明治の推理作家 VS 天才棋士『涙香迷宮』

2018.09.28 Friday

0
    以前『幽霊塔』を読んだのは『涙香迷宮』を読む前に黒岩涙香の作品を知っておきたかったから。
    『幽霊塔』で明治の翻訳表現に苦しみながらもページをめくる手が止まらなかった涙香のすごさがわかりました。

    『幽霊塔』感想→

    そんな涙香をモチーフにしたミステリ『涙香迷宮』は、天才棋士が、明治時代のミステリ作家・黒岩涙香が残したいろは歌にまつわる謎を解いていくというもの。暗号、殺人、いわくありげな洋館、そして嵐の山荘…。ミステリ要素が満載の作品でした。

    涙香迷宮 (講談社文庫)

    中古価格
    ¥7から
    (2018/9/26 20:36時点)




    『涙香迷宮』あらすじ


    若き天才棋士・牧野智久は知り合いの刑事から事件の意見を求められる。その人物は碁を打っている最中に後ろから刺され、絶命していた。智久は碁石の数が通常より多いという事実に引っかかりを感じた。

    一方、智久の彼女・類子はミステリサークルのイベントで黒岩涙香の研究家である麻生に声をかけられる。麻生は涙香の企画展を計画しており、涙香が残したとされる洋館の発掘調査を行うという。

    そこへ智久も招待され、ほかにも歌人、ゲーム作家、編集者などさまざまなミステリマニアが集まり、洋館の地下に残る涙香の暗号を解き明かそうとするのだが…。

    日本ミステリの始祖、黒岩涙香


    いろは唄はひらがなを一文字ずつ使った和歌で、「いろはにほへと」が有名ですが、その他にも様々ないろは唄がつくられいて、黒岩涙香はいろは唄の達人でもありました。

    その他にも涙香は「連珠」と呼ばれる五目並べやビリヤードなど、遊芸百般と言われるほど様々なことに才能を発揮していたそうです。

    星座盤を模した天井、十二支を配した部屋にそれぞれ置かれたいろは唄。ミステリ要素がふんだんに含まれていたのは楽しかったです。涙香は自分の新聞社で実際に宝探し懸賞企画をおこなったので、自分のハマった趣味である「いろは唄」や「連珠」で「宝探し」の謎解きをさせるのは実際にあってもおかしくないモチーフですね。

    黒岩涙香のこと




    ただ、これだけワクワクするモチーフがありながら、宝と内容だとか、殺人事件の結末だとかはいまひとつ盛り上がりに欠けた感じも。十二支いろは唄の部屋は、詳細に描かれていたので、部屋そのものにもなにかあるんじゃないかと期待してしまったんです。

    綾辻行人さんの館シリーズを読んでいると特に「部屋の配置図=謎がある」と思っちゃうんですよ…

    十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

    中古価格
    ¥123から
    (2018/9/28 18:50時点)




    いろは唄の解説も、明治期のかな文字表現がむずかしいので、自分で考えられず探偵役が解き明かすのをただただ感心するばかりなので、あまり物語の中に入り込むという感じはなかったかな。

    とはいえ、明治の偉大な推理作家と若き天才棋士の頭脳戦は面白かったです。本当の犯人というか仕掛け人は黒岩涙香なのかもしれません。

    幽霊塔

    中古価格
    ¥478から
    (2018/9/28 18:49時点)




    ビブリア古書堂、その後の物語。『ビブリア古書堂の事件手帖 扉子と不思議な客人たち』三上 延

    2018.09.26 Wednesday

    0
      『ビブリア古書堂の事件手帖』の続編が出ました!シリーズ完結から、栞子さんと大輔くんのその後の物語が描かれます。なんと、二人の間には小さな娘が!

      物語は、栞子さんによく似たこの「扉子」ちゃんに、栞子さんがこれまで起きた本にまつわる話を聞かせるといった手法がとられています。これまでのビブリア古書堂シリーズに登場した人々も出演します。

      それにしてもあのふたり、いつの間に結婚、そして娘まで…。

      ビブリア古書堂の事件手帖 ~扉子と不思議な客人たち~ (メディアワークス文庫)

      中古価格
      ¥580から
      (2018/9/25 00:03時点)




      二人の娘・扉子ちゃんは利発で本好き。本にまつわる感の鋭さは栞子さん譲りです。性格は明るくて栞子さんの妹文香ちゃんに似ているけれど、本に関する好奇心は大人顔負けです。
      これまでのビブリアシリーズのように、1冊の本にまつわる謎を紹介しているのですが、その間にサイドストーリーとして栞子さんと扉子ちゃんが出張中の大輔くんの本を探すと言ったストーリーが添えられています。

