも、「本当の京都人」になるのは難しいのかもしれない。
                まあ、この方の場合、かなり特殊な環境下だったということもあるのでしょうが。

                先日、学生時代を京都で過ごしたという人が、京都に詳しいと自慢していたが、本当の京都人から見たらきっと片腹痛いことだろう。「よそ者」かそうでないかは、本当の京都人にしかわからないのかもしれない。




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                聖人のような
                早くドラマ化を

                「白洲次郎 占領を背負った男」 北 康利

                2006.06.07 Wednesday

                0
                  最近、白州次郎の関連本が人気だ。
                  戦後日本の復興を吉田茂の側近として支えるも、自らは決して表舞台に立たない清廉さが受けているのかもしれない。

                  吉田茂の側近としてGHQと渡り合い、
                  日本の復興に多大な功績を残した白洲次郎の伝記。
                  しかし、だだの伝記とあなどるなかれ。
                  英国留学時代には当時貴重だった高級車を何台も乗りまわし、
                  奥様(エッセイスト・白州正子)には英語でラブレターを送り、
                  占領時にもかかわらず最高指令マッカーサーを英語で叱りつけるなど破天荒なエピソードが満載。

                  ジーンズを日本で始めて履き、三宅一生デザインコートを着こなすなど晩年になってもおしゃれでダンディー。

                  戦後、誰もが進駐軍の影におびえていた中で白州次郎と吉田茂はアメリカに屈せず、孤高の戦いを挑んでいく。彼らにしてみれば敗戦後からが「本当の戦争」だったのだ。
                  英国留学経験を持ち、キングズイングリッシュを自在に話す白州さんにしてみればスラングまみれのGHQ高官などはこんな風な扱いになるわけだ(笑)
                  あるときGHQ高官に「英語がうまいね」といわれれば
                  「閣下も練習すれば、英語がうまくなりますよ」と切り返すこのユーモアと反骨。

                  残念ながら、こんな日本人は今は絶滅してしまった。
                  だからこそ、今「白州次郎」なのかもしれない。
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                  白洲次郎 占領を背負った男 下 (講談社文庫)
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                  NHKドラマ白州次郎 第1回「カントリージェントルマンへの道」→
                  NHKドラマ白州次郎 第2回「1945年のクリスマス」→
                  NHKドラマ白州次郎 最終回「ラスプーチンの涙」→
                  「白州正子自伝」→
                  JUGEMテーマ:人物伝


                  「新とはずがたり」杉本苑子

                  2006.02.17 Friday

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                    鎌倉時代、後深草院につかえた女性・二条が宮中での愛欲を綴った「とはずがたり」。
                    海野つなみさんの漫画「後宮」のベースとなったお話ですが、過去にも杉本苑子さんが「とはずがたり」をモチーフに小説を書いています。

                    こちらは二条の恋人の一人、西園寺実兼の視点から描いた物語です。

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                    私は今まで二条って「男たちの愛憎にただ流される女性」という印象があったのですが、杉本苑子さんの二条はちょっと「ゆるふわ系」で何を考えているかわからないところがある女性として描かれています。

                    実兼に「野の花のごとき容貌」と例えられた少女は、やがて成長して実兼と上皇、その他、やんごとなき男たちから求愛されるものの、人生の愛憎を20代半ばで味わいつくし、晩年は出家をし、全国を旅する生活を選びます。

                    実兼さん、別れたあとでも二条の男との噂を聞いてはやきもきしたりしてたり、どうやら二条には不思議な魅力があるんですね。じゃなきゃ、やんごとなき方々が夢中になるはずもないので。

                    「とはずがたり」の人物達は貴族社会のトップにいる人たちで、仏教なんかも熱心に信心していたはずですが、現代人でもタブーと考えることを存外、平気でやってしまってます。御所さま(後深草院)なんて義理の妹に手を出したり、まったくm伏字にしないと書けないようなことばっかりだ。。

                    鎌倉時代の京の貴族達は政治の実権を幕府に握られているので、朝廷内での地位の確保と源氏物語に見立てた退廃的な恋愛ゲームしかやることがなかったのだと作者の杉本苑子さんは書いています。

                    確かに、二条と御所様は紫の上と光源氏にも例えられるし、御所様、二条、実兼様の三角関係は同じく匂宮、浮舟、薫のようでもある。女性が最後に出家して男たちの元を離れたのも同じ展開。

                    二条の人生の選択にも源氏物語の影響があったのか、もしかしたら、自分を源氏物語の「浮舟」になぞらえて男たちと決別したのかもしれません…。

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                    「人斬り半次郎 幕末編・賊将編」 池波 正太郎

                    2006.01.13 Friday

                    0
                      「新撰組!!」が終わってひと段落したので、今度は薩摩側からの幕末を読んでみたくなった。どうしても新撰組からみると薩長はずるくて嫌な連中としてイメージができてしまうので。。

                      「人斬り半次郎」は幕末、「人斬り」と恐れられた中村半次郎(後の桐野利明)の生涯を綴った物語。
                      貧困にあえぐ郷士の家に生まれながらも、「今にみちょれ!」と志を持ち剣術と畑仕事に精を出す青年時代。

                      やがて西郷隆盛に見出され幕末の世を駆け抜けてゆく。

                      美男、剣術で鍛えた立派な体躯、まっすぐな心根の持ち主。心酔する西郷と家族、恋人の前では「はぁい」とかわいらしい返事をする半次郎。敵に向かうときは鬼神のようだが、女に振られればおいおいと泣いたり、とにかく「かわゆい」オトコなのです。半次郎さん。

                      しかし、そのまっすぐ過ぎる心根ゆえか、西南戦争という大きな政局に巻き込まれてしまうのだが。。

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