      その本がなんだったのか、どうしてそれを、娘に見せたくなかったのか、それが最後にわかる仕組みになっています。私が推理したのは二人の出会いのきっかけになった夏目漱石の「それから」でしたが…。

      北原白秋 与田準一編『からたちの花 北原白秋童話集』(新潮文庫)


      『ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち〜』に登場した坂上昌志としのぶ夫妻。夫の昌志は過去に罪を犯して刑務所に入っていた過去から、親戚と断絶していたが、昌志の兄である父親に頼まれた姪・平尾由紀子が夫妻のもとを尋ねることに。

      父から叔父へ渡すように頼まれたのが『からたちの花 北原白秋童話集』だった。犯罪者として親戚から嫌われていた叔父の、優しくも悲しい身内との思い出が解かれていく。
      「みんなみんなやさしかった」の歌詞がこの物語の謎がわかると、とても切ない。坂口さん、しのぶさんと結婚して幸せになれてよかった…。

      からたちの花―北原白秋童謡集 (新潮文庫)

      中古価格
      ¥480から
      (2018/9/26 19:18時点)




      ビブリア古書堂の事件手帖 〜栞子さんと奇妙な客人たち〜 (メディアワークス文庫)




      『俺と母さんの思い出の本』


      栞子の母・智恵子の友人である磯原未喜から、急逝した息子との思い出の本を探してほしいとビブリア古書堂に依頼が着た。手がかりはほとんどなく、息子のマンションで彼の妻から事情を聞くも、具体的な確証は得られない。

      ゲームとイラストが好きでクリエイターとなった息子と、資産家で「まっとうな」仕事についてほしいと英才教育を押し付けた母との思い出の本とは一体なんなのか。

      今回、ほとんどヒントがなくて、どうやって探し出すんだろう?と思っていたら細部にヒントが隠されていました。いつものことながら栞子さんの洞察力が冴え渡ります。ゲームは不得手とはいえここまで確信にせまれるとは…。

      あと、この回に登場する急逝した息子の親友の存在は切ないですね。友人は有名クリエイターになったのに、自分はライトノベル作家として鳴かず飛ばずで、その格差に苦しんだり。持たざる者の苦悩も描かれます。

      にしても、クリエイターと年の離れたコスプレイヤーの夫婦って、どこかで聞いたような…

      佐々木丸美『雪の断章』


      こちらもビブリア古書堂の事件手帖の常連、ホームレスでせどり屋の志田と、あるきっかけで彼と親しくなった女子高生の小菅奈緒の物語。ある日、奈緒は志田の住む河原で一人の少年に出会う。自分と同じように志田と本の話をする「生徒」らしい。

      やがて志田が失踪し、心配した奈緒は、その少年・紺野祐汰とともに志田の行方を探していくうちに紺野が秘密を抱えていることに気がついて…。

      今回は栞子さんは登場せず、奈緒がひとりで推理します。奈緒は以前、栞子さんの鋭い洞察で自分の恋心まであばかれたことで苦手意識を持っているようで。確かに、栞子さんて自分の興味に関して暴走するところがあるからなあ。
      母の智恵子さんほどではないにしろ、ちょっと人の気持ちを忖度しないところがあるから。

      まあ、今は大輔くんがついているので大丈夫ですが、今度は娘の扉子ちゃんが暴走しそうで、栞子さんがあたふたしています。

      雪の断章 (創元推理文庫)

      中古価格
      ¥1から
      (2018/9/26 19:01時点)




      内田百聞『王様の背中』


      最終巻で栞子、母・智恵子とシェイクスピアの初版本を巡って破れた古書店主・吉原喜市は敗北のショックから倒れ、今は仕事を息子に任せていた。息子の考二は古書の引取に訪問した家で、一足違いでビブリア古書堂が買い取ったと聞かされる。

      諦めきれず買い取られた本を見てみようとビブリア古書堂を訪れた考二は、ある理由で本を売った家の息子と勘違いされたことで、本を持ち去ろうと試みるが…。

      扉子ちゃん、恐ろしい子…(,,゚Д゚) 純粋無垢であるがゆえに相手を追い込んでゆきます。吉原親子側がどうみたって悪いのですが、本に関して圧倒的な知識と洞察力をもち、時に強引に事を運ぶ篠川家の遺伝子を前にしたら、こんな気持になるのも、わからんでもないんだよなあ…と、凡人の私などは思うのです。


      内田百聞先生は鉄道マニアで『阿房列車』などが有名ですが、子供向けの本も書いていたんですね。同じく夏目漱石門下で先輩だった『赤い鳥』の鈴木三重吉さんの影響なんでしょうか…?

      王様の背中 (福武文庫)

      中古価格
      ¥600から
      (2018/9/26 18:46時点)




      後日譚と前日譚


      今回はビブリア古書堂の事件手帖、登場人物のその後の物語でした。なんにせよ、栞子さん大輔くんカップルが幸せになってよかった。今回は「後日譚」だそうですが、あとがきを読むと「前日譚」を書く予定もあるそうで。

      栞子さんの父方、母方の祖父(両方とも古書店主)の因縁とか、戦前から戦後にかけての古本事情なんかも織り交ぜて書いてほしいなと思います。

      ビブリア古書堂の事件手帖 ライトノベル 全7巻 セット

      中古価格
      ¥2,250から
      (2018/9/25 00:09時点)




      「ビブリア古書堂の事件手帖〜栞子さんと奇妙な客人たち」
      「ビブリア古書堂の事件手帖2〜栞子さんと謎めく日常」
      「ビブリア古書堂の事件手帖3〜栞子さんと消えない絆」
      「ビブリア古書堂の事件手帖4〜栞子さん2つの顔」
      「ビブリア古書堂の事件手帖5〜栞子さんと繋がりの時」
      「ビブリア古書堂の事件手帖6 栞子さんと巡るさだめ」 
      「ビブリア古書堂の事件手帖7〜栞子さんと果てない舞台〜」

      JUGEMテーマ:ミステリ

      乱歩や宮崎駿があこがれた小説『幽霊塔』黒岩 涙香

      2018.09.16 Sunday

      0
        乱歩や宮崎駿があこがれた黒岩涙香の翻訳小説『幽霊塔』を読了。宝が隠された塔を巡る冒険活劇ミステリ。「幽霊塔」は少年時代の江戸川乱歩や宮崎駿も憧れた小説で、後に江戸川乱歩によりリライトされ、宮崎駿の「カリオストロの城」にも影響を与えてます。

        いわくつきの時計塔、宝の謎、暗号、首無し死体、からくり屋敷など、ミステリの要素がたっぷり詰まっています。

        ・パブリックドメイン(0円)デジタル書籍版「幽霊塔」。明治時代の描写そのままなので読みづらいところも。

        幽霊塔




        『幽霊塔』あらすじ


        丸部道九郎はおじが買い取った「幽霊塔」と呼ばれる時計塔を視察に行くと、そこには日影色(灰色)の着物を着た美しい女性・松谷秀子がいた。秀子は幽霊塔の内部に詳しく、道九郎にいろいろなアドバイスを行い去っていった。

        やがて幽霊塔に住まいを移した道九郎たちであったが、それは様々な謎と恐ろしい出来事の始まりであった。
        果たして「怪美人」秀子の正体は、また幽霊塔にまつわる宝の謎は…。

        美人の謎、宝の謎、怪しげな洋館、暗号、いわくありげな人物など、ミステリの要素がふんだんに詰め込まれた作品です。

        江戸川乱歩のリライト版の「幽霊塔」。物語自体を楽しむならがよいかもしれません。(舞台は日本になっている)宮崎駿の豪華イラスト解説入りです。

        幽霊塔

        中古価格
        ¥667から
        (2018/9/6 13:23時点)




        明治の探偵小説


        現代の我々から見るとトリックは稚拙だし、ご都合主義的な展開があるものの、謎が謎を呼ぶ展開にページをめくる手がとまりませんでした。

        原作となった英語の小説から、暗号部分を漢詩風にアレンジしたり、随所に黒岩涙香の言葉のセンスが光ります。

        ひとつの章ごとに山場があり、次への展開が気になるようなつくりになっていたり、私が斬新だな、と思ったのは各章のタイトルが文章中に出てくるセリフや言葉になっていて、今読むと一周回ってとても新鮮でした。

        灰色の女 (論創海外ミステリ)

        中古価格
        ¥2,658から
        (2018/9/15 21:47時点)





        嗚呼、面倒な明治の描写…


        物語は面白いのですが、なにせ明治32年の小説なので、台詞回しや表現が現代とまったく違って読みづらいことといったら…!
        しますのサ」「シテ見ると」など、芝居がかった台詞回しや現代では使われない表現など、いちいち頭で現代の表現に変換しながらでないと先に進めず大変でした。

        話の展開が面白いので早く読みたいのに、描写がそれを許さない…。

        あと、「舞台がイギリスなのに登場人物が日本名」なのには参りました。
        涙香の時代は名前や周囲の描写を日本風にアレンジしないと読者が想像できなかったのでしょうが、現代では逆にそ場面や人物が想像しづらく、読みながら「どっちやねん!」とツッコミをいれながら読んでいましたよ…。

        「盆栽室」…温室?イギリスには盆栽ないやん…
        「衣嚢」…ポケットのことらしい。わからん…
        「夫で」…それで。読めん!
        「了う」…しまう。終了→終わり→終う→しまう…

        明治大正 翻訳ワンダーランド (新潮新書)

        中古価格
        ¥140から
        (2018/9/16 17:31時点)





        『幽霊塔』と『カリオストロの城』


        『幽霊塔』を読んでいて「あれ?この設定カリオストロの城みたいだな…」と思っていたら、調べてみると宮崎駿は幽霊塔からインスピレーションを受けて『カリオストロの城』を作ったのだそう。

        宝が隠された時計塔、詩文のような暗号、機械のような時計塔内部、骸骨に部屋の中に落とし穴など、カリオストロの城でみられた設定が随所に出てきます。

        少年時代のの宮崎駿が、いかにこの小説に魅入られていたかがわかります。

        ルパン三世 カリオストロの城 [Blu-ray]

        中古価格
        ¥4,420から
        (2018/9/16 17:31時点)




        JUGEMテーマ:ミステリ

        停電時の携帯充電には、ソーラーモバイルバッテリーが便利!

        2018.09.11 Tuesday

        0
          北海道の地震で停電の被害、被災された方々が一日も早く復興するよう祈りつつ、名産品を買ってほそぼそとですが応援していくつもりです。

          さて、今回は私が使っているソーラーモバイルバッテリー、太陽光発電の携帯充電器についてお話したいと思います。東日本大震災以降、ソーラーランタンや携帯の充電可能なソーラーライトなど、いろいろ買い求めてきました。

          折りたたみ式ソーラーライト。これも便利なので広まって欲しい…。

          Landport ソーラー式エコライト solar puff ソーラーパフ ウォームライト PUFF-15WL

          新品価格
          ¥3,672から
          (2018/9/11 15:18時点)



          こうした外出時に使える携帯充電器もいくつか持っていたのですが、もし、モバイルバッテリーの電気が無くなったら…と考えると恐ろしくなり、太陽光で充電できるタイプのモバイルバッテリーに買い替えました。

          通常のモバイルバッテリーも捨てがたいのですが…
          ・軽量(持ち運びに便利)
          ・充電時間が短い
          ・大容量(タイプによっては充電2回くらいの容量があるものも)

          しかし、ソーラーモバイルバッテリーにはそれらを覆すだけの魅力があります。それはなんと言っても
          太陽光さえあれば、何度でも使えること。(限度はありますが…)

          ★メール便送料無料★【モバイルバッテリー 充電器 ソーラー ソーラーチャージャー 大容量 耐衝撃 15000 15000mah 同時充電 iPhone スマホ スマートフォン 充電 LED ライト 非常灯 SOS 防災グッズ】15000mAh ソーラーモバイルバッテリー

          価格:2,480円
          (2018/9/11 15:28時点)



          太陽光による充電は時間がかかるけど、このソーラーモバイルバッテリーは、
          ・太陽光充電のほか、コンセントに繋いで充電も可能
          ・大容量の割に軽量
          ・カラビナつきで持ち運びも便利
          ・LEDライトつきで緊急時の照明に

          充電器のLEDライト。暗闇でこれだけ明るい!
          充ソーラーモバイルバッテリーのLEDライトをつけた様子

          普段は普通にコンセントから充電して使い、停電など有事の際には太陽光を利用するといった2種類の使い方ができるのはありがたいです。






          JUGEMテーマ:天変地異、災害

          メイドとお姫さま。『小煌女3』海野つなみ

          2018.09.04 Tuesday

          0
            童話『小公女』をベースに海野つなみさんが描く『小煌女3』。舞台となる古き良きイギリスの生活スタイルと未来のSF描写が違和感なく融合した世界観が魅力で、主人公たちが生活する未来世紀のロンドンをいきいきと描き出しています。

            『小煌女3』あらすじ


            故郷の星トアンが消滅し、たったひとり地球に残された少女レベッカ。彼女は地球に帰化して母校のメイドとなり、おだやかな日々を送っていた。しかし、彼女のまっすぐな正義感は周囲の反感を買ってしまい、教師つきメイドからハウスメイドに降格されてしまう。

            彼女をトアンの生き残りだと疑うシクサは、学校に忍び込みレベッカと接触をはかるものの、彼女は自分をトアン人だと認めない。シクサは彼女の監視をするが、彼のミスでレベッカは窮地に陥ってしまう。

            一方、オナスンとサリーは急接近。屈託のないオナスンはサリーをハロッズに誘う。サリーはデートのようにやさしく扱われてオナスンのことをすきになりかけてしまう。けれど自分はだだのハウスメイド。「自分が気に入られるはずがない」と思い悩む。

            小煌女(3) (Kissコミックス)




            メイドとお姫さま


            海野つなみ先生は「小公女」をモチーフにこの物語を描いたそうですが、小公女セーラには彼女を助ける隣人カリスフォード氏から食事やプレゼントが贈られます。レベッカも隣人のシクサが彼女の境遇をみかねて食事やベッドなどさまざまな贈り物をします。

            サリーもご相伴に預かるのですが、「もしかしたら」と自分の部屋のドアを開けても奇跡は起こらなかったのです。
            「そこらのハウスメイドに 誰が どんな魔法をかけてくれるというのでしょう」


            レベッカのことは大好きだけど、もともとの立場が違う…。オナスンは優しくしてくれるけれど、それは自分にだけでなない。頭ではわかっているけれど、そんな自分がみじめになってしまうサリー。

            レベッカはレベッカで、自分の元いた立場に苦しんでいるのですが。

            はたして、レベッカの正体はジノン王女なのか。もうひとつのトアン人、神官たちが地球へやってくることで真相が明かされていきそうですが…

            小煌女 コミック 全5巻完結セット (KC KISS)

            中古価格
            ¥779から
            (2018/7/29 22:52時点)




            海野つなみ先生はこの他にも童話や日本の古典をモチーフにした作品や、コミカルな漫画まで、幅広いジャンルを独自の視点で描いています。『逃げるは恥だが役に立つ』しかしらない方にもぜひ読んでいただきたい。

            多様性も海野つなみ作品の魅力のひとつなのです。

            豚飼い王子と100回のキス プチキス(1) (Kissコミックス)




            新装版 デイジー・ラック(1) (KC KISS)

            中古価格
            ¥1から
            (2018/7/29 22:54時点)



            小煌女2→
            小煌女1→
            回転銀河1〜4→
            回転銀河5→
            回転銀河6→
            デイジー・ラック1〜2→
            海野つなみ作品集「tsunamix」→
            「彼はカリスマ」→
            「キスの事情」→
            「くまえもん」→
            「豚飼い王子と100回のキス」→

            JUGEMテーマ:漫画/アニメ



            『リーチ先生』原田 マハ

            2018.09.03 Monday

            0
              「リーチ先生」読了。明治から昭和初期にかけて新しい芸術運動として発達した「民藝運動」、その担い手として名を連ねたイギリス人バーナード・リーチ。身一つで日本へやってきたリーチと、彼を「先生」と慕う主人公との師弟愛、西洋と日本の陶芸をつないだリーチの半生を描いた作品です。

              陶芸という火と土の芸術の美しさと難しさ、それに魅入られた男たちの物語が熱い物語でした。

              『リーチ先生』あらすじ


              滝亀之助は、高村光太郎の紹介で彼の父親・高村光雲の書生として働いていた。そこへ、光太郎がロンドン留学中に知り合ったというイギリス人青年・バーナード・リーチが訪ねてくる。幼い頃、日本で育ったというリーチは西洋と東洋の美術の架け橋になろうと、身ひとつで来日してきたという。

              リーチの思想に感銘を受けた亀之助は、リーチの弟子となり共に日本での芸術活動を手伝っていくことに。リーチの活動に感銘をうけた芸術家たちが集まるようになる。

              やがてリーチは自分の生涯をかけるべき仕事「陶芸」に出会う。亀之助もまた陶芸に魅せられ、リーチとともに陶芸の道を歩んでいく。日頃使う器の中に美しさを見出す「用の美」をもとめ、ついにはイギリスに窯をひらくことになる。

              リーチ先生

              新品価格
              ¥1,944から
              (2018/9/1 20:03時点)




              私は学生時代、民藝運動に興味を持ち、日本民藝館や河井寛次郎記念館を訪れたものです。そうした民芸運動の偉人たちが出会い、芸術論を交わし、作品を作り、交流していく様子は読んでいてワクワクしました。

              リーチ先生が出会ったのは、留学時代の高村光太郎、最初は口論するものの、後に盟友になる民芸運動の中心人物・柳宗悦、白樺派の志賀直哉や岸田劉生、それに同じく陶芸を志した富本憲吉、濱田庄司、河井寛次郎など。

              そんな「芸術家アベンジャーズ」と言ってもいいほどの偉人たちも、悩んでもがきながら新しい創造への道を切り開いていった「青の時代」があったのですね。

              バーナード・リーチ日本絵日記 (講談社学術文庫)

              中古価格
              ¥653から
              (2018/9/1 20:04時点)




              日本民藝館へいきたくなる


              「リーチ先生」を読んだら実際にリーチ先生の作品がみたくなりました。都内では柳宗悦が開いた日本民藝館でリーチ先生のほか、さまざまな民藝運動の芸術家たちの作品もみられます。

              収蔵品の中には名もなき陶工たちがつくった「用の美」の陶器が多数展示されています。おそらく、そのなかにはカメちゃんの作品があるかもしれません。

              日本民藝館へいこう (とんぼの本)

              中古価格
              ¥367から
              (2018/9/1 20:04時点)




              それぞれのいじめの形[映画]聲の形

              2018.08.29 Wednesday

              0
                私は過去いじめられた経験があります。その傷は大人になっても癒えないし、今でも相手を許さない。けれども映画『聲の形』はいじめられた人、いじめた人、それを容認していた人と、それぞれの立場を均等に描くことで「いじめの形」を示してみせています。

                ああ、こんな立場で人は人をいじめていたのだな、と考えさせられました。

                映画『聲の形』Blu-ray 通常版

                中古価格
                ¥2,000から
                (2018/8/29 17:55時点)




                『聲の形』あらすじ


                あまりにも有名な内容なので割愛。
                ・小学六年生の石田将也は聴覚障害者の少女・硝子をいじめる、
                ・周りもおもしろがりのっかっていく
                ・いじめ発覚
                ・主犯格の将也にすべての責任を押し付け、今度は将也がいじめの標的に
                ・5年後、硝子と将也は再会し、新たに関係を築こうとしていくが…


                「きれいごと」「感動ポルノ」の先にあるもの


                こどもというのは、世界で一番無垢で、そして恐ろしいものかもしれません。中国の呪術で「巫蠱」というのがありますが、舞台になった教室は「巫蠱」に似てますね。狭い空間で精神的に傷つけあって、最後まで生き残った者が呪者(先生や世間)に認められる、みたいな。

                『聲の形』では、こどもたちの心に毒がたまっていく様子が描かれています。いじめる相手にも理由はあるし、完全な悪ではない。(悪だったらどんなに楽か)

                また、いじめられる硝子も最初は「かわいそう」と思うものの「もっとうまく立ち回ればいいのに…」と思う気持ちもありました。

                聲の形 コミック 全7巻完結セット (週刊少年マガジンKC)

                中古価格
                ¥2,990から
                (2018/8/29 17:58時点)




                物語は成長した将也と硝子が新しい関係を築こうとしますが、周りの当事者たちにさまざまな波紋をよんでふたりは追い詰められていきます。

                あがいてあがいて、絶望して、つながろうとする将也と硝子。かつていじめていた者と、いじめられていた者。かれらが破壊してしまったものを、新たに築こうとする思いはこちらにもしっかりと伝わりました。

                『聲の形』もそうだったし、有川浩さんの『レインツリーの国』でも中途聴覚障害者と接する面倒くささも描いています。それを「感動ポルノ」ですべて片付けようとするのは相手を対等にみていないことになるのでしょう。

                レインツリーの国 (新潮文庫)

                中古価格
                ¥1から
                (2018/8/29 17:54時点)




                『聲の形』は「いじめ」について、いろいろと考える作品でした。まあでも、私は許さないけどね。


                これをNHKのEテレで放送するってすごいですね。さすが、「バリバラ」で某チャリティ番組を揶揄するだけあって、結構Eテレはロックなところがあるよなあ。

                「バリバラ」出演者玉木幸則さんの自伝。

                生まれてきてよかった―てんでバリバラ半生記―

                中古価格
                ¥820から
                (2018/8/29 17:55時点)




                JUGEMテーマ:アニメなんでも



                チベット医術と仏教と、ほのぼのカップル『テンジュの国2』

                2018.08.28 Tuesday

                0
                  チベットの医師見習いの少年カン・シバと異国出身の婚約者ラティのほのぼのカップルと、18世紀チベットの暮らしが描かれる『テンジュの国2』は、チベットの人々の暮らしとが丁寧に描かれていて、旅をしている気分になれる一冊です。





                  医食同源と仏教


                  医療は食からという意味で「医食同源」という言葉がありますが、チベットでは医食同源に加えて仏教が密接に結びついています。カン・シバも薬作りや治療のあいだにお経を唱えます。

                  医術経典という教えでは、助からない患者さんに死期をを伝えるのも医者の大事な役目であり、死期をつげられた患者は死ぬまでに功徳を積んだりお経を唱えることで来世への支度をすることができる。それがチベット仏教の考え方なのです。

                  自分の死を受け入れるのは辛いことですが、「功徳を積む」ことは自分の来世や家族にも良いこととされる考え方は素晴らしいですね。私もこうありたいものです。

                  そしてチベットの独特な葬儀「鳥葬」についても。鳥葬は死体を鳥に食べさせるため、わたしたちはグロテスクで奇異と感じてしまいますが、自分の死体で他の生物が生かされるのは、人間が自然の一部であり、仏の教えにかなったことなのでしょうね。

                  癒しの医療 チベット医学―考え方と治し方

                  中古価格
                  ¥4,350から
                  (2018/8/29 18:01時点)



                  ほのぼのカップルとチベットの暮らしあれこれ


                  こうしたシリアスな場面の他にも、カン・シバとラティのほのぼのカップルの様子が描かれ、これがまた愛らしいんです。ラティはカン・シバの幼なじみにちょっと嫉妬しちゃうのがかわいらしい。

                  面白かったのが二日酔いの治療のお話。チベットの結婚式では大量にお酒が振る舞われるらしく、たくさんの二日酔いの患者が医院を訪れててんてこ舞いのカン・シバ一家。特に花嫁の父は大量にお酒を注がれるのか(あるいは飲んじゃうのか)二日酔いの症状がひどいらしいです。

                  また、乾燥地帯のチベットではお風呂はほとんど入らず、逆にお風呂に入ると福徳が落ちるとまで言われるほどで、夏場に水浴びをするていどだそうです。

                  高温多湿の日本とは全く異なる習慣なんですねえ。


                  テンジュの国1巻では2人の出会いが描かれます。
                  テンジュの国 感想→



                  テンジュの国1
                  テンジュの国2
                  テンジュの国3
                  テンジュの国4

                  [ここまでのドラマ感想]この世界の片隅に

                  2018.08.23 Thursday

                  0
                    現在、第6話まで放送が終わり、ドラマについて賛否両論が巻きおこっているようです。
                    映画『この世界の片隅に』のあまりのクオリティの高さに対して、実写だとやはり行き届かないところが目立つのかもしれません。

                    私が「ん?」と思ったのは、水原さんとすずさんが中学で同じクラスなことと、久石譲さんのテーマソングですね。あの当時は小学校以外は男女共学はありえないし、久石譲さんの曲は素晴らしいけれど、あんなにほのぼのとした歌を歌っていたらあの当時は「非国民!」と殴られかねないと思う。

                    TBS系 日曜劇場「この世界の片隅に」オリジナル・サウンドトラック

                    新品価格
                    ¥2,916から
                    (2018/8/28 11:35時点)




                    あと、ドラマはいいのに、タイトルがクソダサいのには我慢できませんが…。

                    第六話 昭和20年夏、きたる運命の日!




                    私も原作、映画ファンですが、そうした若干の違和感はあるものの、とてもよくできたドラマだと思いますし、役者さんたちの細やかな演技はとてもすばらしいと思います。ただ、決定的に違うのは…

                    映画は「すずさんからみた世界」、ドラマは「世界(視聴者)から見たすずさんの世界」


                    映画も漫画もすずさんという一人の女性がみた「戦中の世界と周囲の人々」で、すずさんの見て感じた世界を描いています。見る側はすずさんの視点に入り込む形で戦争を体験する。

                    だからこそ、2次元でありながらわたしたちは戦争を追体験することができたのでは、と思っています。

                    でも、ドラマではそういう描き方はできない。主人公以外の登場人物たちの感情を掘り下げないと、すずさん一人の目線では映像がもたないし、すべてのシーンですずさんが出ることになってしまうからそれでは成り立たない。

                    だからすずさんを中心とした周辺世界をつくることが必要だったと思うし、周囲の人々を描くことで世界にリアリティが加わっていくのは見ていて楽しい。

                    だから、ドラマと映画は別物だと考えたほうがいいようです。

                    ドラマは「あちこちのすずさん」


                    ドラマは現代パートの扱いが今後の課題となりそうですが、原作と全く同じことを描くわけにもいかないし、多少の改変はしかたがないかもしれません。

                    以前、NHKの番組で庶民の戦争体験を募集したときのハッシュタグ「#あちこちのすずさん」のように、ドラマのすずさんも「原作とは違うけれど、戦争で大変な思いをした、あちこちのすずさん」でいいんじゃないですかね。

                    戦中・戦後の暮しの記録 君と、これから生まれてくる君へ

                    中古価格
                    ¥3,616から
                    (2018/8/23 19:56時点)




                    この世界の片隅に [Blu-ray]

                    中古価格
                    ¥3,300から
                    (2018/8/23 20:01時点)




                    JUGEMテーマ:日本のTVドラマ



                    ゴッホを支えた日本人『たゆたえども沈まず』原田マハ

                    2018.08.16 Thursday

                    0
                      原田マハさんの『たゆたえども沈まず』読了。19世紀パリに実在した日本人画商・林忠正とゴッホ、その弟テオとの交流と、ゴッホの絵を世に出さんとする彼らの葛藤を描いた作品です。

                      『たゆたえども沈まず』あらすじ


                      加納重吉は語学学校の先輩である林忠正に呼ばれ、パリの美術商「若井・林商会」で働くことになった。19世紀のパリは世界の文化の中心であり、新興ブルジョアジーたちを中心に日本文化・美術ブーム「ジャポニズム」が流行。忠政はその流れに乗り、数々の浮世絵を販売していた。

                      パリの浮世絵ファンは多く、その中には「グーピル商会」の若き画商・テオ・ファン・ゴッホがいた。

                      彼には魂を分け合ったかのような愛する兄がいたが、画家の道を志すものの、あまりにも斬新なその画風は世情に受け入れられず、テオは友人となった重吉と忠政に兄の絵をみせることに…。

                      たゆたえども沈まず

                      中古価格
                      ¥883から
                      (2018/8/16 17:36時点)




                      ジャポニズムと当時のパリ


                      19世紀のヨーロッパといえば日本やアジアなど蔑むべき2等国の扱いだと思っていましたが、ジャポニズムの影響でパリの日本に関する関心は高く、忠政のような日本人は歓迎されていたようです。

                      フランスは現在でも日本のアニメ・漫画への理解が深く、すぐ自国風にアレンジする某国とちがい、作品そのものを理解しようとする気質は、このころから培われたのかもしれません。

                      もうひとつのジャポニズム漫画


                      「ニュクスの角灯」は、明治初頭の長崎で輸入雑貨を営む百年(モモさん)とそこへ雇われた不思議な力を持つ少女美世の物語。物語の中でモモさんもパリで日本美術店を開きます。当時の長崎とパリの文化風俗がよくわかる漫画。

                      ニュクスの角灯 1 (SPコミックス)

                      中古価格
                      ¥97から
                      (2018/8/16 17:38時点)





                      ゴッホ兄弟と林忠正


                      とにかくまあ、ゴッホ(フィンセント)がダメ人間です。19世紀の芸術家も文豪も社会不適合者ばかりですが、フィンセントもこのひとりですわ。弟テオのお金を安酒や淫売宿に使うし、「俺が売れないのはお前のせいだ!」とか言っちゃうし。

                      それでも、あがきながら描き出した絵は当時の新興芸術「印象派」さえも凌駕する全く新しい表現はテオも、重吉も忠政もただならぬものを感じます。

                      よく「生まれる時代が早すぎた」といいますが、ゴッホがまさにそうでした。まだ保守的な風潮の残るパリ画壇で、ゴッホの絵を認めさせることがいかに難しいか。

                      それでも辛抱強くゴッホ兄弟をささえ「強くおなりなさい」と助言する忠政と、テオを気遣う重吉。やがてゴッホ兄弟が亡くなった後、忠政たちがゴッホの絵を受け取らなかったのは「世に出すには早すぎる」と判断したからかもしれません。

                      彼らがもし、ゴッホの絵所有していたらどうなっていたのか。しかし現在、ゴッホの「ひまわり」は彼が恋焦がれた日本に渡り、今も人々の目を楽しませてくれています。

                      ゴッホのあしあと 日本に憧れ続けた画家の生涯 (幻冬舎新書)

                      中古価格
                      ¥488から
                      (2018/8/16 17:37時点)





                      ゴッホ兄弟をモチーフにした漫画『さよならソルシエ』こちらのフィンセントは天然だけども優しく明るい青年です。

                      さよならソルシエ 全2巻コミックセット (フラワーコミックスアルファ) [コミック] by 穂積 [コミック] by 穂積 [コミック] [Jan 01,... [コミック] [Jan 01, 2013] 穂積

                      中古価格
                      ¥109から
                      (2018/8/16 17:42時点)




                      原田マハ作品
                      カフーを待ちわびて

                      JUGEMテーマ:ゴッホ



                      JUGEMテーマ:小説全般